かきつばた杯を開催します。
テーマ:弦
テーマにちなんだショートストーリーを書いてください。
詳しくはこちら
http://d.hatena.ne.jp/keyword/%BF%CD%CE%CF%B8%A1%BA%F7%A4%AB%A4%AD%A4%C4%A4%D0%A4%BF%C7%D5
締め切りは、8月28日(木) 21時頃。
それでは、よろしくお願いします。
講評なんてのは出来ませんが、感想くらいは書きます。
『ピチカート・ポルカ』
有楽町にあるコンサートホール。いつもの作業着やジャージではなく、着なれないジャケットにベストとワイシャツ、黒のパンツを着て、目当ての曲が始まる時間を待っていた。落ち着いたデザインのホール、イルミネーションが華やかな中庭。場違いな気がしてならないが、半券をきったチケットには、ちゃんと名前が印字されている。
ユウキ コウタ。結城工太。俺の名前。
サナダ オトハ。真田音葉。連れの名前。
本来ならば途中入場は許されないが、頼み込んで融通をきかせてもらった。俺を誘った音が、地元の駅から電車に乗るやいなや、頑なに拒否をしはじめた。
「音。おい、音葉。しゃがむんじゃない、折角の服が台無しだ。夏のセールで買った五千円のワンピースが」
「値段、言わなくていいから」
俺の腕を握る音の手を振り払おうとしたが、どんなに振り回しても離れなかった。どうやら落ち着かないらしい。
「工太……やっぱり私」
「帰るとか言うなよ。お前が頼んだんだからな。“こうたぁ~、明日のコンサート付き合って~”って」
「真似しないでよ!あれは酔ってたから……それに……」
「もう一回、帰るとか言ったら縛る」
「うぅ……」
酷く酔っぱらった音葉が俺の家にやってきたのは、昨日の夜のことである。俺の家は小さな工場を兼ねているので、酔っぱらい音葉を最初に見たのは工場長である俺の親父だった。
「工太、音ちゃんが悪酔いしてるぞ~」
親父も慣れたものだ。いつも可憐な息子の幼馴染の女性が、涙でメイクが崩れ、アルコールの効果で顔が真っ赤になっているのに動じない。音葉は一万歩譲って優しく言うとヘタレである。この界隈の人間はそれを知っているが、素面しか知らない人間が見ると驚くだろう。いつもはおしとやかにニコニコ笑っているが、アルコールが入ると悪酔いする。ヘタレという表現は、一万歩じゃ足りないかもしれない。
「こうたぁ~……この繊細な乙女のわたくしを慰めなさいよぉ~」
「音、兎に角ヒール脱いで、俺の部屋に来い。親父、お袋に水とおしぼり持ってくるように言っといてくれ」
「おう……」
結城家では、もう立派にマイナス値を更新している。
「フラれた?」
「うん」
落ち着きを取り戻した音は、事情を話しだす。
音は昔からクラシックが大好きで、最近はトウキョウ・スーパーオーケストラのイケメンヴァイオリニストに夢中である。コンサートに通い、ファンレターを書くうちに、イケメンヴァイオリニストの興味をひき、文通を始めたのだ。
とりとめのない文通を繰り返してからそれから半年後、音の元に告白を記した手紙が届く。有名人との文通、しかも相手は憧れのイケメンヴァイオリニスト。音が交際を受け入れるには条件が十分すぎた。
「向こうから告白してきたんだろう。何でまた」
「ウィーンに行くからって。私も行くって言ったら、教養のない女を連れていけないって言われちゃった」
コップに入った水をグイッと飲み、プハァ~と声をあげる。親父が二日酔いを心配して持ってきてくれた蜆の味噌汁も、割りばしで豪快にかき混ぜて一気飲み。頭の良し悪しは別として、確かにウィーンにはこういう女はいないだろう。実際、高校卒業もギリギリだったので、なにも言い返せない。
「でね……ウィーンに発つ前にコンサートがあるからって、チケット……渡されて」
「行くのか?」
「私の好きな曲もやるの。工太、一緒に来てくれないかな。事務の人が、ハートブレイクな女の子が一人じゃね、ってもう一枚くれたから」
「……別にいいけど、長居はしたくないな」
「“ピチカート・ポルカ”を聴ければそれでいいから。あの人の、日本で最後の曲」
俺は工場で育ったから、そういう格式高いものなんて触れたことがなかった。幼馴染とはいえ音の家は工場街から少し離れているから、どういう理由でクラシックにはまったのかは分からない。いつのまにか毎日ヘッドホンで聴いていた流行りの曲が、クラシックに変わっていた。
音は分かっていない。事務担当は、決して善意でチケットを余分にくれたのではないだろう。あまりのチケットがあったなら、それを捌きたかったから。ハートブレイク云々は、自分たちの楽団の中心人物にあっさりフラれた女への嘲笑。そんなところだろう。都内へ出るにも時間のかかる下町育ちには、この品格は分からないだろう、と。音は、それを分かっていない。それに――
