衝動的殺人の方が罪が軽いのは何故ですか?
殺人以外の犯罪なら、衝動的に犯罪を犯した方が罪が軽くなる、とかいうことはあるんですか?
法曹関係者(勉強中も含む)の方のご回答を待望します。
フランクに話すんで、表現に問題があったらゴメンなさい。最初に断っておきます。
確かに、計画を立てる段階で殺人はイカンと気づくべきですが、衝動的な殺人を犯すアホは、
それまでの人生をアホに過ごすという、大きな過ちを犯しているのです。
言わば、アホに過ごすという計画を立てている訳ですから、衝動的殺人だって、計画的殺人の一種ではありませんか?
それに、アホは死ななきゃ治りませんよ。
アホにつける薬はありませんし。
貴殿の言う「アホ」を生み出し放置した家庭環境、ひいては社会が悪いということになりますね。
また、普通の人が何らかの挫折などにより壊れてしまうこともあるかと思います。
その通り!見事な論点の整理です。感謝します。
>普通の人が何らかの挫折などにより壊れてしまうこともある
その通りなんです。(ちなみに、僕がそうです。)
高次脳機能障害、という傷害は、その原因が主に病気、事故なんです。
僕は、ベクトルの方向が変わったんだ、と考えています。ベクトルの方向が元に戻ることは、おそらく決してあり得ません。(傷害が軽くなることはあり得ますが。)
「衝動的殺人だって、計画的殺人の一種」という言葉の使い方もありだと思います。
①
ただし、
じっくり計画した場合と衝動的な(計画)の場合は、
じっくりの方がより悪いだろうとも言えます。
②
「それまでの人生をアホに過ごすという、大きな過ちを犯している」
→これを強調すると、
悪さ(違法性・有責性)は同等だということになりますね。
③
「アホにつける薬はありません」
再犯の可能性があるということですよね。
これは、犯罪予防という観点です。
→これを強調すると、
たとえ悪さ(違法性・有責性)が弱く(上記①)ても、
刑罰は重くすべきということになります。
④
ただし、
悪さ(違法性・有責性)が弱い場合は、刑罰はふさわしくなく、
精神病院に入れたり、ある施設に入れて再教育するなどの方法をとるべきかもしれません。
このように、takahiro_kihara さんのおっしゃること(②③)は、
理屈は通っており、裁判所が考え方を変える余地は十分あります。
今回のケースでは、①②③④どれも理屈は通っています。
法律は、理屈が通っているのを前提として、
どの観点をより重要視するかで結論が異なってきます。
どの観点を重視するかは、
従来の判例、社会通念、具体的な事件の特殊性など
様々な観点から考えることになります。
法律に書いてある刑罰は、
○年~△年の懲役というように幅がありますよね。
有罪だとしても、
その幅の中のいずれにするかは、裁判所が決めます。
これを量刑といいます。
道義的な観点などからみて決めます。
よって、計画的な殺人より衝動的な殺人の方が
道義的観点からより悪くないので、量刑が軽くなります。
殺人以外の犯罪でも同様です。
この様に刑法は、客観的な事実だけではなく、
犯罪者の心の中まで問題にするのです。
過失(過失致死)の方が故意(殺人)より軽いのも、
心の中まで問題にしているからです。