お題:「しゅうまつ」「きぼう」
から想像したショートストーリーを回答ください。
・本文やタイトルに直接キーワードを使う縛りはありません。連想できればOK。読んでわからなければ聞きます。
・2つとも1話の中に含めること。
〆切:2014/8/9(土)23:00~ ※開催者都合により変動します。応相談。
自動〆切前に終了しますのでご了承ください。
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補足事項:(ポイントに興味のない方は読み飛ばしてOK)
1)内容が一定の基準を満たさない回答は基本点もカットします。(開催者判断)
2)開催者連想元ネタとの一致は、原則として採点対象外ですのでお好みで。
3)キーワードをタイトルに使う縛りはありません。
4)〆切前の修正履歴は採点に影響しません。採点は〆切後の投稿作について実施します。
5)作品の長さは2000字前後を目安としますが、長短は採点に影響しません。
『尖った人になる』
チープなマンガみたいで申し訳ないんだけど、高3のとき、俺は進路希望を白紙で出した。未来のことを考えるのが心底嫌だった。
思えば、高校受験のときも進路に希望なんてなかった。塾の先生の言う通りにしたら、まあ《県内一の進学校》に合格した。
あれから3年。倒したはずのボスは、パワーアップして帰ってきた。また俺にのしかかる、進路希望という重圧として。
俺ら軽音部には3種類の人間がいた。音楽ガチ勢、勉強ガチ勢、そして、けいおん!ガチ勢だ。
音楽ガチ勢は、毎日普通に練習して音楽極めてた。合間のトークはもちろん音楽談義で、しかも洋楽とか普通に絡んでくるから、せいぜいDragon Ashあたり止まりの俺には完全に無理ゲだった。このうち一組は去年インディーズでCD出して、ナタリー載ってたりした。ゲス極の隣だ。本当にすごいと思うんで聴いてください(ステマ)。
次に勉強ガチ勢ですが、この人たちは2年あたりから数が減り始め、3年になったら完全に消失あそばれました。放課後にエレキを繋がずに弾きながら教室で駄弁ってて、トークの内容は「大航海時代と鎖国との関係」だったりした。だいたいこういう奴らは要領いいから、なんだかんだ演奏もうまい。3年への春休みで全滅したけど。
最後にけいおん!ガチ勢だけど、こいつらは1年でみんな来なくなった。最初のうちは「ギー太」がなんとかと言ってギブソンを買うものの、いつの間にか来なくなり、青い看板のお店へと消えていった。こういう奴らはFree!を見たら水泳を始め、ワンピースを見たら海賊業を始めるんだろうか。いいけど。
それはともかく、俺はというと、実はどれにも属さなかった。というか、属せなかった。
目指すところは音楽ガチ勢なんだろうけど、ガチなガチ勢には知識も技術も手が届かず、2年になってからはギターから逃げるようにラップを始め、後輩を引き連れて先輩風を吹かすぐらいのことしかしてない。
それはそれで日々楽しかったし、たまには校外でもライブやって、下手なりにステージはいい場所だって実感したりした。打ち上げと称してサイゼで深夜までドリンクバーで粘った。大富豪を始めたらさすがに追い出された。
3年になって、気付くとそんな馬鹿をやってるのは俺だけになっていた。
残りのみんなはたいてい勉強(一部は音楽)の道に時間を割き、それなりに成果を上げていっていた。俺だって勉強しなくはなかったものの、もちろん成績は単調減少を遂げた。
そんな俺に、ついに奴がやってきたのだ。その名は、進路希望調査用紙。俺は期限ぎりぎりまで引っ張って、空欄で出した。
そしたら親に連絡が行ったらしい。ウチは共働きで、父親が単身赴任だったから、こういう話はとりあえず母親に連絡が行く。進路希望を携えて、母親の仕事が休みの週末に三者面することになった。
のだけれど、俺は母親に、進路の話なんかしたことがなかった。
何度も言うけど、未来のことを考えるのは本当に嫌だったのだ。
「で、何したいわけ?」
母親は言った。
「ラップ」
俺はふざけて答えた。へらへらした。怒られるんじゃないかと思った。てかそうして欲しかった。
でも違った。
「なんだ。じゃ、それでいいじゃん」
母親は、あっさり言ったのだ。
「え?」
「え、じゃないよ。音楽やりたいんでしょ。やればいいじゃない」
「でも」
「何? ガッコ行ってお勉強したいわけ?」
俺は口ごもった。
「いや、そう、言われるかと、思って」
「あんたは勉強したいの? ラップやりたいの?」
「…ラップやりたい」
「ラップは好きなの?」
「…好きだ」
「じゃあ、本気でやりな。それが、あんたの人生だ」
「…うん」
俺は頷いた。母親は、あ、と言ってから、最後に付け加えた。
「言っとくけど、ここでラップを選ぶってことは、それだけあんたの人生の選択肢が狭まるってことだ。けど、狭まった選択肢は、それだけ、尖りやすくなる。狭めたからには、尖った人になるんだよ。いいね」
