日本の会社と日本の会社が契約を結ぶときは、代表権のあるものが、記名捺印するか、署名捺印するかだと思います。株式会社であれば、代表取締役か代表執行役になります。商業登記簿を入手すれば、誰に代表権があるかわかります。名前が社長であっても、代表権がなければだめです(「表見代表取締役」などの議論はありますが)。
さて、契約の相手方がアメリカの会社の場合は、どうなるのでしょうか。アメリカの会社法では、代表権という概念があるのでしょうか。 → → → また、代表権の概念があったとして、代表権のある人が誰であるか、どこかで示されているのでしょうか(どうやって確認するのでしょうか)。
なお、仮に、アメリカでは、代表権の考え方はないのであれば、どうしたらよいのでしょうか。
以上のとおりの質問です。どうぞよろしくお願いいたします。
補足します。
「記名捺印」と「署名捺印」ですが、
記名は、個人の名前がスタンプの場合を表現したつもりです。署名は個人の名前が本人の肉筆である場合を表現したつもりです。
私は専門家でない単なる一ビジネスオーナーなので、正しいところは会社法専門の弁護士に聞いて頂きたい、と前置きした上で:
会社を代表して法的な書類に署名する権限authority to sign (on behalf of the organization)が代表権にあたると思います。誰がauthorityを持つかは会社のbylawsで決められているか、もしくはbylawsの規程により役員会(board of directors)の決議(resolution)で決められます。LLCの場合はoperating agreementという文書で決めていることもあります。
ですので確実に知るにはこれらの文書の入手が必要になります。
公開会社の場合はbylawsがSECにファイルされているはずなのでそこに請求できます。非公開会社の場合、これらの文書を役所にファイルする義務はないので、直接会社に請求することになります。ただし請求に答える義務もないので、そこから先は交渉次第ということになります。契約が相手にとって重要であれば、「authority to signを確認できる文書を出してもらえなければ契約できない」と言えば相手も何とかするでしょうが…
ただし、決定的な書類が無くても、第三者が「その人物が権限を持つと信じるに足る理由」があれば、その契約の履行に会社が責任を負うことにはなっています(apparent authority)。カリフォルニアの場合では、「President or Vice president or Chairman of the Board」と「Secretary, Treasurer, or an Assistant Secretary or Assistant Treasurer」の二つの署名があればほぼ大丈夫と言われています。(ただし、Presidentを名乗っている人が本当にPresidentなのかはbylawsを見ないとわかりません。)
結局はどこまで相手を信用するかということと、揉めた時に裁判に持ち込んで勝てるだけの材料があるかどうかっていう判断になります。そこで会社法専門の弁護士の出番ということになります。