京大2次試験など大学入試カンニング一連の報道やブロガーの意見を見て、あなたはどう思いましたか?
ご意見をお願いいたします。
※質問者の意見を質問文に入れると長くなるのでコメント欄に記します。
こんにちは。私見をいくつか書きたいと思います。
逮捕が妥当か否かについては、他の方も書かれている次の記事の内容にほぼ同意です。
「「カンニングを刑事事件したのはおかしい」なんて的はずれ!京大入試業務妨害事件「犯人逮捕」は間違っていない
玉井克哉東大教授(知的財産法)が緊急寄稿」
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/2214
TVや新聞などのいわゆるレガシーメディアに限らずネット上などでもそうですが、「逮捕->実際はカンニング」という事件の流れを「カンニング->逮捕」というように誤解して批判している論調が多いように思います。そもそも捜査自体も警察の権限がなければできないものですし。民放のバラエティーまがいの報道番組などに期待するのは酷なのかもしれませんが、やはり免許を得て多数に情報を発信している以上は正しい法律論を伝えてほしいと感じます。
次にレガシーメディアの報道については、この件に限らずどの報道についてもいえることですが、やはり過剰あるいは不適切であると感じます。ことネットに関する情報を正しく伝えられるだけの知識を持った方がレガシーメディアのなかには非常に少ないように感じます。ネットが良い悪いというのはそれぞれ勝手な意見があるところだと思いますが、たとえばできもしないことをできると述べてしまったり、技術的なことを間違って報道するのは論外だと思います。
また、容疑者の身辺に関する報道についてはやりすぎでしょう。例えば容疑者の父親が10年連続して京大を不合格になって、子供にはぜひとも京大に進学してほしいと強い圧力をかけていたというのならまだしも、全く容疑には無関係な事柄までを煽り立てるのは全く無意味でしょう。あれだけ身辺を根掘り葉掘りしておいて、何かに憑かれたように本名は頑として報じないというのは、ちょっとあからさますぎる体裁取りだと感じます。もちろん本名を報じたりするのは論外ですしそうしろというわけではないのですが、これではそれと何ら変わりないというか、見方によってははるかに酷いような気もします。
この事件について、カンニング行為(の結果引き起こされた業務妨害)で悪いのはネットに投稿した人物だというのは間違いないと思います。
ただ、逮捕されたからといって、あるいはカンニング行為を自供しているからと言って、この受験生はあくまでも容疑者です。いわゆる罪刑法定主義がありますから、実際は裁判が終わるまでこの容疑者が犯人であるか否かは確定しません。
これもこの件に限ったことではありませんが、現実には冤罪事件もいくつも発生していることですし、容疑者を犯人扱いすること自体も大きな問題だと感じます。
被害を受けた大学側の姿勢については、警察などに協力を要請したのは先にも書いた通り妥当だと思います。というより、警察の介入を要請しなければ解決しようがないわけですし、それだとむしろ大学の姿勢が問題となるでしょう。回答が類似しているというだけで不合格にしてしまうのは措置として論外ですし、他に良い方法はなかったと思います。
他の大学が不正防止として講じた措置については、ほぼ無意味ですがやらないよりはまし、ということだと思います。
とはいえ、携帯電話を机上に置いたり持ち込み禁止にしたり事前に提出させたりしたところで、たとえば元々携帯電話を持っていない受験生はどうなるのでしょう。単に家庭や経済的な事情から携帯電話を持っていないだけであるのに、不審者扱いされてしまうように思います。
また、最近ではWillcomやスマートフォンとの二台持ちが一部で流行っていたりするようですが、二台目を隠し持っておくことは相変わらず可能です。そうでなくても、携帯電話を持っているのに持っていないと主張したりすることもできますし、ザルな対策というほかないと思います。
金属探知機の導入については、検査に必要な人員の確保が大変でしょう。また、受験生に対する圧力も強くなってしまうと思われます。
電波を妨害する装置を導入することは、おそらく唯一有効な対策だと思います。それほど巨大な装置ではないようですし、受験者へのプレッシャーもそれほどではないでしょう。しかし、巨大な大学では同時に百室以上の会場で試験を行いますし、試験のためだけに導入するのはかなり高額な出費になってしまいます。レンタルに応じてくれる会社があれば検討しても良いとは思いますが、なかなかすぐに対策するのは難しいと思います。
※なお、質問者さんの返答に「時計代わりにと卓上に出されないように試験会場にかけ時計がおいてあり」とありますが、そもそも時計代わりに携帯電話を使用することを禁じている場合が多いと思います。また、会場によっては時計がない場合も多いですし、必要なら各自が時計を持参するのが普通でしょう。
入試自体を改革することは必要かもしれません。しかし、欧米の大学の制度の形だけを見て「入試を簡単にすればよい」というのは若干間違っているように思います。欧州の大学のうちには、入学するのは簡単でも、大学4年間の最後に卒業試験を実施し、その1回の試験で4年分の学力を一気に問うようなところもあるようです。学生への負担を考えるとそれはちょっと厳しすぎるように感じますし、安直に「欧米はこうだから」と実情を鑑みずに日本の制度を批判するのも問題だと感じます。
