DRM(Digital Rights Management,デジタル著作権管理)について質問です。

「DRMの開発コストはふくらんでいく一方」(http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0801/28/news012_3.html)という話がありますが、
(1)なぜ、開発コストがふくらんでいく一方なのか
(2)開発コストが劇的に縮小する可能性とかはないのか。
(3)DRMはそんなに、コスト的に見合わない制度なのか
(4)そもそも、みんながある程度まで満足してくれるようなDRMの方式とかって、どういう形ならありうるのか
といったことが疑問です。とりわけ、(1)~(3)は技術的なことが絡んでくるところもあるので、お詳しい方に教えていただければと思います。
よろしくお願い致します。

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  • 終了:2008/02/06 16:35:03
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回答4件)

id:JULY No.1

回答回数966ベストアンサー獲得回数247

ポイント23pt

まず、デジタルコンテンツの特徴は、基本的にファイルをコピーすれば、少なくとも「データ」としてはコピーできてしまいます。データをコピーしても、中身が暗号化されていれば、そのコンテンツを再生できないだろう、というのが DRM の基本になります。

しかし、「暗号化する」ということは、どこかで暗号化の「鍵」を渡さないといけません。「鍵」とその鍵を使って復号化する方法が分かっていれば、そのコンテンツを再生することができます。

で、これらを分からないように一生懸命隠すのですが、必ずといって良いほどバレます、

DVD のコンテンツ保護機構も破られました。

Content Scramble System - Wikipedia

Windows Media の DRM も、何度も破られています。

Windows VistaのDRM、早くもクラックされる - Engadget Japanese

iTunes の FairPlay も破られています。

「DeCSS」の作者が, DRMを解除した楽曲をiTunes Music Storeで購入できるツールを開発 - デジタル家電 - Tech-On!

破られるたびに改修する、といういたちごっこになり、そのコストがかかります。

原理的に、暗号化されたデータの復号化してコンテンツを再生できる、ということは、何らかの形で、その再生機器(パソコンでも、地デジ対応テレビでも)の中に、復号化するプログラムと、復号化に必要な鍵が入っていることになります。テレビような家電機器であれば、そのプログラムの解析をするのは難しくなるかもしれませんが、パソコンであれば、再生プログラムを一生懸命解析して、隠された鍵データがどこにあるのかを突き止める、というのは不可能な事ではありません。

暗号化の「鍵」と「プログラム」がユーザの手元にある、というのが DRM が本質的に抱えている問題です。一般に、暗号化の安全性を保つためには「鍵」を如何に秘密にするかが重要です。暗号化のプログラム(アルゴリズム)を秘密にすることはあまり重要ではありません。逆に、「鍵」さえ盗まれなければ、暗号化されたファイルを復号化することは、ほぼ不可能になります。

ところが、DRM ではこの「鍵」をユーザに渡してしまいます。じゃないと、そもそもコンテンツを再生できないからです。ユーザに隠しているだけで、その鍵は必ずその PC 上にあります。これが、通常の暗号化と DRM での暗号化の大きな違いで、DRM がいたちごっこを回避できない原因になります。

id:hiyokoya

素人質問に、丁寧な解説いただき、ありがとうございます。

素朴な疑問なのですが、映像・音声データなどをローカルに保存するのではなく、たとえば回線速度の力に頼って、オンライン上のサーバーに保存してあるデータを再生するみたいなみたいな形で利用するというのはないのでしょうか(評判がいいのかどうかはさておき。)?ShowtimeやYahoo動画などのDRMはそういった形で運用されている印象があるのですが……あれもやっぱり鍵そのものをユーザーの手元に置いてしまっているんですかね…?もちろん、それでもパスワードが破られたりクラックされるということはもちろんあるでしょうし、録音・録画されてしまうことはあるのでしょうが…。

2008/01/31 15:01:51
id:retorin No.2

回答回数307ベストアンサー獲得回数9

ポイント23pt

(1)上記のJULYさんが言われているように暗号化と解読は必ずいたちごっこになります。しかし、解析はハッカーやクラッカーが趣味で行っているのに対して、開発はプログラマーをわざわざ雇って行っているため開発費は増える一方です。

 