話はそんな感じで、あっさり終わった。終わったけれど、これは終わりじゃなくて始まりなんだってことがさすがの俺でも分かった。
そんな風に思えたら、急に涙が出てきた。で、俺は子どもみたいに泣いた。「子どもみたい」っていうか、実際子どもなんだけど、何年もそんな風に振る舞ってこなかったから。いつも斜に構えて、友だちみたいに接してた。母親は俺の肩をとんとんと叩き続けた。そして俺が泣き止んだら、
「ほら、早く進路希望書いちゃいな」
と声をかけた。
「『ラップ』じゃなくて、『音楽』ぐらいにしといたら」
と母親は言ったけれど、俺はすすり上げながら「ラッパー」と書いた。母親は俺のことを小突いた。俺は笑った。母親も笑った。
その週末は三者面だった。俺は思った。
週末が、「終末」じゃなくてよかった、って。
ここにも、もしかしたら、俺と同じ境遇の人がいるかもしれないな。
でも先輩として言えることは、まあ、よく話し合って欲しいってことだ。
あのときは本当に、親にも先生にも感謝してる。この学校を出て、大学に行かせないなんて勇気のいる決断だから。
あとひとつお願いがある。こんな経緯のある人間も世の中にはいるから、ラッパーが親とか先生とかに感謝した曲を歌ったって、安易に揶揄しないでな。ちゃんと背景があるって知ってもらえたら、嬉しい。00
では、ご清聴ありがとう。最後に、一曲歌います。
みんなの進路選択がいいものになるよう願ってます。
ネットの世界には魔人がいる。コンテンツ名はアキネーターだ。
こちらが思い浮かべた人物を魔人が質問をすることによって当ててくるというただそれだけのゲームである。
わたしはついさきほど、週末ヒロインももいろクローバーの「高城れに」を思い浮かべて、魔人と二戦闘ったばかりである。
一戦目は泥仕合、二戦目は脆くも惨敗した。
ももクロでは分が悪い。AKBほどではないが全国区である。
ももクロメンバーで戦うのは魔人にとって容易すぎるはずだ。
わたしが勝てる希望は少ない。
そこで作戦を変更した。
わたしがとった策は卑怯ともとれるものだ。
ももクロの妹分、たこやきレインボー。まだまだ世間的には知名度の低い、関西ローカルといってもいいアイドルである。
そのメンバーで勝負することにしたのだ。
20問以内に当てられたら私の負け。そうでなければわたしの勝ちというルールを勝手に設定した。
いざ、魔人との勝負の時である。
魔人は問う。
「それは女の子であるか?」
背筋に冷たいものが走った。
わたしの思い浮かべた「掘くるみ」は中学生だ。もちろん女性だ。女子である。
まあ、これくらいはたまたまということだろう。
「はい」と私は短く答えた。
魔人の二問目だ。
「それはチーム、あるいはグループのメンバーか?」
悪寒が止まらない。もちろんたこやきレインボーというグループに所属しているのだ。
たばかるわけにはいかない。
そう、日本には、いや、世界には女性グループなどごまんとあるのだから。
その中でわたしが選んだのは知名度もまだまだ低いたこやきレインボーなのだから。
「はい……」
そう答えて魔人の質問を待つ。
「それはAKB48に関係しているか?」
妥当な質問だ。女性グループといえばその筆頭はAKB48だろう。残念ながら。
魔人の効率的な質問に寒気を覚えつつ、「いいえ」と答える。
魔人の四回目の質問が投げかけられた。
「それはミュージックステーションに出演したことがあるか?」
残念ながら答えはNOである。
「オーバーザたこやきレインボー」「なにわのはにわ」と2枚のシングルをリリースし、三枚目の発売を秋に控え、全国ツアーも敢行しているたこやきレインボー(通称:たこ虹)ではあるが、未だMステには出演していないのだ。
「いいえ、出演したことはありません」
しかしこれは良い傾向である。なぜなら、Mステに出たグループのほうが出ていないグループよりも圧倒的に少ないはずなのだ。
魔人を困惑させられたことだろう。
魔人からの五問めの質問は「その人物は実在するか?」というものだった。
「はい」とだけ答える。
今のところ、魔人が得た情報は少ない。グループでMステに出ていない女性というだけだ。
魔法少女などのアニメキャラや二次元やフィクションを省きに来たのだろう。
セーラームーンなどはももクロが主題歌を歌い、リニューアルされたところなのでタイムリーだ。
「その人物は10代であるか?」
なかなかに厳しい質問だ。
グループに所属していて、10代となればおのずと絞り込まれてくる。
が、こちらの優位は動かない。
何故なら、それはたこやきレインボーという魔人がひょっとすれば知りもしないアイドルグループのメンバーを勝負に使用しているからだ。
その程度の知名度のアイドルなら、残念ながらごまんといるのだ。
「はい」と答えつつ汗をぬぐう。
いや、魔人のペースダウンに汗は退いていた。
「名前に『な』が付きますか?」
唐突な質問であった。未だ7問目のはずだ。
まさか魔人はもう既に対象を絞り込み始めているのだろうか?
