先月、父がなくなり母親と私、妹の3人で父の遺産を相続することになったのですが、家族間でもめています。原因は遺書が残されており、妹の遺産額が少ないことだと思います。
妹は弁護士を付けるだの、自分の遺産額が少ないから増やせだの、再三に渡って文句をつけてきます。母を含め近い親族も相続など経験したことがないため、相続問題を熟知している専門家に相談すべきなのかも分からず困っています。
家族の問題なので、出来ることなら家族で解決したいため、このようなケースでも参考になるものを紹介して頂けませんでしょうか。
遺書は民法で規定されている遺言状(法律用語では「遺言(いごん)」)では無いので、法律的には効力がありません。
遺言の要件や遺言の執行・撤回については、民法第960条から第1027条に規定されています。
民法第960条
(遺言の方式)
第960条 遺言は、この法律に定める方式に従わなければ、することができない。
妹さんが法定相続分(妻1/2・子供1/2なので子供2人の場合は各々1/4・民法第900条1号及び同条4号)を主張するのは、当然の権利です。
民法第900条
(法定相続分)
第900条 同順位の相続人が数人あるときは、その相続分は、次の各号の定めるところによる。
1.子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各2分の1とする。
2.配偶者及び直系尊属が相続人であるときは、配偶者の相続分は、3分の2とし、直系尊属の相続分は、3分の1とする。
3.配偶者及び兄弟姉妹が相続人であるときは、配偶者の相続分は、4分の3とし、兄弟姉妹の相続分は、4分の1とする。
4.子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。ただし、嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の相続分の2分の1とし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の2分の1とする。
妹さんが弁護士を立てるのであれば、残念ですが民法に従って各人の相続分を決定するか、家庭裁判所に家事調停を申し立てるしかないと思います。
(調停不調の場合は家事審判に移行します。)
家事調停については、下記のサイトをご覧下さい。
調停手続一般(裁判所HP)
調停手続一般
1. 調停事件とは
調停事件は,乙類調停(乙類事件),特殊調停,一般調停とに分かれています。
乙類調停には,親権者の変更,養育料の請求,婚姻費用の分担,遺産分割などがあります。これらの乙類事件は当事者間に争いのある事件であることから,第一次的には当事者間の話合いによる自主的な解決が期待され,主に調停によって扱われますが,審判として扱うこともできます。乙類事件が,最初に調停として申し立てられ,話合いがつかずに調停が成立しなかった場合には,審判手続に移り,審判によって結論が示されることになります。また,当事者が審判を申し立てても,家事審判官がまず話合いによって解決を図る方がよいと判断した場合には,調停による解決を試みることもできることになっています家事調停で解決相続・親族間の問題(公益財団法人 日本調停協会連合会)
相続・親族間の問題
遺産分割
亡くなった親や親族が残した財産の分け方について話合いがうまく行かない。
親や親族が亡くなり,その遺産の分け方について相続人の間で話合いがつかない場合には家庭裁判所の「遺産分割調停」で遺産をどう分けるかの話合いをすることができます。
調停では,遺産の分け方を話し合う前に相続人はだれか?(相続人の範囲の確定),遺産は何があるか?(遺産の範囲の確定),遺言書はあるか?(遺言書の存否,有効無効)などを確認する必要があります。遺産の分け方としては現物分割,代償分割などがあります。
調停では,当事者双方から事情を聴いたり,必要に応じて資料等を提出してもらったり,遺産について鑑定を行うなどして事情をよく把握したうえで,当事者双方の意向を聴取し,解決案を提示したり,解決のために必要な助言をし,話合いを進めていきます。
遺産をどう分けるか調停で話合いがまとまらず不成立になった場合には,自動的に家事審判官(裁判官)が,一切の事情を考慮して,審判をすることになります。