(2)開発費用のほとんどは人件費です。インドや中国のような発展途上国のプログラマーを安く雇えば開発費はだいぶ安くなるかもしれません。

(3)例え完璧に破られないプロテクトを開発したとしても正規の利用者が増えるとは限りません。DRM配信以外のところからでも情報の流失は起こるので、そこに利用者が流れる可能性のほうが高い。

(4)音楽配信サービス利用実態調査レポート - 【レポセン】

リンク先の「音楽配信の悪い点」とのところ見ればわかるようにDRMは正規利用者にとって不便でしかありません。開発側が満足することはあっても利用者が満足することは無いと思われます。

id:hiyokoya

ありがとうございます。

なんというか、ぼくのなかでもまとまっていないので、素人の話としてお聞きいただければとおもうのですが、

(A)「破られる」→「破られたから鍵を修正する」という最先端のいたちごっこの過程が重要なのか、

(B)「破る方法はある」→「けどDRMの破られたものは普及してないから、普通のユーザーがDRMフリーのものを入手するのはちょっと大変。だから存在することには意義がある」みたいな、論理なのか、


 というのがちょっと錯綜しているように見えるんです。

 たとえば、(A)のような最先端の鍵破りの方法がすぐに流通してしまう社会環境(台湾、ロシアなど)では、最先端のいたちごっこがそのままコスト構造に直結してくるのはよくわかるのです。しかし(B)のような社会環境――たとえば、日本における最新ゲームソフト流通――では最先端のいたちごっこよりも、低スキルユーザーを遮断する方法としてよく機能しているように思います。こちらではそこまでDRMのコストが爆発している、という印象がありません。DRM単体で費用対効果を問うと確かに、ユーザーがDRMフリーのところに流れていたりする印象はたしかにあります。一方、社会制度の運用とセットという視点に立ってみるとDRMが一部の役割をうまく果たしている領域も存在するように感じますが…。ちがうのかな…。少なくとも日本国内の家庭用ゲーム産業あるいはオンラインゲーム産業(こちらはDRMとはちょっと違うかも)ではDRMはそれなりに費用対効果が悪くないものになっている印象があります……実はなってないのかもしれませんが……。

 あと、音楽とか映像コンテンツの話になってくると、確かに費用対効果が別によくなっていないかもしれないよ、という指摘はぼんやり納得いくのですが。ただ、なんだか、音楽の話に焦点化されすぎている気もするんです。確かに音楽の話はいま、データ量の軽さからも、ここが先行して一番の問題になってきている側面もあると思うのですが、動画配信とかだとYoutube/ニコニコ動画とYahoo!動画/Showtimeの動画の画質の違いは著しいし、音楽の話と議論構成の土台が一緒だという気がまだ個人的にはしないのですよね…。

 (4)のDRMが利用者側から不満という話は、そのアンケート結果自体は確かによくわかるというか…コピー回数制限とかしたらコピーワンスだろうがコピーナインだろうが、ユーザーの権利を制限するものなのだから、「満足か/不満か」という問いの投げ方をしたら、ユーザーが不満だと答えるだろうというのは半ばトートロジカルな議論構成かな、と。それに初期のCCCDと、コピーワンスと、コピーナインでは、不満の度合いがだいぶ違う気もしたりしますが、いずれにせよ問題は、不満かどうか、なのではなくて、それがどこまでユーザーにとって「クリティカルなのかどうか」あるいは「もうこんな流通マーケットは不便だから見捨ててやる!」というところまで思うかどうか、なんじゃないかと思うのですがどうでしょうか。つまり、「ユーザーにとってよくない」という議論のレイヤーを分けて論じる必要があると思うのです。しかし、なぜ、「ユーザーが不満」という要素がそこまでクリティカルな論点として参照されてきてしまっているのかどうかが今ひとつピンとこない。たとえば、「DRMで殺人が起こる!」というのであれば、それが10件とか20件といった件数であれ、クリティカルな論点になりうるのもわかるのですが、なんかちょっとぼんやりしている印象があるんです。いや、それが論点として機能しない、とまでは思わないのですが、論点としての重要性が何によって担保されているのかがピンとこないという感じです。たしかに大事ではあるけれど、DRMがもしも費用対効果の充分見込める費用の回収手段として機能する可能性があるのならば、そこまでケチョンケチョンに言われなければいけないのだろうか、と。

