D菜が道端で悩んでいた。
B美「どうしたの?」
D菜「F吉のクラスに、アメリカの転校生が来たでしょ。彼女、日本のことをF吉に尋ねるのよ。
私が校門を出ようとしてたら、F吉と彼女が、すぐ前を歩いてたのね。
で、F吉が彼女に何かを説明してたんだけど、何の説明か、さっぱりわからないの。こんなこと言ってたんだけど。
F吉『イントロクイズみたいなもんだね…。
居合にもちょっと似てるなぁ…。
CDにたとえるなら懐メロ集みたいなものだよ…。
もちろん、単に「きれいー」って鑑賞してもいいわけで…。
バカラみたいな楽しみ方もできるよ…。
でもまあ、今の日本人で、普段やってる人はほとんどいないなあ…。
え、僕? もちろんやったことあるけど、最近はぜんぜんしてないなぁ…』
で、『そうだ! 今から僕の家でやろう!!』って叫んで、彼女の手をつかんで家に帰っていったの。すっごく気になるんだけど。B美はわかる?」
B美は頷いた。
※11月11日21:00以降。小説回答歓迎。
B美は頷いた。
「あのスケベF吉のことだから、ルールとか裏覚えで、ツイスターゲームの”くんずほぐれつ”みたいな展開を狙ってるんでしょうけどね」
D菜「えっ、答えって、そういうものなの?」
B美「ううん、純日本的な・・・というより日本語の原典、みたいなものね。ゲーム性はとても高いわよ」
D菜「ええー、分かってるなら早く答え教えてよ、意地悪ね」
B美「そういえばD菜は携帯電話、の修理終わってないんだっけ。じゃあ、掛かってくるとすれば私の方ね」
B美はD菜の質問には答えず、携帯電話を取り出しながら、マナーモードを解除した。
計ったようなタイミングで着信音が鳴る。
!!!!!!!!!!!!!!!!
D菜(相変わらずB美の携帯って表記不能な着信音よね、いつか何の音楽なのか問いたださなくちゃ)
B美「この着信音はF吉ね、でるわよ。 ・・・F吉? そうでしょう。そういう時はもう一度お店に行って今からいうものを買ってきて頂戴。CDプレイヤーくらいは持ってるわよね? そう一時停止ボタンがついてれば十分。 メモの用意はいい? 12月に入れば大きな書店なら置いてると思うわ」
B美は続けて細かい説明を伝えた後、電話を切ってD菜に微笑みかけた。
B美「予想通りね、このゲームは二人でやるのは難しいの。F吉はゲームの道具を前にして初めてそのことに気づいたみたいで、私たちに一緒にやろうと声を掛けてきたの。折角だから、D菜もいきましょうかF吉の家へ」
二人は連れ立ってF吉の家に急いだ。
D菜(そういえば、F吉が連れてったアメリカの転校生ジェニーって随分と日本語に興味を示してたわね)
B美「F吉~、準備できた?」
玄関ドアを開けながら、B美はF吉に声をかけた。F吉は困った顔をしている。
F吉「いやーそれがさあ、俺ルールよくわかってなかったのね。折角ジェニーに日本文化を手取り足取り伝授してあげようとおもったんだけど、コレって根本的に全部覚えてないと遊べないのね。何より二人じゃどうしようもないって」
B美「まあ本式にはそうだけど、そうかしこまる必要もないわ。あ、私B美、こっちはD菜ね。ジェニーさんよろしく。日本らしいこのゲームに興味を持ってくれたのは嬉しいわ。聞いた相手がすこーし間違ってたわけだけど」
ジェニー「アリガト。ジェニーかるた好きね。アメリカのトランプより絵、beatifullね!」
B美「う~ん、かるたとはちょっと違うんだけど・・・まあこれから教えてあげるからいいか、F吉 CD用意して!」
B美が部屋に入ってきた途端に、家の主であるはずのF吉は完全に従者の扱い。例えていえば、B美は手術室に入ってきた執刀医、F吉は第二助手といった雰囲気である。
F吉「ええと、ほんとにこれでいいの? もう少し安いのもあったんだけどな」
F吉が右手にCDラジカセ、左手にCDのジャケットを持っていた。
そのジャケットは・・・・
参照元:http://www.taichi-blog.jp/blog/2008/06/post-4986.html
B美「きゃー、ほんとに買ってきてくれたんだ。これ欲しかったんだ。ジャケットは終わったら私がもらって帰るけどいいわよね」
F吉 D菜「・・・・」
B美「ま、まあ、これで正解は分かったでしょ。"百人一首" 。小倉百人一首でも正解かな」
D菜「(B美ってルックスには拘らないと思ってたのに)ところで小倉百人一首の小倉ってどういう意味? あとなんでCDが必要なの?」
B美「小倉百人一首は藤原定家が選者となった百人一首で、今一番ポピュラーなものね。単に百人一首といえば通常はこれを指すことが多いわ。CDが必要なのは札読みする人を省略できるから、F吉とジェニーの二人だけじゃ坊主めくりくらいしか勝負できないでしょ!」
D菜「坊主めくりって何?」
B美「百人一首の絵の描いてある札を使ったマインスイーパと言えば、今の人には理解が早いかしらね。ルールは地域や年代によって少しづつ変わるけど、要はめくったカードが坊主だったらドボン、というゲーム。百人一首に慣れるための軽い遊びよ。F吉がバカラって表現したのはこれかしらね」
F吉「く、くわしいね。じゃあ、CD聞いてみて困ったんだけどさ、このカルタって札読みする人の文字のカードに歌が全部書かれて無いんだけど、どうやって読んでるの?」
B美「そんなことだろうと思ったわ。F吉はこっちの絵が書いてある札を床に並べて取るつもりだったんでしょ。それだとCDの音源とは合わないわよね。競技カルタの基本は逆、こうよ」
