#a1,2です。私宛コメントに回答します。
まず、後で詳細にコメントいたしますが、indigoworksさんは戦争マニア、兵器マニアが陥りやすい誤解をされているような気がしますがどうでしょうか?
コメントしやすい順に回答していきます。
まず、
>そもそも二種類の戦闘攻撃機を一つの軍種で運用するのは効率悪いんじゃないでしょうか?
確かに効率が悪くなることは認めますが、逆に一国の軍隊が複数種類の戦闘攻撃機を運用するのはむしろ常識です。海兵隊の場合、その性格上複数種持つべきだと考えます。
日本の場合、三機種体制を維持したいといった表現をしていますね。
一機種だけで運用し、その機種が事故を起こしてしまった場合、その機種について事故原因が判明し、対応策が施されるまで飛行停止処分が下されます。その間敵が攻めてきたからと言ってエンジンを掛けた時点で違法です。
航空自衛隊の場合、2007年に国内でF-2、アメリカでF-15が立て続けに事故を起こし飛行停止になったことからF-4しかスクランブルに使えなかった時期があります。
http://obiekt.seesaa.net/article/65359083.html
>そもそも現在運用しているF/A-18がF4Fあたりからの系譜の戦闘機で、海兵隊専用の空母が欲しくともかなわず、ようやく強襲揚陸艦にAV-8という組み合わせで念願が叶った。こういうストーリーがあったんですね。
indigoworksさんはどうしても海兵隊に空母を持たせたい、F/A-18には空母が必要だと思いたいようですね。
id:hysrさんのコメントにある参考urlも拝見しましたが、兵器マニア特有の誤解だと考えます。
海軍省だって海兵隊に空母が不可欠で、海兵隊に運用が可能であれば空母の一隻ぐらい簡単に与えます。世界中で海兵隊は三軍しかありません。各軍に一隻ずつ渡しても三隻にしかなりませんし、海兵隊に空母を運用する軍団を組織すれば一隻で済みます。
海軍省が海兵隊に空母を与えないのは、運用が不可能だからです。#a2では簡単に制海権・制空権を握っていないと空母は侵出しないとしか書きませんでしたが、空母を戦場に投入するには、4隻以上の海上護衛艦と2隻以上の潜水艦が必要と考えられています。長期間現地に留まって作戦行動を行うとなれば輸送艦艇も必要になりますし、それに対する護衛艦艇が必要な状況もあるでしょう。
また、CTOL機の離着艦をできるようにするにはそれなりの訓練と訓練施設が必要です。
海兵隊にはそれだけの運用は不可能だし、海兵隊には必要が無いと海軍省に判断されたまでです。
>陸上基地からF/A-18を派遣、適宜空中給油しての投入、というご説明は納得できました。(ただ、燃費がバカみたいにかかりそうですね)
空中給油を繰り返して作戦投入するのは、空母軍団を運用するよりはるかに安上がりですよ。米海軍の空母打撃軍だと7000人必要ですからね。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A9%BA%E6%AF%8D%E6%89%93%E6%92%83%E7%BE%A4
例えば、こんな事実をご存知ですか?湾岸戦争時F-111のミッションが低空飛行から高空飛行に変更になったことから帰投時の空中給油が不要になった。そのことが空中給油部隊に伝わっていなかった。空中給油のために飛び立ったものの不要となった燃料を空中投棄した。
着陸時の安全確保のためこういった無駄を敢えて行うのが軍隊です。
http://ja.wikipedia.org/wiki/F-111_(%E8%88%AA%E7%A9%BA%E6%A9%9F)#.E6.B9.BE.E5.B2.B8.E6.88.A6.E4.BA.89
コメントを拝見していて理解できたのは、こういったことでよろしいでしょうか?
①海兵隊は単独で上陸作戦を行う部隊だと言っている(聞いている)
②その海兵隊はF/A-18という同じ米国の海軍が空母と併用している戦闘用航空機を保有している。
③F/A-18は艦上戦闘機であり、航続距離も短い、海軍の空母を離発着の基地としても利用するはずだ。
④海軍の支援を受けないとF/A-18が運用できないなら、①は間違っているのではないか
それなら、①の段階で既に誤解されています。
海兵隊が単独で行えるのは上陸作戦全体の中で強襲揚陸~橋頭堡の確保だけです。それを海兵隊は単独で上陸作戦を単独で行えると言っているだけで、実際には空軍や海軍の世話にならない限り上陸作戦は行われません。
それと、F/A-18を保有しているのは上陸作戦での近接支援のためだけではありません。むしろその役割は小さいと考えます。海外に軍隊を派遣する場合、三軍に分かれていれば指揮系統などについて打ち合わせが必要です。海兵隊の場合、エア・グランド・タスクフォース化と言いますが、陸海空三軍の能力を有する常設軍で緊急有事の即応性を保持するという目的の方が正しい理解と言えます。つまり、きな臭い地域に取り敢えず派遣され、本格的な紛争が始まって三軍が投入されるまでの繋ぎだと。
作戦立案に先立って行われる、衛星による写真の撮影、電子偵察機によるELINTは空軍の役目。上陸地点周辺の偵察機による強行偵察、写真撮影は状況に応じて空軍あるいは海軍の役目。
上陸作戦に先立って行われる、巡航ミサイルによる敵周辺軍事施設の破壊は状況に応じて空軍あるいは海軍のあるいは双方の役目。
上陸地点周辺の海域に潜む敵潜水艦の排除は海軍の潜水艦の役目。直前になって海軍や海兵隊のヘリが加わります。
あと上陸地点への艦砲射撃も海軍の任務です。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%81%A0%E5%BE%81%E6%89%93%E6%92%83%E7%BE%A4
②、③についてはまず話しが外れますが、普天間基地の移設問題で先日オバマ-野田の会談でオバマから切り出したのは事故を起こしたら周辺住民に大きな被害が出るからだなんて考えていませんか?