隣にいる男が、どれだけ自分を心配し、心酔しているのかも知らない。
「あ、次だ」
「出てきたな。どいつ?」
「一番最後に出るはず……あ、あの人!」
「あいつか」
登場した男は、平凡を絵に描いたような俺とは正反対のイケメンだ。一気に音の大きな瞳が潤む。
勝ちたい。あいつに勝ちたい。別れた今でさえ自分を見つめさせて泣かせる様な、あの男に勝ちたい。会場の弦と反比例して、俺の心を縛る弦は強度を増し、呼吸が少し荒くなる。
演奏が始まる。ピチカートというのは、弦を弓で弾かないで、爪ではじく技法らしい。オーケストラ特有の荘厳な、弦を引っ張ったような会場の緊張感が少しほぐれた気がする。
「なあ、音」
「なあに」
今しかないかもしれない。音の気持ちがぐらついている時に、支えるのは俺の役目だ。
「俺にしとけば」
「え?」
「俺は、お前をウィーンに連れて行くよ。俺はこんな格式高い男じゃないけどさ、想いだったら負けない。小学校から蓄積されてるんだ。どんなに深くても半年の想いなんて、負けない」
曲が進んでいく。俺の心の鼓動も早くなってくる。
「工太……私、あの人のこと、好きなの」
「……知ってるよ」
「でも、別れたんだ……受け入れなくちゃダメだよね。甘えてたんだ、工太に。独り立ちしなきゃならないのにね」
「音葉……」
「出よう。ピチカート・ポルカ聴けたから、もういい。好きとか、よく分からないけど……未来の工場長が、ウィーンに連れて行ってくれるって信じることにしたから」
音は笑った。綺麗な笑みだ。おそらく本当の意味で、この感情の起伏が激しい女を理解できるのは俺だけだ。音が俺の手を握り、俺も握りかえす。心の弦は、もう完全にほどけていた。
長くなってすみません。
感想いただけると嬉しいです。
コブマリさん、ありがとうございます♪ あと、1番乗りおめでとう。
なんですか、この恋愛感情。すごいですね。
どんなに深くても半年の想いなんて、負けない
ここ、めちゃくちゃ心に残りました。
ヴァイオリニストであろうと、音ちゃんへの愛では絶対勝てない。これだけは胸を張って言える。って、
めちゃくちゃかっこいいですね。男子の理想ですよ。
最後の、心を縛る弦はほどけた。って、すごい表現ですねぇ。
2人で手を握り合って、未来に歩いていこう。っていうのが、めちゃくちゃ伝わってきます。
もう誰も、工太くんと音ちゃんの愛を止めることはできないんでしょうね。
オマケ
「こうたぁ~……この繊細な乙女のわたくしを慰めなさいよぉ~」
あの可愛らしそうな、酔ってる音ちゃんが、フラフラしてて、声も変になってる状態を想像して、笑いました(笑)
遅くなり、すみませんです。
なんだか、凄い褒めていただいて嬉しいです。
工太みたいな男性が好みなんですよね~。なので、思いっきり書かせていただきました。
文字制限がなければ、これで結構書ける気がします(笑)
工太、音、幸せになれよ~(笑)
実は、二人は事実婚という裏設定が組んであります。
『Tシャツの弦、加藤さんの弧』
「今度のゲームは、『じゃんけん列車』です!」
委員の女子が叫ぶと、大きな炎を取り囲んで、いえーい!と、方々から歓声が上がった。待て待て、と僕は思った。これ保育園でやったゲームじゃないか。小5にもなって、まさかみんな、本当にこんな幼稚なゲームが楽しいのか?
林間学校なんて、来たくなかった。
クラスの奴らがする低レベルなバスレクなんてくだらないし、コンロで作れば早いのになぜかかまどで調理するカレーライスなんて意味がない。それに、ボットンで常に小蠅と悪臭に包まれたトイレなんて、絶対に絶対に行きたくなんてない。近づきたくもない。
夏休みを2日もつぶすこのイベントの、どこに楽しい要素があるっていうんだろう。これだったら塾にでも行ってたほうがまだマシだ。
でも、こんなことを考えているのは僕だけみたいだった。みんなの顔が炎で赤く照らされて、まるでサルみたいに見える。
「かもーつれっしゃ、シュッシュッシュ~♪」
ゲームが始まると、全員で歌まで歌いだした。保育園のときには歌なんてなかった。人類はますます退化が著しいらしい。この歌が終わるタイミングで出会った人と、じゃんけんをするようで、めいめい勝手な方向に歩き出した。ご丁寧に機関車のマネをしている奴もいる。アタマ大丈夫なんだろうか。
「ガッチャン!」
という掛け声で、突然歌が終わって、みんなじゃんけんを始めた。僕はぼうっと突っ立っている。このまま放っといてくれていい。
のに、遠くから誰かが、最短距離で近づいてきた。僕は、この間塾で習った、弦のことを思った。みんなは炎を中心とする円上に立っている。誰かがその円から外れて、弦を描いて走ってくる。そうだ、算数の、弧と弦のことを考えよう。サルにならないように。
「ねぇ大戸くん! じゃんけんしよ」