 ただ、おっしゃられる通り、とりわけ音楽流通に関して言うとかなり評判のわるい、じゅうぶんな費用対効果の投じにくい制度になっているっぽいな、ということは多くの人がおっしゃられているので、ぼんやりと「そうなもんなのかな」という気もするのですが、音楽のDRMの話と、動画のDRMの話と、家庭用ゲームプログラムのDRMの話と、ぜんぶ同じレイヤーで語ってしまっていいのかなぁ…うーん。よくわからない、といった印象で、お詳しそうな方のお話をうかがっていても、どうも曖昧な気分におそわれてしまうのですよね。

 わたし自身の疑問もぼんやりして、知り合いの頭のよさそうな人がみんなDRMは良くないといっているので、良くないのだろうなぁ、ぐらいの、なんとも言えない雰囲気ではあるのですが…。

 長々と書いてしまいましたが…情報ありがとうございました。勉強になりました。

2008/01/31 18:36:05
id:retorin No.3

回答回数307ベストアンサー獲得回数9

ポイント22pt

二度目の回答失礼します。

 

まず最初に、DRMはインターネットでのデジタル配信がメインなのでゲームなどのプロテクトとは別物です。

次に、(A)「破られる」→「破られたから鍵を修正する」というのがこのイタチごっこでは重要です。一度でもDRMが破られた音楽なり動画なりが流失するとそれらを回収することはまず不可能になるため、流失による被害が増えないように開発を進めるのです。

hiyokoyaさんがおっしゃるように旧式のDRMでも低スキルユーザーを遮断するという意味では十分その機能を果たしていますが、逆にそういった人たちは制限の無いP2Pや海外違法サイト等に流れやすいというのも事実で、ニュースでよく見かける個人情報の流失もスキルの低さから起こるものです。それ以前にそういった人たちはお金払ってまで有料サイトを利用しようとは思いません。

 

市場規模からいうと音楽>映像>その他、の順になっているため音楽が大きく取り扱われるのは必然です。基本的にDRMの仕組みはどれも同じなので、議論する土台の違いはユーザーの違いです。ちなみに画質の違いはDRMのせいではなく配信サイトの仕様によるものです。

 

利用者の不満点について「コピーに制限がある」にしか触れていませんが、そのほかにも「他の形式に変換できない」「キーを消失したら再生できない」「特定の機種やソフトでしか再生できない」などPCで音楽管理するユーザーからしてみれば迷惑きわまりないものばかりです。

「不便だから見捨ててやる!」ということは無いと思いますが、それよりも便利なものがあればそちらに人が流れていくのは当たり前です。

クリティカルな論点がどうのこうのというよりも、そもそもDRMの要・不要論はユーザーではなく関連業界内の論点です。先にも言いましたが、DRMはユーザーには利点が無く、あくまで企業の利益を確保するために開発されたものです。

DRMを廃止した場合と開発を続けた場合ではどちらが利益が大きくなるのか?というのが一番の論点となっており、廃止すれば違法ダウンロードが増えて利用者が減るかもしれない、だからといって開発を続ければ費用は膨らむばかり・・・結局この議論もイタチごっこになっています。

 

