集合論の本にはAとBを集合として、AとBが等しいとは、任意の対象xについて、x∈A⇒x∈Bであることと書かれていますが、このときその対象についての範囲は、あらかじめ決めているのでしょうか?。また、もし決まっているのだとすると、どのぐらいの範囲をとっているのですか?
普通の数学では、全体集合があってその中で考えるものです。
全体集合は普通は、実数全体とか、複素数全体とか、n次元実ベクトル全体とかいった形になります。
全体集合ははっきり断ることもありますが、暗黙の了解とすることもあります。
ただし、公理的集合論では「なら、全体集合をどう定義するんだ」ということになってしまいますから、特に全体集合は定めません。
任意の、というのは、無作為に選んだどれかひとつ、という意味ではなく
どれを選んでも、という意味なので。
ある特定の範囲の中での「任意の」なのか、対象として考えうるもの全ての中でという意味での「任意の」なのか
A, B⊂Xという大前提があれば、
(制限のない)任意の対象xについて、x∈A⇔x∈B
と
x∈Xを満たす任意の対象xについて、x∈A⇔x∈B
は同値です。普通の数学では後者でやるものです。
もっとも、証明の「手段として」外を考えることはあります。実数の性質を調べるのに一旦複素数に拡張するということはありますが、そういった場合でも最終結果は実数の世界です。