サイバーパンクSFの定義自体、人それぞれで議論のあるところですが、そこは回答者さまの良識にお任せしますので、ぜひ1冊でもいいですから、お気に入りのものがあれば、書影(不可能な場合は関連URLで代用可です)をよろしく。
思い入れいっぱいの文章大歓迎です。
http://www.isis.ne.jp/mnn/senya/senya0062.html
松岡正剛の千夜千冊『ニューロマンサー』ウィリアム・ギブスン
やっぱり元祖というか本家というか、ですね。
あと翻訳もあったような気がしますが、ウィリアム・バロウウズの「Wild Boys」というのもイケてます。こちらは先駆というか、、、ですが。
ジョージ・アレック・エフィンジャーのブーダイーン三部作。
イスラム世界の独特な雰囲気が、意外なくらいハードボイルドに合っていてはまりました。
電脳にカセットを差し込んで、簡単に造られた人格に変わってしまうっていうギミックも人間の基本的なものの揺らぎを感じさせる仕組みで、SF的には疑問もあるけど、全体にセンスを感じさせてくれる作品でした。
作者が難病で亡くなってしまっている事もあって、一番記憶に残っています。
ななか、IEがまたすねてますね、うまく書き込んでくれないです。次の回答からFirefoxに移ります。
アンドロイドは電気羊の夢を見るか? (ハヤカワ文庫 SF (229))
サイバーパンクといえば、ディックは外せないと思います。
私が最初にディックを読んだのはコレでした。
でも映画は見てないです(別物だと感じたからです)
ディックは先駆けといってようでしょうね。
しかも、サイバーパンクの嵐で、旧来のSFが魅力を喪失したなかで、かえって再評価された作家として、彼の独自性は強調しすぎても、しすぎることはないでしょう。
かなりマニアックで申し訳ないのですが、あまりにも良かったので、このアンソロジーに掲載されているウイリアム・ブラウニング・スペンサーの「真夜中をダウンロード」を。
というか、スペンサー、この短編集以外の邦訳を見たことがないのですが、どなたかご存じないでしょうか!<ってお前が質問してどうする・・・。
というぐらい気になる作家です。
(しかも、解説ではほとんど語られてないし・・・)
90年代SFに関しては、まだ十分に紹介されていない、という感じです。むしろ、90年代には英米中心のSFが日本へ重心を移してきた、と思うのですが、どうでしょう?
アザーランド 黄金の幻影都市〈1〉電脳世界の罠 (ハヤカワ文庫SF)
全部で五冊ありますが、タッド・ウイリアムズの「黄金の幻影都市」は最近のサイバーパンクでの良作だと思います。
サーバーパンクというと一昔前という印象が強かったりしますが(実際、一昔前に始まったわけですが)、現在のネットワーク社会とは少し異なることが多いです。この作品は、最近に書かれただけあって、今あるネットワーク社会の未来を暗示させるような内容になっています。ヴァーチャルリアリティ技術、早く実用化されれば楽しいことになるんだろうなと思いました。
「順列都市」:グレッグイーガンの作品です。記憶や人格などの情報をコンピュータにダウンロードして、富豪達はコンピュータが止まらない限り死なない存在になっています。しかし、その富豪達に、本当の不死になれる方法があると提案する男が現れ……、という話です。このあらすじだけで、私は非常に惹かれました。実際読んだのですが、アイディアの秀逸さとぶっ飛び具合とラストのカタルシスが非常に良かったです。
グレッグ・イーガンがサイバーパンクの正統な後継者であることは確かだと思います。
そして、21世紀の現在は、同時代の小説を書いてもサイバーパンク的です。ギブスンやスターリングが予想したよりもネットワーク社会の比重が大きくなりましたが。
自分にとってサイバーパンクといえばスターリングです、やっぱり。
身体改造を繰り返した人類が、宇宙を舞台に生存競争を続ける<機械主義者/工作者>シリーズは、そのある種「理系的」な世界観にしびれました。短編集「蝉の女王」が絶版なのが惜しまれます。
また、「80年代SF傑作選 下」に収められている「間諜(スプーク)は自分がはじめて読んだスターリング作品です。異様な人間観、クールな語り口、人間観のゆらぎをも感じさせる結末・・・・・・すべてが新しく、そして格好良かったです。当時、10代だった自分は感化されまくりました。
「タクラマカン」は1999年に出版された短編集ですが、このスタイルの有義性が、いささかも衰えていないことを示す、傑作ぞろいだと思います。特に、日本の贈答文化とネットワーク社会の融合というアイデアが面白い「招き猫」、トボけた味わいで“今、ここにある”悲惨な世界を描いた「ディープ・エディ」、民族問題という現代的な主題と、異様で非人間的なビジョンが結びついた、とにかく問答無用の傑作「タクラマカン」、この三篇はお勧めです。
出ましたね、スターリング!!