試験監督については、各人、各大学でさまざまでしょうし一概には言えないと思います。きっちり巡回する人もいればほとんど教壇にいるだけの人もいます。監督がカンニングを明確に認識していたうえで見逃していた、あるいは監督体制に怠慢があったとすれば問題ですが、試験監督がすべてのカンニングを見抜けるわけではないですし、すべてを試験監督の責任にしてしまうのは無茶だと思います。
容疑者の手口については、ちょっとネットに関する技術的な知識があればすぐ足がつくことは明らかなので、幼稚という他ないと思います。大胆というよりは無謀に近いですし、高校までの情報教育で「インターネットは匿名」という誤解を払拭させておくことが必要でしょうね。
また、「京大の二次試験を受けられるほどなのだからそれなりに賢かったのでは」という意見があります。しかし、センター試験の結果だけで二次試験の受験者を制限する第1段階選抜(いわゆる足切り)は、規定の倍率に達しなかったため、今年は経済学部の一般入試では行われていません。ですので、入試だけでなく模試などで同様の行為を行っていた可能性を考慮に入れれば、実際の学力がどの程度なのかについても疑念が残ります。
「平成23年度志願者数および第1段階選抜合格者数」
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h3/d2/news1/2010/110209_...
ちょっと長くなってしまいました。結論としては、入試制度や試験監督に問題点があるのはもちろんですが、しかしどうも方向性を間違えていたり誤解に基づく報道や意見が多いなと感じている、といったところでしょうか。あえてレガシーメディアという用語を使ってみたりもしましたが、時代に追いついていないのは大学だけではないように思います。これを契機として各方面で時代の進展に追いつくような改革をしていかなければならないと思います。
※以下、余談です。
他の方の回答で「いくつかの国立大に存在する情報学科は、そろそろパソコン持参で、簡単なジャバスクリプトを組めという入試をする専門校に就職の面でまけてしまうのではないでしょうか」というものがありますが、これは情報学の意義を少しはき違えているように感じます。情報学科の教育方針は、プログラミングができる人材を育てるということではありません。例えばCOBOLやFORTRANを扱える人材が30年後にどれだけ必要になっているかといえば疑問なように、プログラミング言語は時代によってどんどん進化し変化していくでしょう。ある言語に特化したプログラミングは確かに即戦力となる人材には必要ですが、それだけしかできない人材は派遣か3Kの労働で消費されてやがて使い物にならなくなります。専門学校は即戦力を育てる場所としては有効ですしそれを否定する気はありませんが、大学の情報学科はそういったことを目的としているわけではありません。むしろ情報学の基盤・基礎となる理論を学ぶことによって、将来に亘って情報産業を発展させることができるような人材を育てるのが目的です。もちろん、いくつかの大学では理念倒れに終わって即物的な技能しか身に着けさせられないところもあるでしょうけど、それはその大学に問題があるだけだと思います。
また、同じ方の回答で「知財権の扱いがいかにもよわい」とされていますが、これには同意します。もっとカリキュラムに知的財産権、ことに著作権に関する講義を増やすべきですね。ただ、入試問題に著作権が発生するかについては場合によると思います。今回問題となっているくらいの独自性があるものであれば著作物として認められると思いますが、大学としてはむしろ余分な業務をさせられることになったのが問題なのであって、(事件発覚時点で)既に終わった試験の問題をよそで掲載されたところでそれほどの不利益を被ることはないと思います。
長々と失礼しました。では。
私は、監視のひと何やっていたんだ?って思いました。もちろんやった人は悪いですが、監視の人が甘かったのではないかと思います。ちなみに、ウチの大学は監視が厳しくてとてもカンニングできる状態ではないので、なおさらそう感じます。
また、Y!知恵袋が舞台となったのが意外でした。
英作文なら翻訳ソフトがありますし、Y!知恵袋で得られる英訳回答は精度がよくないように感じたからです。
#もし精度を求めたなら舞台は「はてな人力検索」であったかもとも思いました。
数学についてもセンターの足切り突破できる人なら解けるのでは?と思う内容であったので、
そこで受験者の非常な焦りを感じました。
全般としてデジタルネイティブ世代なら特定の外部協力者とやりとりし、
ネット上にこういった痕跡が残るような手法はとらないだろうという先入観があったのでこういった手法をとるとは
思いも知れませんでした。
「情報学科が負ける」とはカリキュラムをさしたのではなく、まずひとえに人材の選別方法においてです。
(まあそこまでやる気のある専門学校があるかどうかというのはたしかにそうですね)
とにかく大学は今がチャンスなので文科省を変えるよう頑張るべき。