わたしは、たこ虹のメンバーを思い返した。
赤:奈良崎とわ(ならさき とわ 既に卒業)
紫:堀くるみ(ほり くるみ)
桃:彩木咲良(あやき さくら)
黄:清井咲希(きよい さき)
緑:根岸可蓮(ねぎし かれん)
青:春名真依(はるな まい)
『な』が付くのは赤と青の二人である。
そして、元レッドの「ならさき」はたこ虹で一番思い浮かべやすいメンバーでもある。
いや、しかしそれは考えすぎだろう。
いまだ、魔人はたこやきレインボーの「た」の字にも到達していないはずである。
そう信じつつ、「いいえ」と答えた。
「名前は全部で6文字か?」
8問目にしていやに具体的な質問だった。
メンバーで該当するのは、赤、桃、緑の三名。
仮に魔人がたこ虹にあたりをつけているのなら、すでに半分に絞り込まれたことになる。
――いや、しかし……まさかそんなことはないだろう
わたしが選んだのは「ほりくるみ」である。
「いいえ」
魔人は涼しい顔で次の質問を繰り出した。
「名前はすべて漢字か?」
これで9問目である。約半分だ。
やはり背筋を冷たいものが走る。
魔人がたこ虹に焦点を絞っているのであれば……だが、「な」が含まれず、6文字でなく、全て漢字でないメンバーは「掘くるみ」しか存在しない。
いや、たこ虹だ。大丈夫だ。
今後全国区に名を打って、甲子園で単独ライブを成功させるはずのポテンシャルを秘めたグループではあるが現時点でのたこ虹はそこまでの知名度はないはずだ。
気にすまい。魔人はまだ迷走しているはずだ。
わたしは自分にそう言い聞かせながら、
「いいえ」と答えた。
折り返しとなる10問目。
魔人は「その人物は日本人か?」と聞いてきた。
今更ながらの質問である。
ひょっとすれば魔人の中でなにか心当たりがあったのかもしれない。
が、それがはずれて今まさに方向転換、質問の練り直しをしているところであるのかもしれない。
もちろん答えは「はい」である。
魔人の能力にいささか疑問を持ち始めた。
噂に聞くほどの存在ではないのかもしれない。
あと10問持ちこたえられれば私の勝ちである。
「名前に「り」が入るのか?」
11問目はそんな問いだった。
やはり魔人は、既に絞り込みを始めているのだろうか?
しかし、たこ虹には至っていないはずだ。
確かに、「掘くるみ」には「り」が入る。
しかし、たこ虹であるなどという情報は今の今まで与えていない。
10代の女性グループでMステ未出演なんて山のように存在するはずだ。
「ほり」の「り」を確認しに来たなんてことはないはずだ。
震える声でわたしは「はい」と答える。
まだだ。まだ大丈夫だ。自分にそう言い聞かせる。
「5人組グループの一人なのか?」
魔人の12問目。元レッドのとわちゃんが抜けて、現状のたこ虹ちゃんは確かに5人グループだ。
だが……。
10代の女性5人組グループ。それはたこ虹だけではないはずだ。
残念ながら、わたしはあんまりアイドルに詳しくないので知らないが、他にもいるはずである。
魔人はたこ虹の存在を知っているかすら怪しいのだ。
「はい」と答えつつも、これが相手にとっての決め手にならないことを祈った。
「男女のグループか?」
魔人の13回目の質問にほっと一息入れる。
女性であることは既に吐露されてしまっているため、想定外の質問だったが、魔人はひょっとすると誰か別のグループを想定していたのかもしれない。
たこ虹はもちろん女性のみのグループである。というか、そもそも5人組の男女のグループなんて知らない。
そもそも5人組の10代のグループなんてしらないのだが。
とにかく、この質問で一気に絞り込むことはできないはずだ。
わたしは落ち着きを取戻りつつ「いいえ」と答えた。
まだ核心には迫られていない。
まだ大丈夫だ。
「名前に『村』が入る?」
やはりというか、魔人は見当違いな質問を繰り出してきた。
これで14問目である。勝利は近いのかもしれない。
このままのらりくらりと躱し続けていればわたしの勝ちが訪れるはずだ。
「いいえ」
しかし、15問目の質問でわたしは息を呑んだ。
「名前の最後が『み』で終わるのか?」
――堀くるみ……
まさか……。
いや、そんなバカな。偶然の一致であろう。
魔人の脳内――それはおそらくサーバー上の電子データにすぎないだろう――にたこ虹がインプットされている?