走ってきたのは加藤さんだった。さっき司会をしていた女子だ。でも、さっきとは少し違う色の声をしていた。なんというか、まろやかな声。
仕方ないから、じゃんけんをする。僕がグー。加藤さんがパー。加藤さんはやったぁ!って言って、大げさに飛び上がった。
「じゃ、私が前ね。つかまっててよ?」
僕は加藤さんの肩に手をかけた。加藤さんは背が低い。必然的に、少し見下ろす感じになる。
かもーつれっしゃ、と歌いだす加藤さん。歌うとその肩にも音が響く。華奢な肩。それでいてなんだかまるっこい肩。
「ガッチャン!」
加藤さんは急に声を上げて止まるから、僕は後ろからつんのめった。
そのとき、“見えた”のだ。
また音楽が始まった。歩き出した加藤さんはじゃんけんに負けたみたいで、だれか別の人の後ろについてたけど、僕はさっき見えたものをずっと思っていた。加藤さんの未熟なふたつの円。その中を。ふだんはTシャツの襟が弦になって見えないけど、後ろからのこの角度からなら見える、やわらかな弧を。
今度は「ガッチャン!」を聞き逃さない。僕は次のタイミングで、わざと前のめりになった。
また、“見えた”。
でも瞬間、僕は後ろから押された。ぶつかってしまった、前のお尻に、僕の、が。
それ、は、固くなってた。
自分で、気づかなかった。
僕は前の顔をのぞき込んだ。相変わらず、先頭の人に向かって、熱心に声援を送ってる。上気した顔で。まるで僕のことなんて存在しないみたいに。
じゃんけん列車はすぐに終わってしまった。加藤さんは、ばいばーい、って言ってどこかへ消えていった。ゆらめく炎が、加藤さんのTシャツに陰影を描いた。
あっという間だった。
夜になった。
消灯時間が過ぎて、暗闇の中、「クラスで誰が好きか」って話題が始まった。そんな話するのは女子だけだと思っていた。好きとか、そういうのに興味なさそうだと思ってた奴らが、次々とクラスの女子の名前を挙げていった。
僕は毛布を被って寝たふりをした。でも、話を振られたらどうしよう?とも思った。今のところ、全員が誰かしらの名前を挙げているみたいだった。
思い浮かんだのは、加藤さんだった。
僕は、あのときのふくらみを思い出した。あれを見たのは、きっとクラスで僕だけだ。そしたらまた固くなった。僕は慌てて弧と弦のことを思い浮かべた。妄想を打ち消す。
浮かんだり、消えたりする。
固まったり、戻ったりする。
そのまま、いつの間にか寝てしまった。
暗闇に浮かぶ円。それをさえぎる弦。
中心角を少しずつ狭めて弦を短くする。
弧が短くなる。欠けていた円が完全になる。
一番、円の、その点が、
だんだん…。あと少し。あと、
…あっ…!!
!!?
気づくと外は明るく始めていた。でもみんなはまだ寝ていた。
なんだか変な感じがする。
パンツの中が、べとべとになっていた。0010
“暴発”していた。
僕はこっそり自分の荷物から予備の着替えを取り出した。
そして、絶対に行かないつもりだった、あのトイレへと駆け込んだ。
sokyoさん、ありがとうございます♪
では……。え、素通りなんてしませんよ。開催者ですし。はい。
って、何ですかこれ! アタマの中、マジでどうなってんですか!
見えた、とか。何なんですか。sokyoワールドって恐ろしいですね。
まさか、弦をこれに使われるとは、思ってもみませんでした。
貨物列車の歌、懐かしいですね。小5になって歌うってw てか、
こんな林間学校行くくらいだったら、机で勉強してた方がマシですね、本当に。
↑これを聞きながら読むことを推奨。(すこ無視しても可)
『制服闘女 アロープリンセス』
「ぐわっはっはっ! 仲間も倒れ、矢も尽きたか?
ここまでのようだな! アロープリンセス」
アロープリンセス、佐倉ひよこは膝をついて俯いている。
それを上空から眺めているのは悪の組織、シャドウルートの幹部の一人である。
ゴールビ・カッチだ。
ひよこの背後には力尽き倒れた少女たち。
サファイアの加護を受けた、紅坂ほのか。
エメラルドの加護を受けた、樹さり。
キャッツアイの加護を受けた弐安またび。
オパールの加護を受けた葵れびん。
前世の因縁、因果に目覚め、制服闘女となることを選び、ひよことともに戦ってきた仲間である。
が、5人で力を合わせたとしてもシャドウルートの3幹部である、鋼のタカミー、銀のサルベニスを倒すことがやっとだった。
「はっはっはぁああ!!
3幹部といえども、タカミーは最弱、サルベニスとて儂の力には遠く及ばん。
加えて儂は、ブラックパワー様より、直接のお力を戴いて強化された身。
小娘どもに倒せるどうりは存在せぬわ!」
「それでも! それでもあたしは……」
残る力を振り絞ってひよこは立ち上がる。
手に持った大きな白金色の弓を支えにして。
「儂が、直接手を下すまでもない!
