http://en.wikipedia.org/wiki/Hair_(musical):detail]
スライ&ファミリーストーンとかEW&Fとかスティーヴィー・ワンダーとかそうですね。
しかし、一言で説明できるようなものではないので、いくつかそうした傾向を発生させるような大きな動きを挙げていきます。それらが個々のミュージシャンの意識に影響を与えて、いわばひとつの大きな宇宙観、宇宙意識、コズミック・アウェアネスといった意識の拡大をもたらし、それが古来からの隠秘思想(いわゆるオカルトですね)の伝統的な宇宙論(コスモロジー)のベースとなっているゾディアックと結びついたというわけです。
まず、目立ったところから挙げていくと
1969年だったかからブロードウェーでロングランされたロック・ミュージカル「ヘア」の中で人類の魂の時代が「山羊座」から「水瓶座」に2060年だったかに移行していく、いまはその過渡期だというヴィジョンが示されたことがひとつです。
ミュージカル「ヘア」のその部分の歌をフィフス・ディメンションが「アクエリアス~レット・ザ・サンシャイン・イン」の見事なメドレーにして世界的に大ヒットさせて、それが拡がった。また、クリス・クリストファーソンには「ジーザス・ウォズ・ア・カプリコーン」(キリストは山羊座だった)なんてヒット曲もあった。
こうした「アクエリアス革命」みたいな新しい時代への変化の兆しをとらえる意識が人々の中に芽生えていた。
そういうことをひとつ頭に入れておいてください。
そして、もうひとつは60年代中期のいわゆるソウル・ミュージック(オーチスとかウィルソン・ピケットとか、いわゆるリズム&ブルースと呼ばれていた時代よりも、おいり黒人としての意識の高まりが感じられる音楽)の台頭があります。それはアメリカ社会における黒人の地位向上(すなわち一般的な市民としての権利を持たない二級市民からきちんとした市民としての権利(公民権)を獲得しようとする(いわゆる)「公民権運動」の闘いの中から形成されたものでした。
これがさらにアース・ウィンド&ファイアーやスティーヴィー・ワンダーなどのよりサウンド・コンシャスなコズミックな音楽へと発展していくことには、白人のロックから受けた刺激と(中毒性のない)幻覚剤(LSD)の流行による意識の拡大がありました。
白人のロックはご承知のようにブルースやリズム&ブルースの流れをくむロックンロールから発展し、1966年ごろからよりサウンド・コンシャスになり、1967年のサイケデリアの時代を経て、ビートルズの「サージャント・ペパーズ」に代表されるようなポップ・ミュージックにおけるサウンド・スケープに一大変動を引き起こすような作品が続々と発表されました。それまでは黒人に対して音楽的に「借り」があった白人のロックはその時点で(喩えて言うなら)「借り」をすべて返済し、それどころか今度は黒人の側が逆にそうした白人のニューロックから「借り」を感じるようなかっこうになって、それまでのソウル・ミュージックにあったシンプルなサウンドをより拡張された宇宙的な意識にふさわしい複雑で細やかでより力強いものへと変革していくことになるわけですが、そういう動きの背景にあったのが、さっきの「アクエリアス」
http://www.healthy.net/asp/templates/interview.asp?PageType=Inte...
''Aquarian Conspiracy Update'': Interview with Marilyn Ferguson - HealthWorld Online
1980年にマリアン・ファーガソンという人が書いた「アクエリアン・コンスピラシー」(邦題「アクエリアン革命」、日本では部分訳のみの刊行)という世界的なベストセラーのwebアップデート版のページ
http://www.biblebelievers.org.au/aquarian.htm
The Aquarian Conspiracy
同じくその本をめぐるサイト
http://janfox.com/sixties_live_lyrics.htm#Aquarius
"Hair" Lyrics
ミュージカル「ヘア」の中の問題の曲です。
ちょっと急いで訳してみますね。
Aquarius
水瓶座
When the moon is in the Seventh House
月が第7宮にあり
and Jupiter aligns with Mars
木星が火星と直列するとき
Then peace will guide the planets
そのとき、平和が諸々の惑星を手引きするだろう
And love will steer the stars
そして愛が星々の舵を取るのだ
This is the dawning of the age of Aquarius
いまは水瓶座の時代の夜明けどき
The age of Aquarius
水瓶座の時代
Aquarius! Aquarius!
