最近、PCR拡大や抑制が論じられる際に、必ず感度・特異度が話題になります。仮に感度70%、特異度99%と尾身さんは設定していました。
日本医学会では特異度99.99%と仮に設定したようです。
ただ感度・特異度の根拠まで踏み込まれることは少ないようです。
そこで上記質問をさせていただきました。
日本疫学会HPや下記ページもみましたが、いろいろなご意見や情報が欲しいです。恐らく検査試薬や検査機等の条件でも変わってくるので、曖昧な部分が残ってしまうかと思いますが・・。
※ 質問者は英語は苦手ですが英語論文はgoogle翻訳で確認します。
※ 数学は高校レベルであれば理解可能と思います。
※ できれば言及したサイト以外の情報でお願いします。
http://iina-kobe.com/entry151/
いろいろな所で参照されている論文です。
Kucirka LM, et al. Ann Intern Med. 2020 May 13. [Epub ahead of print]
https://www.carenet.com/news/general/carenet/50089
下記ページにいくつか論文かかれています。
2020 年 5 月 19 日版 京都大学医学部附属病院 呼吸器内科
https://www.jrs.or.jp/uploads/uploads/files/information/20200519_kyotouniv.pdf
・Comparison of throat swabs and sputum specimens for viral nucleic acid detection in 52 cases of novel
coronavirus (SARS-Cov-2)-infected pneumonia (COVID-19). Lin C et al. Clin Chem Lab Med. (2020)
単施設後ろ向き研究. SARS-CoV2 感染が疑われ、口腔咽頭と喀痰の両検体で同時期に RT-PCR 検査
を行われた 52 人を検討した。51.9%で検査結果は一致しており、36.5%で両検体陽性であった。喀
痰のみ陽性例が 40.4%を占めたのに対して、口腔咽頭検体のみ陽性例は 7.7%であった(pValue=0.001 McNemar’s test)。喀痰のある症例では、喀痰が口腔咽頭検体に比べて有効な可能性が
ある。
・Stability issues of RT‐PCR testing of SARS‐CoV‐2 for hospitalized patients clinically diagnosed with
COVID‐19. Li Y et al. J Med Virol. (2020)
9
武漢の単施設において、臨床的に COVID-19 と診断=CT でウイルス性肺炎が疑われ入院した 610
例の患者の、咽頭スワブ RT-PCR 結果に関する報告。
初回 PCR の陽性率は 27.5% (168/610)、初回陰性で 1-2 日後に再検された時の陽性率は 12.5%
(48/384)。3-5 回目の PCR ではじめて陽性となった患者もそれぞれ 7、4、1 名いた。2 回陰性を確認
した後に陽性を再度確認した患者も 18 名いた。
RT-PCR の偽陰性率は高く、結果は変動しやすい。
PCR検査をめぐる混乱
https://rplroseus.hatenablog.com/entry/2020/03/24/123006
新型コロナウイルス抗体検査陽性の意味
https://rplroseus.hatenablog.com/entry/2020/05/05/214558
PCR検査の精度と意義 感度、特異度、偽陽性、偽陰性
https://rplroseus.hatenablog.com/entry/2020/06/01/203148
PCR検査の精度と意義ー補足
https://rplroseus.hatenablog.com/entry/2020/06/08/201606
新型コロナ分科会への期待と懸念
https://rplroseus.hatenablog.com/entry/2020/07/07/212507
PCR検査拡充非合理論の根っこにあるもの 偽陽性の議論ーどこが間違いか
https://rplroseus.hatenablog.com/entry/2020/07/25/093527
SARS-CoV-2の検出については、限りなく偽陽性ということは起こらないので、
世界的に見渡しても、偽陽性を問題にした論文もまったくと言っていいほど
見当たりません。
日本の医療専門家が言っているような「偽陽性と判定されれば、
非感染者にもかかわらず必要のない自宅待機やホテル療養などの措置を
取られる可能性がある」のような主旨の論文や記事は皆無です。
査読前のプレプリント論文に偽陽性を論じているものがありますが、
これは従来のウイルスの検出における偽陽性の発生率からSARS-CoV-2における
偽陽性の発生を推測したものであり、その原因としてやはり検体の汚染に
注意すべきことを述べています。
一方、SARS-CoV-2のPCR検査で偽陰性が出ることは割とあります。
この原因の多くは、感染の初期段階での検体採取によって、
あるいは検体そのものの採り方が悪くて検出限界以下のウイルス量しか存在せず、
陰性と判定されてしまうことが挙げられます。
偽陰性の大きな問題は、それを陰性と判断してしまうことで感染を
見逃すことです。その結果、院内感染を起こしたりすることもあります。
院内感染防止のためには、時として偽陰性を疑え(陰性とするな)と
いうことです。多くの偽陰性関連の論文では、症状から見て疑わしい場合は、
検査で陰性でも感染を排除せず、再検査するまで総合的に判断するべきという
主張になっています。PCR検査には偽陰性の問題があるから「検査は無意味」とか
「検査を広げるのは問題」という主張の論文は皆無です とのことです。