出でよ! 泥濘獣!!」
ゴールビの召喚によって、巨大な獣が呼びだされる。
その姿はケルベロス、あるいはベヒーモス。
一見しただけで危険な相手だと言うのがわかる。
「ひよこ! だめだよこのままじゃ!
一旦退却しましょう!!」
ひよこに制服闘士としての記憶を呼び覚ました当の本人。
妖精の、ルーパが苦肉の提案を持ちかける。
が、退却するとて前方をゴールビに阻まれ、背後には件の巨獣。
そしてその一人と一体から運よく逃れられたとしても。
まだ息は残っているが動けずに倒れ込んだ4人の仲間を見捨てることとなってしまう。
そのような冷酷な判断はひよこには下せない。
戦う中で出会い、時には敵対し、それでもここまで力を合わせてきた仲間たちなのである。
「ふん、逃げようというのか。
できるものならやってみろ」
ゴールビが巨獣を嗾ける。
「きゃあ!!」
巨獣の前足が振り払われ、動くことすらままならぬひよこの体が宙へと飛ぶ。
そのまま、地面にたたきつけられるかに思えたひよこの体を暖かい感触が包む。
「間に合ったようだな……」
「リ、リーマンマスク様!!」
ひよこを抱きかかえて軟着陸をやってのけたのは、ひよこの前世での夫であったリーマンマスク。
その正体は謎に包まれているが、影から陽向から、制服闘女たちを支えてきた、一番頼れる存在であった。
「ネクターイウィップ!!」
リーマンは、額に巻いていたネクタイをほどくとそれは長い鞭へと姿を変える。
リーマンが鞭を振るうとそれは巨獣に巻きつきその動きを封じることが成った。
「こいつは僕が抑える。
アロープリンセスは、あいつを、ゴールビ・カッチを!!」
強敵の一角である巨獣の脅威は去った。
が、それは激流に投げ入れられた細い藁にすぎない。
「でも、矢も尽き、弓も傷つきあと一射出来るかどうか……」
ひよこはボロボロになった弓を見つめて呟く。
「ならばその一射で勝負を決めるんだ!」
リーマンが激励する。
「でも、もう矢が……」
「思い出せ、ひよこ。
君は、あの地下世界のプリンセス。
君に与えられた矢はその背中の矢筒の中にだけあるんじゃない」
リーマンの言葉に、ルーパがなにか思い当ったというように、
「まさか! でもあれは伝説の……」
「伝説なんかじゃない。
僕はこの目で見たんだ。
ひよこが、地下世界のアンダープリンセスが自らの清浄なる心のエネルギーを矢に変えて悪の魔王を打ち倒すその姿を!
ひよこはプリンセスの生まれ変わりだ!
当然その力を持って生まれている。
思い出せ、本当の姿を、本当の記憶を、本当の力を!!」
「あたし、あたしの本当の力……」
ひよこの体に新しい力が目覚める。
と同時に、マスクに隠されたリーマンのその素顔も。
王と妃。
平和な世に生まれ、将来を約束し、邪悪なるものにすべてを奪われつつも、それを力を合わせて撃退した過去の記憶がよみがえる。
「そう、あたしはプリンセス。
地下世界の女王。
だけど、世界に巨悪が蔓延るときには!
アロープリンセスとなり、正義の矢を放つ!!」
「ひよこ!! 思い出したのね!!」
ルーパが喝采を上げる。
そう、ひよこたちが迫りくる猛者どもを退けるため。さらにはその背後で控えるブラックパワーという強大な悪を打ち倒すためには目覚めが必要だった。
前世での記憶を取り戻し、そこで得た戦う術をわが物とする。
「ええ、ありがとう、リーマンマスク様、いえ、ひろくん。
女王の名において、地中奥より召喚します。
正義の刃よ! 我が矢じりとなれ!!
平和を愛する心よ!! 我が箆となれ!!
あたし達の愛よ!! 矢羽となりて、敵を撃つ力を与えよ!!」
ひよこの左手に光り輝く長い矢が現れる。
「ま、まさか!!
地下の女王の、伝説の……」
恐れおののくゴールバを尻目に、ひよこはゆっくりと弓を構え、弦を引く。
「お逝きなさい!!
マントルに代って お仕置きよ!!
マントルに代って折檻よ!