ダミーhttp://q.hatena.ne.jp/1201678413

コメントをオープンしていただければそちらでも回答できます。

id:hiyokoya

二度目のご回答まことにありがとうございます。

いろいろ答えていただく中で論点が整理されていく感じがします^^

▼まず、「DRM」概念の指す範囲からして、ぼくは理解したほうが良さそうだな、とわかったのが一点と、

▼画質問題がDRMと別の問題なのは了解しています…ええっと、書き方がわるかったです。すみません…。

▼(A)先端状況が大事という話と(B)低スキルユーザー対策 という話はやはりちょっと議論が曖昧になりそうな気がするので、ここは多分ほんきで議論するのであれば、誰かがきちんとした研究をしないと「いや、そんなことない」「いやいや、そんなことあるって…!」みたいな平行線の議論に落ちていきそうなので、ここは論点として当面は半信半疑で見ていこうかなと思ったのが一点。たとえば、低スキルユーザーがP2Pや海外違法サイトに流れるというのはちょっと合点がいかず、実際にはWinnyの設定だって本当に低スキルなユーザーは無理だと思うので…あそこで情報流出してる人々は中の下ぐらいのスキル(?)の人たちなのかなという印象があります。それに、低スキルユーザーに対してウィルス不安をあおっとけば、P2Pのようなリスキーな方法よりも、多少のお金はかかっても安全な方法を選択する人は多いとおもうので……でも中の下が、中の上かとか言い始めると、外野的に意味不明の話をしてしまいそうなので、ユーザーの区分と、技術の有効範囲の相関性について何かしらクオリティの高い裏付けとなるデータがほしいところだな、と。

▼ 市場規模に関しては統計の取り方なのでは…?と思うのですが。。。ベースになっている統計資料みていないので、たぶん、インターネット上で流通しているデジタルコンテンツの統計の話なのかな?と推察するのですが、「いま」のネット流通市場で語ってしまっていいのかな、と言うのも少し思ったわけです。

 たぶん、ネタ元を明らかにしたほうが話がわかりやすいと思うので、ネタ元を出してしまいますと、ネット流通のコンテンツに限らず、日本のコンテンツ市場全体ということで統計をとってみると、1.文字・画像メディアが5兆6180億円 2.映像 4兆4719億円、3.音楽・音声 1兆6301億円 4.ゲームが1兆1043億円 となっていて、現状のコンテンツ流通はパッケージが52%(6兆5501億円)で、インターネットは一方でまだ4%(5565億円)しかない(参照『コンテンツ学』2007、世界思想社、P145)。そうなってくると、「いま」の発展途中でしかないネット流通について、話が音楽の話だけに絞られる、というのはやはり違和感が残るんです。これは絶対に未来の話も見据えないといけないのではないか、と。映像、文字・画像、ゲームといったメディアの話も包括的にしましょう!と言うか、あるいは音楽は音楽の話としての特殊性ということである程度、特殊性と一般性との区分けをしながら論じるか、そういう論じ方になってくるのではないか、とは思うのですが…。

 いや、それでももちろん音楽は先行して、全面化してきた事例としての意味はでかいとはもちろん思うのですが、それだけの話に矮小化されるとどうなのかな、と。

▼ ユーザーに利点があるかどうか、という話はやっぱり、企業の利益と、ユーザーの利益が切り離せるという観点がよくわからないのですよね。

 現状のDRMは確かに不満ぶーぶーだし、あんまよくないらしい、という話はよくよくわかるのです。で、費用対効果がよくないし不便すぐる、というのなら、DRMじゃなくて、別の制度にしましょうね、と言う話もよくわかる。ただ基本的な話として、日本のコンテンツ業界全体が経済的基盤を成立させる世界にしてゆく、という大目的で言えば、どうやってクリエイターや流通インフラ業者の人に生活してもらって、次のコンテンツを作り流通させるためのお金をゲットしてもらうかというのは非常に重要な問題になってくるので……企業なり著作者なりにきちんと利益を得てもらうことは長期的にはユーザーが「いい作品」に出会うために必要なことだと思うのですが、それを「ユーザーの利益と、企業の利益は別」と切り離す議論が成立するという観点はちょっとよくわからない。もちろん、短期的には別なんだけど、トータルに考えればつながっているのかな、と。

▼ ただ、もちろん、より便利なものが出てきたらソッチに流れるだろう、というのはそれもよくわかります。それは、一つの合理的な人間観の基準だろうとおもいます。でも、なんでそれがクリティカルな論点になるのかは、やっぱりよくわからない。便利なほうに人が流れるのは、そうだろうけれど、「便利を選択することと、サステイナブルな世界を構築していくための話は別だよね。その二つは繋がってるけど、分けて論じようね」っていうのは、さんざん論じられてきた話だと思うのですが……サステイナブルな業界論にはぜんぜん関係ないのかな?この話は?関係ないというのだったら、わかるのですが。なんか、ユーザーの利益を強調する話ばかり聞いていると、本当に関係ないと、確信を持っている人がおおそうでちょっと、そこらへんも、この話を聞いていて曖昧な気分がしてくるところなのですが……せめて、ユーザーの便益の話と、業界の維持の話がどう関連してくるか、という経済系の人からの分析がもうちょっとあってもいいのかな、と。そんな感想を抱いているのですが、この感想すら論外なのかなぁ…ううん。KYって言われたら、どうしよう。みたいな…。

