精神疾患でないフェティシズム、性的嗜好は多くの人が抱えているのではないかと思うのですが…。
私も何項目か思い当たる節がありますが、問題はないように思います。
そもそも性的倒錯による問題というのはどんなことでしょうか?
ヲタクに見られる「女体化」「男体化」「獣耳」なども性的倒錯に入るのでしょうか?
また、「アクアフィリア」「デンドロフィリア」「ダクライフィリア」の人というのはどれくらい居るのでしょうか…?
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%80%A7%E7%9A%84%E5%80%92%E9%8C%AF
↑貴方は当てはまる項目がありましたか?(回答しなくても良いです)
私も当該ページを読んで再認識したのですが、ある性的嗜好が異常であるかどうかは文化や時代によって定義されるものであり、社会的不承認による自己の葛藤や一種の禁断症状といった結果的な症状によってこれを精神疾患と呼ぶことはできるとしても、それらの原因をすべて精神の異常に帰すことに関しては、私は精神医学に通じておりませんけれども疑問を抱いております。しかしながら凶悪な犯罪者の中には先天的に特殊な性癖を持って生まれたとしか考えられない事例も見られ(3歳の時点で血に対して淫乱な妄想を抱いていたという東欧の20歳未満の殺人者の事例)、これらを真性の病理的な性的倒錯とすべきであり、そうでないものについては必ずしも反社会的なものと看做すべきでないと考えております。第一、愛し合う男女の間に例えば吸茎のような明らかに変態性癖的な行為は普通に行われるわけで、こうした性癖の萌芽を人間誰しも持っているのであり、問題はそれらが内内で双方の合意によって完結せず、例えばフェティシズムでは女性の下着を盗むとか通りすがりに髪を剽窃するとか、他者に危害や脅威を与える反社会的行動という形で表出することがありうるということでしょう。そういう意味で、性的嗜好のうち一部が性的倒錯となりうるものであると私は認識しています。
さて、上に挙げられている三つの嗜好ですが、まず上に述べたことから申しますとそれらは性的嗜好ではあっても、社会的に影響を及ぼす可能性、というより実現性が低い事から性的倒錯とは言えません。これらはオタク文化(他に適当な表現がないので)で実現の不可能を前提に虚構の枠内で醸成された嗜好であり、言うなれば創造性の現出、否定されるものではないと考えます。また例えば獣耳などは毛皮のファーといった現実におけるファッションなどとも一部通ずるものがあり、現実において危害や脅威を及ぼし得ません。しかしながら恐らくご存じのようにこうしたオタク文化の内にも、リョナ(猟奇)やダルマ(四肢欠損)のような極めて反社会的な性的嗜好も一部見られ、残念ながら実際に事件が起こってしまったものもあります(江東バラバラ殺人事件)。こうしたものに関しては性的倒錯、あるいは変態性癖と呼ばざるを得ないでしょう。
最後の質問に関しては、手に届くところに統計資料がないように思われるので回答を控えさせていただきます。
なお性的倒錯に関しての基礎的な知識を、私は平凡社『世界教養全集33』収録のH.H.エリス『性と心理学』によって得ました。不足であればご参照ください。
Wikipediaの「性的倒錯」のページを質問に挙げられていますが、その中の「概念と診断基準」を読まれると、疑問は解消すると思います。わかりやすくいえば、性的倒錯(パラフィリア)であるとされるのは、
①自分自身の性的嗜好を苦痛に思っていて、思うような生活が送れず、
②さらに、自分自身の性的嗜好により、まわりの人の生活に悪い影響を与える。
というケースです。この①②にあてはまらない場合は、性的倒錯とはいいません。①か②の片方だけあてはまる場合も性的倒錯とはいいません。性的倒錯による問題というのはすなわち、①②のことだといえますね。
よって、女体化や男体化や獣耳などは、想像したり絵に描いたりして遊ぶだけだと思われ、苦痛や悪影響などはないので性的倒錯とはいえないでしょう。以上、ご参考まで。