まさか。
既に魔人は多数の候補を除外してたこ虹に焦点を当てている?
いや、まさか。そんなそぶりは見せていないじゃないか?
「は……はい……」
魔人の顔がゆるんだような気がした。
魔人は更なる質問を繰り出す。
「マンチェスターでプレイしていたことがあるか?」
「は?」
「マンチェスターでプレイしていたことがあるか?」
思わず耳を疑った。
いや、無いし。女性グループだって言ったし。
いやとにかく、一問稼いだのだ。
魔人がどういう意図でこの質問をしてきたのかは不明だが、とにかく助かった。
「いいえ」
どこか自信に満ち溢れた声でわたしは答える。
この分であれば、目標の20問は達成できそうである。
たこ虹にはまだまだ距離がありそうだ。
すでに16問目だ。
あと4問で核心に迫られる可能性は限りなく少ないはずだ。
「真っ白な洗濯物が好きですか?」
こいつ馬鹿かと思った。こんな無駄な質問を繰り出すなんて。
とはいえ、わたしは堀くるみ(通称くーちゃん)が真っ白な洗濯物が好きかどうかは知らない。
そこでグーグル先生にお伺いを立ててみた。
『堀くるみ 真っ白な洗濯物』で検索してみたのである。
が、特にめぼしい情報がみつからなかった。
「わ、わかりません」わたしは正直に答えた。
とにかく、無駄に2問消費できたはずである。
あと3問だ。勝利は近い。
「物まねが得意か?」
これも難しい。やっていないことはないのだが、得意かどうかはわからない。
「わかりません」そう答えるのが精いっぱいだった。
「白っぽい作画ですか?」
もはや、魔人は迷走している。これは勝ちだ。19問目がこれである。
わたしの勝ちである。確信しつつ「いいえ」と答えた。
「仲間内では父親のような存在ですか?」
微妙な問いが続く。誰と勘違いしているのだろう? それすらわからない。
なんだかなあと思いつつ「多分違う」と答えた。
「しかくんですか?」
「は?」
「しかくんですか?」
「い、いいえ」
とにかく、これで21問目だ。魔人恐るるに足らずということだ。
「宇治松千夜が好きですか?」「いいえ」
「熊本に住んでいますか?」「いいえ」
「ツンデレですか?」「多分違う」
「階級はライト級?」「いいえ」
見当はずれな質問に気を抜いていたところだった。
魔人は高らかに笑いだした。
「お主が思い浮かべているのは「掘くるみ(たこやきレインボー)」じゃろう?」
「えっ?」
結論としては、計25問の末の回答であるために、勝敗としてはわたしの勝ちであるはずだ。
しかし、当てられたのは間違いない。
しかもたこ虹を連想させるような質問を一切出さずである。
何故か魔人が提示した写真は「堀くるみ」のものではなかったが(多分チームしゃちほこのピンクの子)、試合に勝ったが勝負には負けた気分に浸らされた。
思えば後半は、たこやきレインボーや堀くるみの情報が未だ少ない魔人が情報収集のために繰り出した質問だったのではなかろうか?
そう考えれば、「宇治松千夜が好きか?」や「ライト級か?」という質問を良く考えずに適当に答えてしまったのが申し訳なく思う。せめて「わからない」にしておくべきだったと思う。
とにかく、魔人の底力はたこ虹にとっての希望である。
週末ヒロインももいろクローバーの妹分、スターダストの最終兵器と謳われる彼女ら。
既にウィキペディアにも記事が存在し、魔人にすら知られているのだ。
甲子園での単独ライブも夢ではないのかもしれない。
~ fin ~
そしてsokyoさん、おめっとうです。
2連覇なんてもう一生できないって思ってました。みんな強いもん!
こうなったら前人未到(たぶん)の3連覇目指してがんばりますので、
どなたか夏が終わる前にもう一回開催お願いします☆★
GM91さん、プライベートめっちゃ忙しそうなのにどうもありがとうございます♪
またすぐ開催してくださってもいいんですよ〜??
あっしは当分田舎と行ったり来たりになりそうなので、当分無理っぽいです。
藤吉郎どんが速攻で宿題終わらせて、開催してくれるように流れ星にお願いしておきました。
早速、66開催しました。
q.hatena.ne.jp/1407993703
みなさんのご投稿待ってます♫
宿題をやりつつ、開催するぞー!(終わってないけど、もう少し)
私も色々チャレンジしてみよう…!
私も色々チャレンジしてみよう…!
http://necotoco.com/nyanc/bunfreeosaka_ug/kotohato/free/140816/2/work.php
読んでいただけると嬉しい。