たまたま、私も「ネットの中の島々」を入手して読み始めたところですが、さすが名作「ハッカーを追え! 」の著者であるスターリング。快調な滑り出しです。
鼠と竜のゲーム―人類補完機構 (ハヤカワ文庫 SF 471)
和風サイバーパンクということで「ヴィーナス・シティ」を。基本を押さえた良作だと思います。
あと、コードウェイナー・スミスのスキャナーもの。社会的使命・必要性と個人の人間性との葛藤というか悲劇というか。短編ですが、切り口は鋭いものがあるかと。
コードウェイナー・スミス!!そうきましたか。でも、言われてみると、ポール・ラインバーガー(林白楽)の世界も、たしかにそうですね。
柾悟郎氏は未読ですが、書評を読むとおもしろそうです。ちょっと手を伸ばす気になりました。
海外作品が多いようなので、日本作品のお気に入りを1冊。第2回小松左京賞受賞作。町井氏は、前作の『電脳のイブ』とか、これはサイバーパンクではないのですが『爆撃聖徳太子』など面白いのですが、作品数が少ないのが残念なところです。
おお〜、これは面白そう
>日本中部の200万都市の一角・今池
って、最近海上空港のできた半島の北の方にある、あの街の「今池」ですよね(と、小学生時代に千種で暮らしたことのある質問者はノスタルジーにひたる)。
>映画『バトル・ロワイヤル』に触発されて書かれた
という書評も興味深く読みました。
ありがとうございました。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4150114773/hatena-q-22
Amazon.co.jp: ファウンデーションと混沌(上) (〈新銀河帝国興亡史〉2): グレッグ・ベア, 矢口 悟: 本
サイバーパンクの王道、グレッグベアの作品なんですが、ファウンデーションシリーズはいかがでしょうか?
「ファウンデーションと混沌」(新銀河帝国攻防史2)
古き懐かしきファウンデーションがサイバーになるとこんなふうに見えるのかということもおもしろいです。
「ファウンデーションの危機」が新シリーズ1作目でこれも模造人格など出てくるのですが、けっこう読みにくいのです。
「ブラッド・ミュージック」から始まった流れと考えるとベアの存在は重要ですよね。サイバーパンク・ムーブメントに動じることなく、硬柔両方のSFを書き続けている力量はさすがです。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4150107475/hatena-q-22
Amazon.co.jp: ロボコップ (ハヤカワ文庫SF): エド ナーハ, 斎藤 伯好: 本
「ニューロマンサー」と言いたいところですが、すでに語りつくされていますのでちょっと変わったところをお勧めします。
「ロボコップ」はハリウッド版ロボット刑事映画として受け止められましたが、映画を貫く主題は経済とテクノロジーの過剰進化、人間性の軽視、主流から遠く離れた人々と、紛れもないサイバーパンクでした。
映画がお勧めでしたが当時文庫で呼んだ小説版も面白かったです。でもできれば映画で見てください(^^;
bk1にはなかったのでAmazonのリンクを貼っておきます。
映画としての「ロボコップ」は、続編になるほど(^^;)ですが、たしかに舞台はサイバーパンクとしかいいようがない、そうした雰囲気があのころからSF映画に目立ってきましたよね。「ブレードランナー」などは、ディック再評価につながる重要な作品だったように思います。
ありがとうございました。
森下一仁のSFガイド
「接続された女」ってどう考えてもサイバーパンクですよね? いわずとしれた短編SFを代表する傑作です。ニール・スティーヴンスンの「スノウ・クラッシュ」や「ダイヤモンド・エイジ」はユーモラスでエッジの利いた小説で、ギブスンとはひと味違う魅力があります。「ハイブリッド・チャイルド」は大原まり子の才能がいちばん煌いていたころの名作。万華鏡のようなイメージにうっとりです。サイバーパンクとは微妙にずれるかもしれませんが、エリザベス・ハンドの「冬長のまつり」も良かったですよ。
いやー、もうサイバーパンク・ムーブメント以降のSFはすべてサイバーパンク、という乱暴な定義もあるくらいで。
最近は、普通小説でもSFの下地をあきらかに感じさせるものがあります。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%90%E3%83%B...
サイバーパンク - Wikipedia
『ファルコン』サイバーパンクと聞いて最初に浮かんだのがこちらでした。ただ、ニューロマンサーをサイバーパンクの代表と考えると、ただのSFの様な気もしますが…。
キーワードのサイバーパンクの説明をみると、
神林長平作品も結構当てはまるのがあるのかな?と思います。
が、『科学技術と社会の融合を描く』っていうのはちょっと私の持っていたサイバーパンクのイメージと解離していて、わからなくなってきました。
とりあえず、時間が出来たら『ニューロマンサー』読み直してみます。
『科学技術と社会の融合を描く』という言葉では単純化されない気がします。といえ、Wiipediaの編集に関わるほどのまとめもできてないですが。
サイバーパンク・ムーブメントとは何だったのか、という問いはまた別の機会に論ずることにしましょう。
今回はここで終わります。
回答者のみなさま、どうもありがとうございました。
ウィリアム・バロウズ(エドガーじゃない)を引き合いに出すところはさすがですね。
「Wild Boys」ーたしかに翻訳あります。山形浩生さんの訳でペヨトル工房から出ています。残念ながら品切れ=絶版のようです。bk1は「バローズ、ウィリアム」で検索しないと出ないですね。アマゾンは「バロウズ」なので、日本語は難しい。
ギブスン「ニューロマンサー」ーあまりに名作のため、以後の作品がかすんでしまう好例ですね。