H19 #14-2
Aは、甲マンションのA所有の301号室の改装工事を内装業者Bに発注し、改装工事の終了後同室をCに売却したところ、当該改装工事に瑕疵かしがあることが判明したため、当該瑕疵かしについてCからAに苦情があった。この場合、AのBに対する当該瑕疵の損害賠償請求権は、Bの承諾を得なければ、Aは、Cに譲渡することができない(ただし、AB間及びAC間には、特約はないものとする。)
→間違った文章 (某市販の教材)・・・無承諾で譲渡できる
→私の気持ち工エエェェ(´д`)ェェエエ工ええ
(質問欄外に続きます)
要するに、指名債権譲渡です。「瑕疵の損害賠償請求権」であることは本質的ではありません。
といいますのも、設問一瞥して脊髄反射的に私は「債権譲渡の債務者に対する対抗要件の学習記憶」を思い出してしまい、対債務者未承諾で当然に譲渡をすることはできんだろう、と考えてしまったからです。
そこでWIKIを調べて見ますと、
「指名債権の譲渡は、諾成・不要式の契約であり、新旧債権者間の合意(意思表示)のみによって成立し効力が生ずる。」
とあり、さらに後段に「債権譲渡の効果を債務者その他の第三者に対して主張するには、対抗要件を備えることを要する。」
とあります。
この「債務者無承諾で譲渡可能」と「債務者対抗要件(通知・承認)が必要」という2つの項目が矛盾するものとして頭の中で整理できません。そこを助けて欲しいのです。
「譲渡可能」と「債務者に対抗するには・・・・」というのは法理的にどう違うのでしょうか?
言い換えれば、「譲渡はできるけども、債務者対抗はできないよ」ということになるのでしょうか?素人目にはそんな譲渡は意味があるのかよオイと思ってしまうのですがいかがでしょうか?
「瑕疵の損害賠償請求権」であることは本質的ではないので、指名債権譲渡一般の話として説明します。
私のAさんに金を貸したとして、私がこの債権(譲渡が許されない事情はないとします)をあなたに譲渡するのに私とあなたの契約だけでやったとします。これは一応は効力はあります。しかしAさんに対抗はできません。そんなの意味があるのかということですね。
あなた(Aさんに)「あの、あなたはみやどから借金しましたね」
Aさん「しましたけど、それはみやどにもう返しましたよ」
あなた「何だって! それは私が債権譲渡を受けたんですから、私に返すべきものですよ」
Aさん「何のことですか。そんな話は聞いてませんよ。私はみやどに返したのですから、もう義務を果たし終えてますよ」
こういったやりとりがあったとします。残念ながらあなたが「Aさんに」そんなことを言ってもあなたの主張は認められません。これが「Aさんに対抗はできない」という意味です。
しかし、譲渡自体は有効です。ですから、あなたはAさんでなく「私に」責任追及することは可能です。もし譲渡自体が無効だとしたら、責任追及もできないことになります。
> 例えば「車の免許を持っていなくても、未成年が車を購入し、運転することは可能である、但し私有地内において。」「・・・したがって車を買うということと免許の要否は厳密には別個のものである」というような小理屈と同じなんでしょうか?
この例だと売買契約が民法90条で無効になるかどうかという点が厄介です。