▼ たとえば、DRMの設計が、コピーもかなりのところまで自由な状態になって、単に著作権者に金をバックするためのシステムとして「だけ」うまく機能したりするのであれば、そこからも逃れて「便利」を選択しようとするユーザーについては、違反を発見次第、補償金はらわせるとか、法律でしばっていくとかって言うのでもいいんじゃないか、とか思うのですが…。いや、こういう視点に立つと、DL違法化支持みたいに聞こえかねませんけれど…、そもそも「合法な領域」の設計がうまく行ってないということの問題が先にあって、そのあとか、あるいはそれとセットで違法な領域の議論をすればいいのではないか…とか思ったりしているのですが…技術の話と、ユーザーの効用の話と、経済の話とぜんぶからまって捉えなきゃいけないとなってくると、なんだか問題全体がよく見えない。

▼ しかも、みんな、強気でばんばん話してるけど、ほんとはこれ、論点整理をもう少し丁寧にやる発想を持っていないといけないのかな、と。権利者側がロビイングとか利用して政府をガンガン動かすのは論外だし、権利者側のあからさまな強硬策に対して向こうをとって強硬に反発姿勢をとってみせることをやる人は必要だけど、それは政治戦略上のポーズの話であって………政治戦略的なポーズの話と、実際の効果測定/制度設計の話が同時に語られているからより一層、話がぼんやりとして見えてくる。そういう世界なんだな、というイメージになってきました…。

▼>DRMを廃止した場合と開発を続けた場合ではどちらが利益が大きくなるのか?

 ですよね、この論点が曖昧だというのが、DRM批判の大きな点としてあるのは間違いない気がするんですよね。不便の話をのぞくとしても、この点は大きい。結局、ペイしない制度なんだったら無意味なわけだし、ペイしないだけならまだしもユーザーから支持されていないとなると救いがたい。そういう議論セットが流通してる、という現状だけはなんとなくわかってきたのですが、、、

▼ retorinさまの回答をいただいていきながら、反論…というか、自分の考えをまとめる契機に使わせていただいてしまったような感じで、なんか、すみません…。

2008/02/01 12:08:31
id:JULY No.4

回答回数966ベストアンサー獲得回数247

ポイント22pt

▼まず、「DRM」概念の指す範囲からして、ぼくは理解したほうが良さそうだな、

私も、ミスリードしている可能性があると思いますが、DRM はあくまでも「技術」であって、デジタル化されたコンテンツ保護、および、著作者へ補償確保をするための、手段の「一つ」に過ぎない、というところでしょう。

確かに、DRM を使うと、著作者側の意図によって複製回数などをコントロールできる、という点や、実際にどのくらい売れたか、というのが分かりやすいので、著作者への還元の公正化につながる、というメリットはあります。ただ、コンテンツを購入した側にすると、購入したものを「自分が楽しむ範疇で複製する」のにも障害になる、という点が「使いづらい」という原因になります。別に悪いことして無いのに文句を言われるみたいで、気分がわるい、という感じはあると思います。

あと、私の回答にも書きましたが、破られない DRM を作る、というのが、理論的には不可能なため、いたちごっこは避けられない、という側面があります。かなりいろんな工夫をしていて、「この鍵が流出しても、こうすれば流出を食い止められる」といった具合に、かなり頑丈になってきたとは思いますが、理屈上は、破られないとは言えず、それが、著作権利者から見ると、許せない、といった側面はあると思います。

▼(A)先端状況が大事という話と(B)低スキルユーザー対策 という話はやはりちょっと議論が曖昧になりそうな気がするので

低スキルユーザ対策という意味では、確かに、DRM が仮に破られても、わざわざ DRM を解除するプログラムを拾ってきて、解除をするユーザがどれほどいるか、かなり疑問です。しかし、DRM が解除されたデータを入手すれば、それを CD や DVD に焼いて、露天で売りさばく人たちが商売にします。もちろん、それは違法行為で、見つかれば捕まるわけですが、日本国内はともかく、著作権に対して意識の低い、中国、東南アジアでは、海賊版の流通が相当あり、国際的に問題になっていたりします。