アクエリアス! アクエリアスだ!
Harmony and understanding
調和と理解と
Sympathy and trust abounding
共感と信頼が満ち溢れる
No more falsehoods or derisions
インチキやバカげたものはもうおしまい
Golden living dreams of visions
ヴィジョンに溢れた光り輝く生の夢
Mystic crystal revelation
神秘的で透徹とした黙示
And the mind’s true liberation
そして心の真の解放
Aquarius! Aquarius!
アクエリアス! 水瓶座!
When the moon is in the Seventh House
月が第7宮にあり
and Jupiter aligns with Mars
木星が火星と直列するとき
Then peace will guide the planets
そのとき、平和が諸々の惑星を手引きするだろう
And love will steer the stars
そして愛が星々の舵を取るのだ
This is the dawning of the age of Aquarius
いまは水瓶座の時代の夜明けどき
The age of Aquarius
水瓶座の時代
Aquarius! Aquarius!
アクエリアス! アクエリアスだ!
http://www.bemyastrologer.com/age_of_aquarius.html
The Age of Aquarius
2060年のアクエリアス時代の到来にそなえる人たちのページ
!こ、これは・・・。
いきなり予想しなかったほどのレベルの高い回答で、びっくりしました。
本当にありがとうございます。
自分は教えていただきました「アクエリアン革命」(asin:4408100048ですね)は未読ですし、’70年代文化についてもブラック・カルチャーについてもほんの聞きかじり程度の知識しか持ち合わせていませんので全くの見当違いかもしれませんが、回答を読ませていただいて感じたことを自分なりに咀嚼してみます。
1960年代から盛り上がってきた黒人の公民権運動はマーティン・ルーサー・キングJr.やマルコムXの暗殺と共に「運動」としては分散して行き、その一方で徐々にではあるけれど黒人の地位も以前に比べて向上してきた。もちろんその「地位の向上」は完全な平等とは程遠く、ただ爆発的なエネルギーを生み出す負荷が弱まるにつれ、そのエネルギーの行き場が見当たらなくなってきた。
一方でアメリカ社会そのものも、’50〜’60年代の圧倒的な繁栄がベトナム戦争、キューバ危機、JFK暗殺など大きな挫折を何度か経験して、やはり1970年代には繁栄の熱気という部分では大きく後退してくることになった。
1969年に製作された「ヘアー」はちょうどその頃のアメリカの「外側に向かうエネルギー」が「内面に向かうエネルギー」に転換していった象徴なのかもしれませんね。「ウッドストック」でジミヘンやスライが脚光を浴びるのも同じ1969年ですし。LSDも当然その内側へ向かう・インナートリップを助けただろうし。
そんな状況の中で、JBは精神世界には行かなかったけどそれまでのソウル音楽を完全に解体/抽象化していったし、スライにしてもウッドストック以降完全にベクトルを内向きに転換したし。スティーヴィー・ワンダーも”Higher Ground”みたいな告発の歌と”Visions”のような内面世界の歌を1枚のアルバムに並存させているし。そうした内向きの思想を突き詰めるたときに、(現在の世界を変革するのではなく)「魂の理想郷」を創出して行ったのが原初では「アクエリアン革命」であり、その後ではサン・ラやジョージ・クリントンや、モーリス・ホワイトといった人たちだった。
そのなかでジョージ・クリントンは特異な才能の持ち主だから世界観を全部自分で作り上げたけど、サン・ラにしてもモーリスにしても、自分たち黒人のコミュニティの理想郷を仮託するために援用したのが、「超越的存在=神の視点」としての「宇宙」(コズミック・アウェアネス)で、”Zodiac”はそれらの概念のベースとなる一つの要因であった・・・と。
こんな感じで解釈してみたのですが、どうでしょうか?
やはり、「アクエリアン革命」を購入するなり教えていただいたサイトの英文を頑張って読むなりしてみないとだめかもしれません。