ガイア・プリズム・アロー!!!!」
それは、光の尾を引きながら、ゴールバ目がけて亜光速で飛翔する。
「ぐああああ!!」
ゴールバは敗れ、ゴールバに使役していた巨獣もその姿を消した。
全身の力と精神的な力も使い果たしたひよこががっくりと膝を落そうとする刹那、リーマンがその体を支えた。
「ひろくん……」
マスクをしていてもひよこにはわかった。
彼の正体は、ひよこの憧れのバイト先の店長だった。
甦った前世の記憶が二人の絆を一瞬にして深めた。
「いこう、ひよこ。
その力で、真なる平和をもたらすために……」
「ふむ、ゴールバが去ったか……」
「しかし、奴は幹部とはいえ、強さに置いては我々より格下。
ダークパワー様にはまだ我々10騎士が仕えておりますゆえ」
「それよりも、あ奴の放った光の矢。
あれこそ脅威となりましょう」
「ふむ、打てる手は打っておくか……」
ひよこはまだ知らない。
ブラックパワーの元にはまだ現時点での彼女らの敵うべきもない強敵が多数控えていることを。
そして、ひよこの放った愛の矢はまだ不安定で使いこなすには相当の修練が必要だということを。
この先に訪れるリーマンマスク――ひろくんとの間に起こる悲しい出来事を。
それでも、ひよこは歩き出した。
信頼出来る仲間とともに。前世の因縁を断ち切るために。
地下世界の女王、アロープリンセスとしての矜持を胸に。
~ to be continued ~
完全に趣味+勢いですんません。でも頑張って書いたよ。
ぐらんこさん、ありがとうございます。 遅くなってすみません。
おお、戦隊モノですね。弦って、あの、弓弦のことですよね。
ひよこちゃんの、「ガイア・プリズム・アロー」がめっちゃかっこよかったです。
ひよこちゃんと、ひろくんの愛が、めちゃくちゃ深いですねぇ。その愛が、矢羽になるとか、どんだけ絆固ぇんだよ。
思えばこの先にも、まだまだ試練・悲しい事があっても、挫折せず、歩き続けるヒーローって、めっちゃかっこいいですね。あと、続き結構気になります。
真の平和が訪れる瞬間は、どうなってるんでしょうね。
『和音』
弦を弾く。子守唄は響き渡る。木木が波を吸い、川面は輪を生む。世界は白く光り、それは夏の日差しに照らされた陽炎のよう。くらくらしそうだ、とマチアスは音色に自身も聞き入っていた。
国立の軍学校を卒業し、失踪した友人を探す旅に出た彼は、先ず友人の生まれた郷を訪れた。それは人の立ち入りを拒む小さな民族の住む、精霊の守護を受けた森だった。
「マチアスと言ったか。ロビン、あの子の友人」
長老は森の奥へとその小さな歩幅でゆったりと進んだ。後を続くマチアスは、自分よりも小さいその背中に、
「彼は何か大きなものを背負っている。誰にも心を許さなかったロビンが、何故か初めて会った僕に、全てを託し助けを求めていたような気がしたんです」
友人と言えるほどの時間を共に過ごしてきたわけではないはずなのに、直感的に深い友情を感じ、運命を、縛られている絆を感じた。おかしい話だ。誰が信用できようか。しかし両者の間には確かにそれがあったと断言できる。
「ロビンは精霊様が保護された他の迷子たちとは違うの、リリー知ってた。教えてよ、長老」
小さな瞳を細め、小人のリリーはマチアスのポケットから顔を出した。マチアスが森に現れたときのあの気の強さはそのままに、しかし不安から眉尻は下がっていた。ともに森で育った彼女にとって、ロビンは大切な仲間の一人だ。
「リリー、彼の為に順を追って話そう。まずはこのククワの森についてからだ」
ククワの森は、精霊の守護の下、聖地の入り口を守る小人たちが静かに暮らしを営む平和な森だ。精霊は世界中から迷い子や孤児を保護し、この森で育て、神殿で精霊に仕える精霊守として命尽きるまで世界の安寧と均衡を司らせる。森に入ることも出ることも禁じられており、この森で育ったというロビンは、明らかに異端者であった。
「異端者…ではロビンは、一体何なのでしょう?」
「ロビンは精霊が保護してきた子ではなかった。あの子は聖地より現れた」
森の奥の開けた場所に、白い神殿と、小さな滝が現れた。神殿からは精霊守の唄が聴こえ、滝壺はこんこんと光が湧きだしていた。長老はその滝壺を指差した。聖地である。
「精霊様は云った。あの子は真の平和の為に、混沌をもたらしに来たと」
「混沌?」
国は今いくつもの怪事件が起こり、混乱が生まれていた。
「真の平和を導くために、争うのだと」
「ムジュンしてる…そんなの分かんないよ!」
「しかし混沌の後真の平和が訪れる。真の平和は永久に続くからこそ真」
「混沌の為に彼はこの森を出たと?」
マチアスの声は冷たく険を含んだ。
「ロビンはそのために剣を握っているのですね」
精霊様の仰ることはゼッタイ。長老は肯定も否定もせず、厳かにそう呟いた。
竪琴を爪弾き、マチアスは遠い空に友人を案じた。まだ多く残る謎。しかし垣間見えただけで大きな決意と運命。真の平和とは何か、その犠牲となるロビン、託された無知で無力な自分。世界は残酷でしかし美しい。輝く水飛沫に頬が濡れた。
彼が世界を救うというのなら、
平和のために犠牲となる命を、心を、そして彼を僕は救いたい。
今出来る精一杯の覚悟と決意で、マチアスは森を出た。愛馬のコリンと、小人のリリーと共に、まずは最初の襲撃を受けた街、シェリムを目指して。
その絆は、確かに魂に刻まれていた。友情などという暖かなものでなく、枷のようでありながら、けれど僕たちはいつだって孤独ではなかったのだ。
ヤマとかオチとかないけれど、イミはいっぱいこめたつもりです。
やっぱり匙加減が分からないけれど…ファンタジーの広大さ、出せるかなあ?
