防水上の問題ですが、かなり微妙・デリケートなTPO条件下で考えなければならない案件です。
断面構造図として考えていただきたいのですが、一般的なマンションの開放廊下の場合、廊下自体が下階の居室壁面に対する軒の役割も担っており、玄関扉や周辺の腰窓には雨が直接的にかかりにくくなっています(※参)。腰窓の高さではさほど水密性を要求しないようにも思え、この発明が有効な場合も考えられます。あまり普及していない専門用語ですが断面図上の雨がかり想定の斜線を「雨線の上/下」と呼ぶ人もいます。「雨線の上であれば確率上のリスクは無視できる」という思弁も成り立つわけです。
その場合、廊下幅はできるだけ大きく、腰窓の高さは高めの方がいい(法定最小値は廊下幅1.2メートル以上腰窓の高さ70センチ)、という話になりますが、話はそれだけではありません。現実の建築物に吹く雨風は地質条件や周辺建築物条件でも左右され、そんなに簡単に予測できるものではないので、結局「TPO条件は微妙かつリスク有り」という結論になってしまう。又、マンションによっては最上階は軒・庇すらない青空廊下の物件もあります。この廊下に面した居室では今回の発明はやはり建築防水上の問題を生じさせます。「貫通金物と躯体の間をシールすればいいじゃない」とマリーアントワネットはつぶやかもしれませんが、そうすると有事の際に内側から簡単に外せなくなりますので結局目的は果たせません。
不確実なリスクを孕んだものはマスプロ工業製品としては世に出にくいものです。
もっとも、21世紀以降は法改正やタワーマンション増加に伴い、中廊下方式(※参)の物件も増えており、この場合は防水問題は無視した上で設置検討することは可能です。但し壁に4箇所コア抜きをするために建築単価は高くなりますから、費用対効果の天秤勘定は別に考えなければいけません(貫通金物と躯体の間に若干の隙間は生じてしまいますが、液状シール剤でないガスケットで隙間対策をすることになるでしょう)。
そしてその効果測定では「玄関に近い腰窓から廊下避難するのだったら玄関そのものから外出すればいいじゃない」とつぶやく「別のマリー」も現れるのです。否、地震で玄関扉が変形した場合の副次的避難方法なのだ、という観点から今回の発明を重用する余地も考えられますが、効果測定の何グラム分として扱うかは微妙な話だと思います。
繰り返しになりますが、不確実なリスクを孕んだものはマスプロ工業製品化しにくいので、エクステリアメーカーの内部でもブレーンストーミングのレベルで却下されるような話なんだと思います。
(※参)→参考画像 https://mansionlife.jp/article/mansion-rouka
追記 今回の中学生に全く罪はないのですが、「建築業界でも思いつかないような発明」という見出しはちょっと失礼だな、グレタ臭・小保方臭を強く感ずるところ換気の必要を感じますナ。奇しくも、防水・防犯・面格子というと豊田商事会長刺殺事件、実行犯の二人の年長側は鉄工屋、髭の長身の方が防水屋だったと聞いています。
外壁に穴を開けることは、雨漏りの原因となり、
断熱性、気密性を損なうことになります。
余計な隙間塞ぎ防水工事費が必要となります。
クーラー用スリーブ、給気スリーブは、必要な貫通孔ですから、
隙間に防水処理をして設置します。
人が居ない部屋の窓は、普通の金属製格子付きにすればよいのです。
常時、人が居る部屋の窓は、金属製格子は設置しないで、
防犯シャッター雨戸を取り付ければ、解決する話です。
https://www.ex-shop.net/ex-blog/?p=17995
本件の中学生には、機械工学を学びながら、
「 絶対に緩まないナット 」のような発明をしてもらいたいです。
https://www.nippon.com/ja/features/c00602/