参照元:http://okunokaruta.shop-pro.jp/?pid=17954114
F吉「そ、そうなんだ。じゃあ結局歌を全部覚えてないと遊べないのは変わりがないんだ・・・」
B美「百人一首の歌は意味のある歌だし、そんなに多いわけではないから覚えるのは簡単よ。でも今日のところはそういうわけにも行かないし、まずは"逆さまかるた "でやってみましょうか」
ジェニー「逆さまとは、絵を逆さまに置くのDETHか?」
B美「ジェニーなかなか面白いわね、でもそうじゃなくて、普通は読み手が絵札を持っていて上の句から順番に読むの。それを聞いた取り手は対応する下の句を思い出しながら、下の句しか書かれていない取札を奪い合うのだけど、 "逆さまかるた "では、取札と読み札を逆にするの。絵札を並べて、詠み人は下の句だけを読むわけ、ところでジェニーは漢字は苦手? じゃあ最初はジェニーに読み人を任せましょうか。読みながら自分でも対応する絵札を探してみて。練習も兼ねてね」
D菜とF吉は並んですわり、ジェニーが詠み人として上座についた。
B美はD菜、F吉と広げた絵札をはさんで座った。いつのまに取り出したのか、和風柄を紐をたすき掛けにかけ、服をしばっていて・・・準備万端に見える。
B美「さあ、いくわよ! ルールは散らし取り、沢山取った人が勝ちの分かりやすい勝負。ハンデとしてで私ひとりとD菜、F吉の二人はチームでいいわ。"源平合戦"と"散らし取り"の混在ルールだけどね。じゃあジェニー、始めて!」
ジェニー「はい、それではfirstカードは・・・からくれ」
B美「はい!」バシッ
ジェニー「おおっ、居合ソノモノデス! Nextまして~、 はなぞむ」
B美「はいっ次」バシッ
F吉D菜「・・・・・」
・・・
・・・・
D菜「はい、98対2で、私の勝ちね。景品として"早乙女太一朗読CD"は貰っていくわね」
ちなみに2はD菜のお手つきによる棚ボタだったが。逆さまかるたの場合、下の句から読み始めるので知ってる人ほどお手つきをする可能性がある。
F吉「く、くそう、最初からたばかったな! そもそもこの遊び方ならCDいらないじゃん!」
D菜「はいはい、でも悔しくて覚える気になったでしょ。ジェニーにいいとこ見せたいなら、頑張って覚えてね。おまけで覚えるこつだけど、百首を一機に覚えようとするんじゃなくて、自分の得意札をまずつくる方が早いし楽しいし札を取れる確率が上がるわ。
特に"一字決まり"と言われる「むすめふさほせ」の7枚は必須ね。
ちなみにA楠の地元では地元にちなんだ句があるので、その句だけは全員の争奪戦になるので盛り上がるそうよ。読み手も心得たもので、その句のときは数拍、間を取るのでバレバレなんだけどね」
-了-
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ルール参考:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%99%BE%E4%BA%BA%E4%B8%80%E9%A6%9...
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僕は指摘のコメントを目にしてしまったので、今回はどうしようかなとも思いましたが、がっかりしながらも、質問を継続させたらいおんさんと"その人"(笑)のためにも、いつもと違う趣向で書き下ろしました。
一応これにて、問題成立、ということでどうでしょう?
B美はあっさり答えた。
B美「百人一首ね。まさに日本の伝統文化よ。
上の句を読んですぐに下の区を読むのは、イントロクイズに似てるし、
上級者どうしの対決で、最初のきまり字を聞いたとたん、さっと手を伸ばすのは居合にも似てるでしょ。
昔の有名な句だけを集めたものだから、和歌の懐メロ集とも言えるし。
札の絵は、ことに外国人にとっては、異国風できれいって思うかもしれないわね」
D菜「バカラに似てるって言うのは? だいたいバカラって何?」
B美「そういうカードゲームがあるんだけど、基本的には技術の要素はゼロで、札を順番どおりにめくるだけなのね。
そこらへんは坊主めくりによく似てるの」
D菜「ふうん」
B美「たぶんF吉は子供のころ、百人一首だか坊主めくりだかを家でやったのよ。
だからJ尼さんを家に招いて、二人でやろうって誘ったんだと思う」
D菜は言った。
D菜「・・・で、これから私はどうすればいい?」
B美はにっこりした。
B美「2人だけじゃ百人一首にせよ、坊主めくりにせよ、つまらないと思うの。だから今から、私たち2人でF吉の家に行かない?」
D菜は笑った。
D菜「いいわね! ピンポーンってチャイムを鳴らすと、F吉が出てきて、わたしたちを見てびっくりして、でJ尼さんが
『ハァーイ、D菜サン、B美サン、コニチワー。イマF吉カラ、ジャパニーズ・カードゲーム習ってるね。
デモトテモ、ムズカシイ。F吉とオナジ札をトロウトシテ、ショッチュウ手ガカサナルネ。フタリもヤラナイカ?』
って言って、F吉がしぶしぶ『そそそうだよ、D菜、B美、ちょうどいま電話しようと思ってたんだ。上がってよ』
って言いながら、がっかりする姿が目に浮かぶわ!! 楽しそー!!」
B美「じゃあF吉の家に行きましょう・・・あんまりいじめないであげてね」
D菜「ふふー。どうしよっかなー♪」
------------ 謎解き・説明解読クイズ・ニッポンの説明・解答編・終わり -----------