銀鱗さん、ありがとうです。
なんだろう、これ。道徳の時間に、ファンタジー(?)を使うやつですか?
弦を弾く。子守唄が響き渡る。もしかして、ここの部分、
「今ここは平和だけど、そのうち、子守唄が聞こえなくなるくらいの恐ろしいことが起きる」という表現でしょうか…。
平和が訪れるためには、犠牲が必要なんて…。今はそんな世の中なんでしょうか。
これでも、ロビンは正気なのかもしれません。本当は嫌なのかもしれません。
その友達を救いたい。この願いだけは叶って欲しいものです。
-子守唄を弾いた弦の和音が、響き続けるように。-
感想ありがとうごじます。
「道徳の時間に、ファンタジー(?)を使うやつ」とは…??
王道ファンタジーに少しの疑問符を。
いや、あの、どこに疑問があるんでしょう。
ファンタジー作品に、道徳ってか、道徳的な心情を育て、判断力・実践意欲を持たせられるような、作品かと思いまして…。
すみません、なんか変なこと言ってm(__)m
ありゃ、御丁寧にすみません。
道徳を説くようなそんなたいそうな文では御座いません…
そういうのを書くというのも楽しそうですね、他の機会にやってみよう…
本当はもっと人間らしさを、書ければと。
なかなかうまくいきませんね、やはり。
ヒーローは世界を救ってめでたしめでたし。
本当にそれで良いのかな、というお話です。
「張弦」
キリキリキリ… キリ… キリキリ…
その山は、神社の裏にあった。様々な木々が生え、下草に蔽われ、枝と枝の間は蔓と蔦が絡み付いていた。様々な濃さの緑が覆い尽くすそこに足を踏み入れると、蝉の騒音の中に奇妙な音が聞こえて来た。
キリキリ… キリ…
それは、ギターの弦を強く張り過ぎ、切れてしまいそうな時の音の様だった。
その音は、耳の良い奴には聞こえていた。聞こえていないシゲは、「なにそれ」と言っていた。
ケンは、その音が特にが気になるようだった。
「あの音、だんだん高くなってきてないか?」
ケンが、樹齢三百年以上ありそうなクスノキの根元で言った。クスノキは蔦とコケで覆われ、緑色の怪物の様だった。根元を触りながら真上を見上げると、遥か彼方のクスノキの頂上がかすかに見える。その先端が風で揺れているのが見え、そのゆっくりとした鼓動のような振動が、根元を触る右手の手のひらに伝わってきた。
「うん、僕もそう思う。最近あの音、切れそうな気がして」
「だよな」
放課後に、神社の裏手に集合して、山の探検をするのが、ケンや僕たち4人の日常だった。
二学期の最後の日、通知表しか入っていないランドセルは、宮司さんに見つからないように社の床下に隠しておいた。
「おおーい、シゲ、サトル。なにやってんだ」
シゲとサトルは、クスノキの上の方に登ってる。もともと小さいサトルが、ますます小さく見えるくらい高い。
「おい、あれより上は」
「宮司さんに怒鳴られる」
以前、クスノキを登っていたら、神社の宮司さんに見つかって、メチャクチャ怒られたことがある。クスノキの半分より上に登ったら死んじゃうぞと。
「サトル。戻れ。それ以上行くな」
すると、シゲが僕たちを手招きしている。
「何かある」
あそこなら、半分くらいだからいいか。都合よく考えて、僕たちもクスノキを登った。周りの木々の高さを超えたあたりに、二人がいた。
サトルが、クスノキの幹に顔を突っ込んでいる。木の幹に穴が開いていて、そこに顔を入れられる様だった。
「見てみろよ」
振り向いたサトルの顔には、木のかけらがいっぱいついていた。そのかけらの隙間から見えるサトルの眼は、何か異様に輝いて見えた。
その表情に惹かれるように、僕は木の穴に顔を突っ込んだ。バラバラと顔に掛かる木の粉を振り払うと、そこは木の中にできた空洞だった。内部の壁を蔦や蔓が覆っているのが見える。上の方には、木の穴を抜けて青空が見えていた。
「ずっと下の方だよ」
言われる通り、顔を下に向ける。すると、薄暗い穴の底に、白や緑色に鈍く光る塊がいくつか見えた。
「なんだろ、あれ」
底に向かって伸びる蔓が集中するところをジッと見ていると、あの音が聞こえてきた。
キリリ… キリ…
いつも聞くより、ずっと大きな音だった。
「おい、俺にも見せろよ」
ケンの怒ったような声が聞こえた。僕は、とりあえず穴から元に戻った。
ケンが穴に顔を突っ込むのを見ながら、サトルに言った。
「あれなんだ?それに、あのキリキリキリキリがいつもより大きく聞こえたぞ」
キリキリが気になるケンは、いつもより鼻息が荒かった。
「なんだろう、底の塊は。キリキリ言ってるのは、周りの蔓みたいだったし」
考え込むケンをよそに、サトルが再び穴に潜り込んだ。小柄なサトルは、腰まで入ってしまっている。
上の枝に取りついたシゲが、そこにからんでいた蔦に足を取られた。バランスを崩して、その蔦にぶら下がってしまった。
