私は長らく、人が神を作り出したと考えております。
ミクロネシアの神話だったか、元始双子の人間があり、一方の肌は白く、他方の肌は黒かった。前者は海を渡り大陸に定住し、後者は島で暮らした。やがて時が経ち、前者、すなわち白人がキリスト教の布教のために、後者、すなわち原住民の住む島に戻ってきた、というものがあります。当然ながらこの神話はキリスト教布教のためにやってきた白人の発見に由来するものであり、元々あった神聖なる存在を同定したというよりは、事象を合理化するために創り出したと考えるべきでしょう。
この場合は神ではありませんけれども、自然の事象に深く根差している多神教の神々、例えば私は神道と仏教を信奉しておりますが、日本神話の神々なども、こうした発見に基づいて名づけられているのであり、また一神教の神についても、例えばユダヤ神話の宇宙水の概念など、やはり自然界の事象を説明するために用意されていると思われるものが共通している点で、同様のものと考えられるので、概して神は人間が作り出したものと考えるものです。