・弁理士、税理士、など資格をとって、独立などいわれますが、業務経験だけで独立できないのですか?
→独立というのはフリーエージェントです。自力で仕事をとってくることになります。
資格は看板です。業務経験があり実力もある→当然試験にも受かる→看板を持てる ということです。
看板も持てない人間に自分の難しい問題を相談する人はいません。
家をたてるのに、建築士じゃない人間に相談しても意味がありません。
体を治すのに、医者じゃない人間に相談しても意味はありません。
まして、今は士業の人間はありあまっています。
たくさんいる弁理士、税理士のなかから、自分に合う人を捜すというのが普通です。
・弁理士や税理士がやる仕事を経験して、独立できるほど実力があれば、資格を取らなくても独立できるのではないでしょうか?
→上で書いたように、「独立できるほどの実力」とは、客の信頼を得られる力、営業力になります。
よほどすごい人脈や口コミがあれば、「看板」がなくても依頼はくるかもしれません。
たとえば、無免許医ブラックジャックの物語は架空として存在します。
しかし、漫画を読めばわかりますが手術を失敗をすると前科持ちにされたり、医者も命をかけなければならないような手術で、だれも他にやりたがらない、そんな仕事ばかり舞い込みます。それを乗り越えるのが質問者の目指す「実力」だというならそういうやりかたを必要とするひともいるかもしれませんから、トライしてみればよいでしょう。
(私はそのような命がけの難事件は受けたくありませんし、そんなへんな需要ばかりの世の中になったらまず数年のうちに法改正で是正されるとおもっていますが。)
・理論上と実際問題に分けて回答をお願いします。(ほかにも弁護士、司法書士など士業はすべて)
→実際のところ、弁理士、税理士の資格を取らずに企業内の「知財部」や「経理」でそのように「実力」を発揮している人も多く存在するとおもいますが、それは「看板」=「企業内での肩書き」だから企業内で堂々と通用しているわけです。
企業からはなれて独立するときには、実力で「資格」という別の看板をゲットしつつ、客も自分でとらなければなりませんね。(顧客引き抜きは訴えられかねないことは、法に詳しい方ならご存じでしょう)
弁理士、税理士の場合、専任事項である「代理」は無資格者はできないので、
無資格者だけがアドバイザーについた場合は、
顧客本人が役所に足を運び法的手続きをする(顧客がいやがっても、させなくてはいけない)
ことになります。
そのうえ無資格では法的書類に名前が出せません(当事者でも代理人でもないのですから)。
名前が出ない仕事は高報酬にもなりませんし、次にもつながりません。
(無資格者については専任業務の宣伝も規制されています)
顧客の気持しだいで、縛りがないのです。
顧客の気持といえば、大体は「報酬が安かったから無資格をつかってみたけど、役所に自分で足をはこばされたりして疲れた。でも事件のほうはねばりづよくやればかなりのお金になりそうだ。本格的に腰をすえてこの事件をやるなら、次の呼び出し日までには別のちゃんとした弁理士、弁護士に代理を頼もう」というのが普通です。
つまり、もし人脈で仕事が得られても、
一番むずかしいとっかかりの作業だけ
安く食い逃げされる立場が「無免許」なのです。
そうさせられる社会のしくみは、私自身の思いこみではなく
行政訴訟法・民事訴訟法・弁理士法・税理士法など
資格に必須の勉強からも見て取れるものです。
法律や社会システムという生き物がどう感じ、動いているかが
皮膚感覚で理解できていないうちは、
まだ本当の意味の「実力」などはないし、
士業で独立してもくっていけないだろうな、と私は思います。
たとえば特許関係の仕事で「技術理解と翻訳方面のみの実力」がおありなら
http://trans.kato.gr.jp/honyakuQA.html
のような周辺業務はあります。
いわば弁理士の下請けです。
それであれば無資格でも特に問題はないでしょう。
(それも「看板」があったほうが仕事はきやすいですけど、
機械翻訳普及でこれも難案件ばかりのこってる分野ですね)
税理士にいたっては、レシートを送ると記帳してくれる無料ネットサービスも多数ありますよね。
こういう世の中で人さまからお金をいただけるためには、
資格取得のハードルくらい軽く超えてみせないといけません。
「独立」や「実力」の意味がどうも誤解されているような気がしますが、
典型的な話は「居候弁護士」や「事務所員」と、「事務所経営者」のでてくる小説や漫画などでも描かれていますので、もっとしらべてみてはいかがでしょう。