「シゲ、気をつけろ。こっちへ降りろ」
シゲは右手で蔦にぶら下がり、体を振って僕たちの枝に飛び降りようとした。手が蔦を離れた時だった。ピンと張っていた蔦がはじけ、その先端が上空へ飛び上がって行った。シゲは、その反動で僕たちの横に勢いよく落ち、そのままサトルの足を木の中に押し込んでしまった。
「うわー」
クスノキの中に落ちてしまったサトルの声が、穴から聞こえてくる。僕は穴に顔を突っ込んだ。
「大丈夫か」
穴の下の方を見ると、蔓の絡まっているところでゆっくりと弾んでいるサトルが見えた。
「ああ、大丈夫。全然」
手を振るサトルが、暗い底の中からかろうじてわかる。
「これなんだろう」
サトルはそこに転がっている白い塊を触っている。
「お札だ、これ」
すると、僕の後ろでケンが叫んでいる。
「キリキリがやんだ。なんか起こるんじゃないか」
僕はサトルに怒鳴った。
「早く上がってこい。蔦づたいなら上がれるだろっ」
「わかったよ。上がる」
サトルが、お札の塊を落とし、手近な太い蔓を掴んで登り始めた時だった。
プチンプチン プチン と穴の周りの蔦が千切れ始めた。ピンと張っていた蔓が、ピンやブーやボーとそれぞれの太さに応じた音を奏で始めた。
その和音がクスノキの空洞に響いて、僕の耳が壊れそうになった。
「いそげサトル。なんかおかしい」
あわてたサトルが、蔓の途中で片手でぶら下がった途端、
和音が止まり、静寂が訪れた。
次の瞬間、僕は穴から引きずり出されていた。ケンが足首を引っ張って僕を引き出した時、蔦が一本僕の首にからんでいた。
シゲがそれを外そうと、手を掛けた時。
その蔦が、勢いよく穴に吸い込まれていった。穴の奥では、何かが上にすごい速さで上がっていくのが見えた。
と、同時に、クスノキが大きく揺れた。僕たちは、その揺れに耐えきれず、枝から振り落とされた。
下草のクッションに助けられたところに、宮司さんがやってきた。
「まさか、クスノキに登ってないだろうな。この神事が起こった時にクスノキに登ると、命は無いと言われてるんだ」
僕は周りを見回し、ケンに視線を合わせた。ケンも周りを見るが、首を振っている。
「あの、クスノキの中にサトルが」
宮司さんは顔を赤くして、叫んだ。
「なんてことを」
宮司さんはクスノキの根元でごそごそなにかやり、反対側に回り込んだ。そしてそのまま、姿を消してしまった。
「サトル、どこ行ったんだ」
ケンが呟く。シゲは、右手を左手で掴んでいる。
「いて」
シゲのところに這い寄ると、小指の先が無くなっている。俺はハンカチを出し、シゲの小指をグルグル巻きにして、血を止めた。
「病院へ行かないと」
「蔦で切ったんだ。あの蔓の勢いだと、サトルはどうなったんだ」
僕は恐ろしいことを考えてしまった。ケンも蒼い顔をしている。
「立てるか?」
シゲを立たせていると、宮司さんが木の反対側から現れた。
「サトルは大丈夫だ。保護してもらった。シゲ、怪我したのか、いそいで山降りて病院へ行かないと」
宮司さんは、僕たち3人を引きずるようにして神社の境内へ向かった。その間、ケンが宮司さんと話していたが、言葉が難しくて良くわからなかった。
なんとか聞き取れたのは、年に一回くらいこれが起きること。蔓の和音は、神社で聞こえるくらい音が大きいこと。なにか悪いことをお札にしてクスノキに収めておくこと。お札ごと、どこかに飛んで行ってしまうこと。それは、その辺に落ちてくるわけではないこと。クスノキに蔓が絡んで成長するからこうなるらしい、という程度だった。
境内に着くと、僕は少しホッとしたのか、急に眠くなってしまった。
そして、三人ともそのまま夏休み中寝ていたという。誰が起こしても、起きなかったらしい。
宿題を全然しないまま、二学期の始業式になってしまった。
教室に行くと、先生が話を始めた。
「みなさん聞いてください。お友達の鈴木サトル君は、ご家庭の都合で転校することになりました。夏休み中の急なお引越しだったので、みなさんにご挨拶できませんでしたが、もう次の学校に元気に行っているそうです。」
ケンと僕は、目を合わせた。ケンは驚いていて、かえって無表情だ。僕もおんなじ顔をしていたんだろう。
その後ろのシゲの右手の包帯は、小指の短さを隠しきれていなかった。僕は、あれが、夢ではなかったんだと確信した。
息子の自由研究を何とかまとめて、8月31日の夕方にベランダに出ている。
私は、宿題を全然しないで行った遠い日のことを振り返る。
そして、何もできなかったその夏休みのことも思い出し、私はふと呟く。
「あのとき、サトルはどうなったんだろう」
ふと見下ろした川面に、数枚のお札が流れている。
お札をたどって上流へ目をやると、数個の白い塊の上に、一人の少年が座って流れて来ている。
