昔から疑問に思っていたのですが、「ルパン三世のテーマ」の
http://www.utamap.com/showkasi.php?surl=B30217
↑の歌詞の4行目と5行目の比喩が、腑に落ちません。
[原詞]
男には自分の世界がある たとえるなら
空をかける ひとすじの流れ星
↓
[自分の解釈]
男性は誰しも、(ことに女性には)邪魔されたくない、
自分だけの夢を追求したいという心情があり、
それは空を流れ落ちる、ひとつの流れ星のように( )だ
↓
[自分の疑問]
( )にどんな言葉をあてはめればしっくりくるの?
「孤独なもの」
・・・うーん、いまいち・・・。
↓
「はてな」のみなさんに質問してみよう!
と思った次第です。よろしくお願いいたします。
id:lionfan2さん! お待たせしました。
lionfan2さんの考えを図示すると、今回のテーマは下図でいう意味の橋になるはず。
でもね、私が大事だと思うのは、ここじゃないのです。
いまからその話をします☆
私がこの歌詞を見て、最初にすごいと思ったのはとにかく1行めです。
真赤な薔薇は あいつの唇
この部分がすごいのです。
そしてこの部分に注目すると、lionfan2さんが考えていた5~6行めもつられてわかるようになります。
だから、回りくどいようですが、まずは1行めを考えてみることにします。
共通点は、比喩です。
私的には、比喩は3つの要素でできています。トピック、例え話、意味の橋、です。
例示します。
「先生は天使のようだ。」という文なら、「先生」がトピック、「天使」が例え話になります。
トピックは比喩の外にあるいわば「地の文」なので、意味は字義通りになります。
例え話は字義通りの意味ではなく、天使が持つ特徴を「天使」という言葉で代弁させていることになります。
最後に意味の橋ですが、これは文中には出てきません。
意味の橋とは、トピックと例え話を意味の上でつなぐもの。
今回でいうと、「先生」と「天使」には「優しい」という共通点があります。
ここでは「優しい」が意味の橋です。
図示すると、以下のようになります。
例示おわり。
さて、歌詞の1行めの比喩はこうでした。
真っ赤な薔薇は あいつの唇
図示するとこういう感じです。
これでいうと、「真っ赤な薔薇」がトピック、「あいつの唇」が例え話になります。
意味の橋はきっと「赤い」ということでしょう。
…ここであれ?って私は思いました。
あれ、トピックと例え話、逆じゃない??
そうなのです。1行めの文、順番がふつうとちょっと違うのです。
ふつうだったら、唇を見て、それを薔薇に例えるところだと思うのです。
でもこの歌詞は逆です。そしてそれがこの歌詞のいいところです。
1.は、この歌詞を文に変換したもの。2.は、それを入れ替えて、ふつうな感じに私が作ったものです。
人のからだを別のものに例えるのはよくある手段です。
たとえば、白い雪のような清らかな肌を持つ少女を白雪姫とか言ったりします。それふつう。
それが、逆だったらどうでしょう。
雪を見て、それと同じような清らかな肌を持つ少女を想起するのだとしたらヤバいです。
その人どんだけ肌白いんだよ!!って思います。
それと同じことが、この歌詞の中で起きています。
「真っ赤な薔薇は あいつの唇」って表現、聞く人にすごく赤さの印象を強く残すのですね。
1行めは、こんなふうにすごくイレギュラーで、気の利いた表現です。
とすれば、lionfan2さんが注目されている5~6行めも同じ構図にならないでしょうか。
改めて引用すると、5~6行めはこうでした。
男には 自分の世界がある たとえるなら
空をかける ひとすじの流れ星
それに対するlionfan2さんのまとめは、こうです。
でも、私はこうではないと見ています。
「流れ星」は例え話ではなくて、トピックのはず。
流れ星を見て、流れ星みたいな人を想起する、というような流れにならないと、1行めと対応が悪くなっちゃう!
でもそうだとすると、流れ星のあとに例え話が出てくるはずです。
それなのに見当たりません。
どうして?
存在しないのではありません。歌詞としては文字に起こされていないだけです。
「ひとすじの流れ星~♪」のあと、曲はこう続きます。
「ルパン ザ サード!」って。
これ、構図を描き直すとすると、こうです。
「男には 自分の世界がある」の部分は、もはや比喩とは関係のない部分です。
それよりあとの部分だけで、比喩の世界は完結しているみたいなのです。
私は「流れ星」はトピック「ルパン ザ サード」が例え話、だと思います。
この歌詞は、こんなふうに、私たちの予想を裏切ったところに比喩があるからこそ、
ステキで素晴らしいのです。
しかもここで「流れ星」って言葉がチョイスされるのは、ほんとにセンス感じます!
だって「流れ星」は1行めの「薔薇」と対比されているのですよ。
「薔薇」は動かないものだけど「流れ星」は動くもの。
「薔薇」は色を反射して美しいものだけど、「流れ星」は発光するから美しいもの。
それに「薔薇」は見下ろすものだけど、「流れ星」はいつだって見上げるもの。
「薔薇」と「流れ星」はふだんは対で考えたりしないものですが、
こうして対応させるために、よく練られたペアなのです。
この対応関係は意味の橋でもあります。
この質問の当初の趣旨は、意味の橋を探ることでした。
上記の対応関係が、私からの答えです。
それは空を流れ落ちる、ひとつの流れ星のように( 動くもの )だ
だし、
それは空を流れ落ちる、ひとつの流れ星のように( 輝くもの )だ
だし、
それは空を流れ落ちる、ひとつの流れ星のように( 見上げたもの )だ
です。
でもこの歌詞の見どころは、もっと違うところにあると私は思ったのです。
この目に見えにくいくせによく練られた比喩の構図が、この歌詞の一番の見どころだと私は勝手に考えたのでした。
長文お読みいただきありがとうございました。
また歌詞について質問したいです!!
新しい質問はお役に立てそうにありませんが、未来の歌詞の質問、楽しみにしていますね!