これは、歯茎からなんらかの液(血液の場合も)が出ているのを舌が検知した、
または、歯茎に挟まっていたり、歯周ポケット内にある、食物が変化(菌のために酸化)しているのを舌が検知した、
ということではないか、と思うのですが、どうでしょうか。
お医者さんは、視認したり、細胞をとって化学的な分析で数値に直したり、客観的なことを重視すると思いますが、患者本人の味覚(つまり、自分の舌の感覚)も、重要だとおもっています。ただ、問診なのでうまく伝わらないし、客観的ではなさすぎるで、「検査数値で異常なしです」、と押し切られてしまいます。
人間の感覚というものは思った以上にあてになりません。
外界の物理的な現象を検知したから感覚が生じたのかというと、そうとは限らないんですよね。
で、それを第三者として診療する医師の立場からです。
患者さんが口腔内違和感を自覚した、それは事実でありもちろん事実として受け止めます。で、口腔内を調べてみる。第三者の目(検査も含めて)では特段かわったところは見受けられない。
さてどうするかです。
この場合医師として大事なことは、見逃したらまずいものを見逃さないという一点です。口腔癌を見逃したりしたら、まずいですよね。歯周病も虫歯も、あれば見逃さずに治療したいところです。
逆にそういう「見逃したらまずいもの」も見当たらなかったらどう考えるか。
自覚症状はあるが所見は見つからなかったという謎は未解決だけど、未解決でもいいじゃない、まずいものはないんだし、が現時点で最も妥当な結論となります。
だから本人としては、少なくとも放置してまずいような病変はないので、ここは堂々と「気のせいだろ」で済ませておくのが精神衛生上よろしいのではと思います。