たけじんさん、ありがとうございます。遅くなってすみません…。
何この謎だらけの文章。
キリキリの正体は何か、サトルはどうなったか、最後に出てきた少年は誰か。
なんとなく想像は出来るんだけれど、結局よくわかりません。
お札に何か書かれているのかもしれないし、もしかしたら、最後に出た少年は、主人公がよく知っている人物かもしれないし…。
今度、じっくり考えてみます。
ヤンキーと学級委員
俺は今日も学校をサボってコンビニの前で仲間とタバコをくゆらせていた。本当はヤニは煙くってあまり好きではないが、仲間の手前ポーズというやつである。
そんな時である。あの変なヤツと会ったのは。
眼鏡をかけていかにも優秀!という感じの制服、あだ名はきっと学級委員、そんな真面目風のやつが平日の昼間からコンビニになんて登場したら、いやでも目立つだろう。入り口に円になってたむろしていた俺たちの前に、やつは現れた。
委員長は自慢の一品らしい、今時珍しいテンプル部分が巻き弦タイプの眼鏡で日光をやけにギラギラ反射させて近づいてきた。
君たち、やつはそう言って俺たちの前に立った。そしてこう言った。
「金がないので、肉まんをおごってくれ」
カツアゲかよ
そんな仲間の小さなつぶやきが妙に耳に残った…。
当然。こうなるわな。
突然のカツアゲまがいの発言に血の気の多い仲間の一人がヤツの胸ぐらに掴み掛かる。あんだテメェ?ああん?アアーン??というあれである。
そりゃオメーが悪いよ。俺は委員長に同情の眼差しを向けていると、ヤツは掴まれている胸ぐらにも気にもとめない様子で、
「餡か…あんまん、それもまた良し」
揺すられたせいでずれた眼鏡をスチャ!と直すと、上記のようにのたまった。つーかなんで眼鏡を直すとき音がするの?!それが眼鏡キャラの力なのか?!
「アンってその餡のワケあるか!お前なんなの一体!?」
「なんだそうか。俺は今非常に空腹でな。正直食べられるならなんでもいい。何か寄越したまえ」
「寄越したまえじゃねえよ!丁寧に言っても駄目だよ!お前この状況わかってんの?」
委員長は妙に落ち着いた様子で食料を恐喝してくる。俺は力一杯ツッコンだ。俺の必死の突っ込みも意に介さず、委員長はムム?と何かに注目すると、仲間の一人に近づき、
「なんだこれは、パンか?コッペパンか?」
ヤツの自慢の茶髪のリーゼントを鷲掴みにした。
リーゼントをパンに見間違うとかどんだけ腹減ってんだよお前?!というか、まずいよ、地元でも暴れん坊の狂犬のヤスキが今にも切り裂きジャックに進化しそうなくらい青筋を立てている。俺がどうにかいさめようとしたその時、
「お前ら高校生だな?学校行かずに何している!」
コンビニの店員が通報したのだろう。学校の教師が数人近づいてきた。警察を呼ばれなかっただけ良心的だといえよう、しかし助かった。狂犬もこれでは委員長に構ってもいられないだろう。
と委員長を振り返ると、ヤツは駐車されていた車の後ろに真っ先に隠れ、隙間からこちらをうかがっていた。
「……お前、何で隠れてんの」
「隠れてなどいない。これはあれだ、ウンコだ。ウンコするところだから」
「大地に直接落とす気かよ?!開放的過ぎるだろ!!」
「時に君。俺は教師に見つかると非常にまずい。そして何か食べ物をくれ」
「またそれか!…なんかヤバいことでもしたのかお前ェ」
俺は聞いてはいけなかった。
いつもじいちゃんにも言われていたのに。お前はちょっとお人好しなところがあるから気をつけろって。
後悔するのはいつだって、気づいた後だ。
しをこさん、ありがとうございます。
弦って、メガネの巻き弦ですね。学級委員、なぜ見知らぬ奴にカツアゲを…ww
こんなキャラなのには、理由があるとは考えているんですが、その理由が未だにわかりません…。
しかも、「教師に見つかると非常にまずい」って……。
主人公が聞いたのは一体どんな回答だったんでしょうね…。
これもミステリアスで面白かったです。
ご連絡。
https://granco.booth.pm/items/25008
これを印刷して売りに行きます。ほんとにいいの? という最終確認。関係者の方へ。
ご自由になさってください。
煮るなり焼くなり、なんとでもOKです。
(私の、入ってるんですよね?)
一人だけのアルファベットが浮いているなあ…… >表紙
両親から、許可取りました。ほんとにいいです。
よいですよ~。
非常に光栄です。
素敵な作品になりそうです♪
一人だけ生臭い感じになってますね。背景と良い感じにマッチしてしまった。
感想&ベストアンサーは後に。
開催から2ヶ月経つって…。すみません、忙しかったためこうなりました…。
とりあえず、全て面白かったです。なのでベストアンサーはなしで。
コイルさん、お忙しい中、本当にありがとうです。