中国で海賊版374万枚押収、コンテンツ海外流通促進機構が活動報告

こういう現状が、著作権利者から見ると許せない状況で、技術的に制限できるのなら制限してほしいし、それが出来ないのなら補償金制度のようなもので還元して欲しい、ということになるのでしょう。

技術な対策としては、今話題になっている地デジの「ダビング 10」の話で、「ダビング 10 」以外にも EPN という方式を検討していた時期もあったようです。

EPN - Wikipedia

...といった具合に、「DRM 技術」自体が十分に成熟しておらず、ユーザ側、権利者側の双方が納得できる技術にはまだなっていない、という現状があります。そこで、これ以上、時間とコストをかけるのか、それとも、補償金制度のようなもので済ませた方が良いのか、といった辺りが、今、焦点になっているところだと思います。

余談ですが、正解的な音楽レーベルの動きを見ると、DRM を廃止する方向に動いているように見えますが...。

アマゾン、ソニーBMGのDRMフリー楽曲を販売:ニュース - CNET Japan

id:hiyokoya

ありがとうございます。EPNの話は中身をよくりかいしてませんでした。

▼ DRMでなくともよいだろう、というのはたぶん、julyさんのおっしゃるとおりなのかな、と。たぶん。

▼ そして「自分で愉しむ範囲」っていうので文句を言うのはたしかに非常によくわかるのですが、ぶっちゃけた話、みんな「コピーしたもの、友達にてるよね?ね?本当にまったくしてないの?まじで?」と問い詰められたときに「うん。まったくしてない。おれは、完全にクリーン」と堂々と答えられる人って、実際問題どのぐらいいるのかが、正直どのぐらいいるんだろうか、と。わたしだって、友達から「あれのデータほしかったら、やろうか?」的なことを言われることは、少なからずありますし。*いちおう…わたしのPCには私的録音の範囲内の音楽しか入っていませんが、でもCDを紛失してしまって証明しづらいものとかはあるかも。

 心の底から、「正当な利用範囲での不満」だけで不満のべてる人ってどのぐらいいるんだろうか。みんな、この話は下心がある人がけっこう多い気がするんですよね。別に、下心あってもそんなにわるいとは思いませんけれど、みんな大手を振って言えない話を一部の正当性にだけよりかかって発言するのは、どうなのか、と。たとえば、DRM付きのものは「私的録音の範囲を保障する」必要すら無い、という話もできる可能性があると思うんです。だから、まあ、そんなのクソだし、ユーザーが選ばないというのなら、滅びていけばいい。でもすっごく安い。とか。

▼ でも、いま、DRMフリーの流れにむかっているのは悪い話ではないのかもしれませんけれど、意志決定の過程が見えないのがなんとも言えず気持ちがわるい。「DRMフリーでも、Appleの場合は、ipodの売れ行きがよくなれば、ソフトよりも、ハードの形でお金を回収できるだろうから、AppleにしてみればDRMフリーでもじゅうぶんおいしい商売なんだ。iTSでのソフトコンテンツ販売はそもそも、そんなにAppleに金が入るわけじゃないから、あそこはソフト屋といいつつハードの売上げで食ってる」と、いう話を聞いたことがありますが、なんか、そういうだけの話だったとすると、DRMフリーの話も、業界全体をどううまく機能させるかとは、実は関係ないのかも、とおもってしまう。

