日本は米国に次いで内需率の高い国として知られてきましたが、
実際は、日本の場合は国内の物価が高いので内需率の割合が高く、
また今の円安で問題になっているように輸入が多く輸出が少ないのです。
内需(国内需要)とは、厳密には国民所得統計上の用語で、
民間最終消費支出 (個人消費) 、民間住宅、民間企業設備 (設備投資) 、
民間在庫品増加、政府最終消費支出、公的固定資本形成 (公共投資) 、
公的在庫品増加の七分野から構成されています。
日本は土地や物価や人件費なども高く、世界的に見ても非常に高コストの国です。
そのため、日本製品は、人口の多い中国やインドなどのアジアの消費者には高く、
米国やEUでも限られたマーケットしかありませんでした。
しかし、輸出は少ない一方で、天然資源に乏しい日本は輸入大国なので、
原料が物価の安い海外からの低コストの輸入食品原料であっても、
物価の高い日本国内で高コストで食品などに加工され、
日本国内で輸入原価の倍やそれ以上にコストが上乗せされた
高い最終市場価格で販売消費された分が内需にもカウントされます。
山が多く農耕地が限られているため、国内需要分を賄うだけでも手一杯で、
海外に輸出できるほどの余裕がなかった国産品などもあります。
外需とは外国からの需要であり、財・サービスの輸出を指します。
最近では財・サービスの輸出から財・サービスの輸入を差引いた
純輸出の方を用いることが多いのですが、それでも物価が高く
資源の乏しい日本では海外から多くの原料を安くで輸入し、
物価の高い国内で高コストで設備投資して高い値段で取引して消費し、
また高コストのため限られた量しか輸出していないため、
総体的に高コストで物価の高い日本の内需額が大きくなるのです。
それを考えると、いくら内需が高いとは言っても、
国内物価やコストの高さなどの今の日本独自の事情があるため、
国土のほとんどが山で、食品の多くさえも輸出に頼っているために、
いくら日本は内需が高いからといって誇れる状態かといえば疑問です。
内需だけで80%とは一概に言っても、高い日本の土地・不動産や
赤字の日本政府の国債を買うのは日本人だけの借金大国でもありますので、
内需率の高さが実際の日本経済の優越性になるかといえば疑問です。
例の書き込みで書かれた方が言いたかったのは、多分、個人的にその方が
「日本が好き」ということなので、日本の長寿率の高さなどに比べて、
日本は内需も高い!というような、数値的に日本が世界水準に比べて
高い値を持っているところを挙げて、書かれた方が「個人的に」日本の
すごいと思うところを並べたかっただけなのではないでしょうか。
しかし、客観的に見ると、実際、今の円安で、日本の内需率の高さと
増税や物価上昇による国内消費の低迷が日本経済に打撃を与えており、
むしろ、円安で輸出時の国際価格競争力のある今は、内需と外需の両方を高め、
外貨獲得にも目を向けないと日本経済の発展は望めないのではと思います。
結果的に内需も外需も同時に伸びた場合、または落ちた場合は、
内需率は変わらない場合があり、内需率だけではあまり経済の指標にはなりません。
ただ、大昔の考えでは、外需に頼ってしまうと、政治的にも経済的にも
国際間で何かあった時に困ることがあるというのがあったらしいのですが、
鎖国や戦争をしていた時代ならともかく、現代の日本の場合、
資源が乏しくて食品の大半を輸入に頼らなければならない現状から、
実際、内需率の高さがあっても国際社会で特に優位に立てる状態ではありません。
今の日本の資源や人口を考えると、鎖国できるわけもありませんし、
確かに「内需だけでそれ」と言われると、
実際は国内だけでほとんどを賄っているとは言えない現状があるので
理解に苦しみますが、鎖国していたような時代の考えで、
「内需だけでそれ(80%も賄えている)とはすごいですね」と
(事実はともかく個人的に)言ってもらいたかったんだろうなとは思います。
確かに鎖国していた様な大昔だと、内需率や自給率の高さは、
一国をどれだけ自国で賄って独立してやっていけるかという
指標であったこともあるのではとは思いますが…。
(もちろん現代では状況が違いますが。)
「外貨を稼がなくても経済発展はするものなのですか?」との疑問には、
私も同意見で、今の円安で国内消費が低迷している日本の状態では、
逆に外貨を稼がないと経済発展できない状態に陥っていると感じています。
円安でいくら海外輸出時の価格競争力がついたからとはいっても、
それでも日本はコストが高いために海外でのマーケットが限られており、
最近は米国などで世界不景気の煽りなどもあるので、外需を増やすにしても
問題点はありますが、内需依存型の日本経済で、GDPの60%を占める
国内消費が消費税増税などで落ち込んだためGDPが落ちましたし、
高齢化少子化と少子化で日本の国内市場は将来は縮小傾向にあるため、
現代では必ずしも内需が高いからと言って良いとは言い切れないと思います。
http://ja.wikipedia.org/wiki/日本の経済
しかし、個人的見解は様々で、日本を好きな理由は人それぞれですので、
誰かが数値的に好きな部分や嫌いな部分があっても良いのではないでしょうか。
私も日本は好きですが、個人的に長寿率が高いのは好きで自殺率が高いのは嫌いなので、
内需が高いのを個人的に好きな人がいても良いのではないかと思います。
でも「内需だけでそれ(80%)」と言われても、日本経済の現状をふまえて
外需も必要だと思うので同意はしかねますけど、書いた人が言いたいことは、
「日本が好き、長寿率も高いし、内需もそれ(80%で高い!)なので好き」という
個人的に日本が好きで、自分の好きな部分はここだという意見なんだろうと思います。