厳密に言うと、アプリケーション次第、ですが、デフォルトでは、一時アドレス(匿名アドレス、とも呼ばれる)より、通常のアドレスが優先されるようです。
RFC 3484 - Default Address Selection for Internet Protocol version 6 (IPv6)
RFC 3484 の「2. Context in Which the Algorithms Operate」に、下記のような記述があります。
For source address selection, public addresses are preferred over temporary addresses.
「ソースアドレスの選択に関しては、一時アドレスよりもパブリックアドレスが優先されます」ということなので、デフォルトではパブリックアドレス、つまり、一時アドレスではない方のアドレスが使われることになります。
しかし、プログラミング用のインタフェースとして、どのアドレスを優先させるかを指定出来ることになっています。
RFC 5014 - IPv6 Socket API for Source Address Selection
「5. Address Preference Flags」に、設定できるフラグの種類が列挙されていますが、その中に、「IPV6_PREFER_SRC_TMP」というのがあり、これを指定されると、一時アドレスを優先的に使うことになります。
で、実際のアプリケーションでどうなっているか、となると、下記のページに、MacOS で一時アドレスを優先した場合の話がありました。
高木浩光@自宅の日記 - MacユーザはIPv6を切るかnet.inet6.ip6.use_tempaddr=1の設定を
これによると、Firefox と Safari で一時アドレスが使われるのが確認されています。
また、下記のページは、Redhat Enterprise Linux に付属する ssh クライアントプログラムが、一時アドレスを使わない、という報告です。
Bug 512032 – Lack of support for ipv6 source address selection in openssh client.
一時アドレスを使えるようにするパッチを作ってみたんだけど、OpenSSH 本家に取り込んでもらった方が良いのでは、といった感じで、このパッチが Redhat で取り込まれる事は無かったようです。
といった具合に、アプリケーション依存の部分があります。恐らくは、ブラウザのように、送信元の匿名性が必要な場合には一時アドレスを優先して使い、そうでないものでは、通常のアドレスを優先、といった形になると思いますが、それも、アプリケーションによっては設定次第でどっちを使うか選択できる(先の ssh クライアントのパッチは、コマンドラインオプションで選べるようにしています)ようになると思います。