▼ 確かにCultureFirstとか、レコード会社とかみたいな業界上の対地位を持つところが、ロビイングして、文科省を動かして、わけのわからん著作権改正はかったり、DRMをとりあえず強化みたいな話は、なんじゃそりゃ、と。でも、Appleがユーザーの味方をするフリをしながら、自社の儲けを拡大を単に狙ってるだけの可能性だってある。DRMフリーは結構だと思うのだけれども、これは別に業界全体のことをきちんと考えてアクターが動いているという話では別にないはずで、単にユーザーに支持されて、少なくとも短期的には儲かる決断をしてるだけの可能性がある。パレート最適を考えているのではなくて、ナッシュ均衡解に向っているだけの可能性もある。その可能性について疑心暗鬼になってくると、「単にDRMフリーやったね☆」みたいな話って、「え、それ、本当にいいの?いや、個人的にはうれしいけど」という気がしてくるわけです。だから、この話は、裏が見えない、というか、みんなが本音を隠してトークしすぎてるような感じが気持ちがわるい。「DRMである必要」はかけらもないのかもしれないけれど、お金をまわすためのシステムって、何かほかにちゃんと考えているあたまのいい、えらいひとがどこかにいるのだろうか?と。いや、あたまのいい、えらいひとがどこかで考えているのなら、よくわかるのだけれど…。それはだれ?という感じで。

 DRMでもEPNでもいいけれど…

 

▼ でも、この話はDRMをやってもムダ、という話は確かに自分でも書いていくうちに新しい論点が見えてきたというか…

 確かに「DRMで取り締まるよりも、別のところで取り締まった方が実効性たかいんじゃねーの?」みたいな言い方は確かにできるのかもしれないな、と。「中国や台湾で流通してるんだから」という話はDRMどうこう以前に、ゲームソフトのプロテクトだろうが、なんだろうが、なんだってあの国はそうで、別にDRMの話だということで、わざわざ中国を参照するというのは、本当はおかしい。むしろ、「コピーのプロテクトというのは究極的にはかけられないものである」という事実はたぶん98%ぐらい真実として存在していて、あの国の末端のコンテンツ流通は、ガンガンコピープロテクトを破ったものを流通させる。あと、P2Pの世界も、そういうものがとにかくガンガン流通する。

 だったら、P2Pでコンテンツをアップした人間を送信可能化権でとりしまって、中国や台湾の末端流通をとりしまればいいじゃないか、と。そういう議論はできる。少なくとも、日本やアメリカといった国は違法コピー「率」が統計的には低い形で推移しているので、技術の問題で強引にやるべきじゃなくて、社会制度の側でコストをかけてもらったほうがいい。DRMの話は、著作権管理のために払うコストを、全部民間の人間に押しつけているだけなんじゃないか、みたいな話もできる。(*もちろん、そう考えれば官庁の人間が、自分のところでコストを払うよりも、自動でやってくれるDRMのほうがいい、という話をするのは当然だろう、と。)

 できるだろうけれど、一方でP2Pやニコニコ動画とかの場合、あそこでしか見られない流通にのっていないけれど「権利者のいる作品」とかいうものもあって、そういうものとかまで、取り締まるのはどうよ、という話になる。いや、もうぜんぶ一辺に見られないことにしてしまっていいのかどうか、と。権利者がいるけれども、権利者の都合で流通にのせられない作品を、半ばゲリラ的に流通させて、一方で、権利者はそれを「お目こぼし」していたりもするわけで…ううむ。

▼ つまり、結局、

 (A)コンテンツの正当な利用のための範囲がどこからどこまでで、(とりあえず「当為論」と呼ぶ)

 (B)ではその正当な利用の範囲内でユーザーに利用してもらうためにはどういう制度・技術・運用が必要か(とりあえず「運用論」と呼ぶ)

 という二つの次元の話があり、DRMの話は、後者(B)運用論の水準の話だっけ突っ走った結果、(A)当為論の話がなおざりにされていて、非常にうざい、と。だがしかし、(A)当為論の水準の話も実は、非常にまだ曖昧模糊とした水準で、だから(B)運用論の話がきちんと決まるという事態もなかなか起こってこない。というか、当面はみんな、わからん。だが、(B)運用論の話の水準だけで話をしたい、あるいはしてしまっている、官僚やら、会社やら、ユーザーやらが多すぎて、(A)当為論の水準の話がやはり意味不明になっている。で、なんだか、みんなで政治をやっていて、本音の隠し合いトークがあって、ううん、みんな一体何を言いたいんだ…?と、ほんとに本気で、ユーザーの権利/あるいは著作権者の権利を叫ぶだけで話が解決すると思ってるの?と。それがこの手の話の印象なんだなぁ、と。

なんか、例によって、こんな言い方ですみません。

2008/02/01 19:50:15

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