A、B、Cの3個の長方形の土地があります。それぞれの土地の所有者もA、B、Cとします。
AとBが隣同士で接していて、AとBが並んだ線に接するようにCがあります。
A、B、Cの共有点に、上にTの字が書かれている杭を1本打ちました。Tの字の上がC、左下がA、右下がBです。
AとCは、その1本の杭の位置を決める図面を書いて、お互いにその位置を了解する旨の書面に署名捺印をしました。
AとBも、同様にその1本の杭の位置を決める図面を書いて、お互いに署名捺印をしました。
しかし、CはBに対しては、それを拒みました。
その場合、BはCに対して、その杭の位置を3者の境界点として主張できるでしょうか。
CはBに対して、別の位置を3者の境界点であると主張できるでしょうか。
土地の所有権は物件ですが、2人の間の契約で2人の関係を決めることができるのでしょうか。
登記はしないことが前提です。
土地の所有権は物権ではありますが、第三者対抗要件を満たさねばなりません。
不動産の第三者対抗要件は登記による公示ですから、
私的な合意のみで公示されていないのであれば、当該合意を第三者に主張することはできないということ。
これが原則でしょう。
土地の境界線には、筆界(登記上の公的な境界)と、所有権界(私法上の境界)という二つの概念があります。
あくまでも公示主義ですから、当事者の二者間で境界について合意しただけでも、所有権界は、当事者間で成り立つでしょう。
しかしながらこれは、私的な合意でしかありませんので、合意当事者以外の第三者との間では効力が及びません。
合意当事者だけの紛争であれば、契約に基づいて争う所有権確認訴訟で処理しえます。
しかしながら、第三者がからんでくれば、当該契約の拘束力は第三者に及ばず、境界を確定することには公的な性質をもってきます。
そのため境界確定の訴えや筆界特定制度に基づいて、処理することになろうかと思われます。
この際に境界を主張する場合には、相手方と第三者間でなされた合意を主張として援用するのは、紛争処理上ではきわめて有効になろうかと思います。
しかしだからといって、法的な紛争処理手続にのせずに、実体的権利関係が一足飛びに認められると考えるのは、短絡的ではないかと思います。
>登記はしないことが前提です
表題登記を行うことは義務です。
つまり、杭を打ってAの土地とBの土地との境界を明らかにしたなら、それを表題登記しなければなりません。
この時点の状況ではB-C間の境界が定まっていないので、Cが長方形になると断定する事もできません。
Cの主張する所は、B-C間がもっとBへ食い込んで、Cの土地が「¬」のような形という事ですよね?
数学の問題のように、全ての土地が長方形である、とか、1点で全ての境界が規定できる、というような前提があるならともかく、現実には境界を定める杭は何本でも打てますし、土地の形が長方形でなければならないという事もなく、丸だろうが三角だろうが複雑に入り組んでいようが関係ありません。