詳しくは「普天間基地の大本命『浮原島』」(比嘉、安次「軍事研究」2010/6 pp.28-40)にありますが、普天間は弾薬類がハンドリングできない、海兵隊にとって最も危険な基地だからというのがアメリカの本音です。
弾薬類のハンドリングが必要な場合は嘉手納を使っていますが、有事の際には対応が遅れることとなり、それが原因の被害を恐れているのです。
それとは似たような理由で、海軍が海兵隊のパイロットに空母への離着艦を許すなんてことは絶対にありえません。敵の地上砲火を喰らう、激戦で燃料が足りないどんな理由があったとしてもです。激しい訓練を積み重ねた自軍のパイロットですら、着艦時には事故を起こすんです。どんな訓練をつんだか判らない他の軍のパイロットが助けを求めてきたら対応は決まっています。
ヘリで救助してやるから着水しろ、機体は放棄しろ。です。
着陸に失敗されて空母が沈没することになれば本体だけで4000億円、航空機や装備を含めれば1兆円の損害です。人員も退艦が遅れれば3000人が死んでしまいます。損傷のない機体で海兵隊一のパイロットから着艦したいと申し入れがあったとしてもそこは変わりません。
>4)は「そうでもない」とのご意見ですが、推力偏向による高機動戦闘は燃料の消費が激しく逆に不利、という言説も目にしたことがあります。亜音速機であり、超音速戦闘機と渡り合うのには分が悪いのではないでしょうか?
>5)は仰るように、高性能ミサイルに頼るのであれば、スペインやイタリアのように艦隊防空戦闘機として運用もでき、余計にF/A-18の必要性を減らせると思うのですが。
推力変更に高機動戦闘は燃料の消費が激しく逆に不利というのは誰の説でしょうか?理解に苦しむ説ですね。私の知る限り推力方向を変更するだけですから、燃料消費は大きく変わりませんよ。燃料消費量に言及するなら、CTOL機はアフターバーナーを使いますから、燃料消費量を問題にされるならむしろそちらの方が不利だとなります。
問題とするべきは、VTOなら推力の関係で十分な燃料を積載できず、十分な航続距離が得られないことでしょう。
高性能ミサイルに頼るという表現自体も兵器マニアの陥りやすい誤解で、兵器と言うものはどこか突出したものを持ったとしても意味がありません。また多くの兵器種を揃え、ミッションに応じて最適な兵器種とその運用部隊を投入します。
高性能ミサイルが開発されれば、それ以前の機種でも運用が可能かを検討して、アビオニクスの改造で可能なら改造もします。前回の回答にも書きましたが、AV-8Bの場合、亜音速機で排気口が胴体の真ん中にあることから地上からの攻撃に弱いと言う欠点がありますから、その欠点を穴埋めすると言う意味でもF/A-18は必要です。
AV/8Bと表記したことは申し訳ありません。若い頃からそう表記していました。今回、色々確認するためにググった際にもそのまま検索できたのでそのまま使ってしまいました。むしろご指摘感謝します。
>人を小馬鹿にしたような文章は苦手です
そういう風にとられたのなら、それはお詫び致します。
ただ、逆にご自身が誤った理解のまま信じ込んでいることを指摘されたことでそうとられた面がありませんか?例えば、カナダやオーストラリアでは空軍がF/A-18を運用していることを拒絶反応を示した時点でそういったものを感じました。
兵器マニアや戦争オタクはとにかく、新兵器をありがたがり、性能の一部分だけで兵器としての価値を勝手に決め付けてしまう傾向があります。実際の用兵側はそうではありません。B52が現役の理由もそうですし、湾岸戦争でF-111の方がF-16/18やF-117よりもはるかに重宝されました。
もっとも、悪いのはindigoworksさんではなく、江畑謙介さんのような軍隊経験のない軍事評論家の思い込みや、戦争論すら読まずに戦争について語るコメンテーターの方だと考えますが。
(航空機だけ海軍に頼むとなれば、海軍との連携が必要となってしまい、その一事がスピードや判断の足かせになる、ということかと思います)
また、空母を持つことは悲願のようでしたが、いろいろな事情で叶っていないようです。
参考:
http://www6.atwiki.jp/army2ch/pages/248.html