このあたりも詳しいでしょうか。
http://209.85.175.104/search?q=cache:iDHn6DzeRdMJ:soneakira.blog...
作者の未完の最後の長篇小説。
姉二人、兄一人が上にいる4人兄弟の末っ子の女の子が主人公。
ご多分に漏れず気が強く、着る物の好みなどにもうるさく、
あまり可愛がられない性格。
株屋に勤める江戸っ子の父と新潟出身の母と気丈な祖母がいる。
父には小唄かなにかのお師匠さんの愛人がいるらしい。
きものとふとんへの昔の女性のこだわりや
ものを大切にする慎ましい暮らしぶりが、
いつもながらの鋭い観察眼から克明に描写されている。
きものは洗い張りなどをすれば、一生ものとかいわれるし、
また当節、田舎の蔵に眠っていた古きものが、タダ同然で仕入れて
いい値段で売られるほど、ブームとなっているが、
文字通り着るものとしての「きもの」へのほんとうの慈しみとはこういうことなんだなと。
ふとんだって中綿の打ち直しなどすれば、ものがよければ長く使えた。
でもふとんを打ち直しする家庭は減ってしまい、
町からふとん屋はほぼ消えてしまった。
主人公のるつ子が同級生の貧しい家の子に、プレゼントしようと、
うちにあったボロ布で自転車用のズボンかなんかを母に縫ってもらうように懇願した際、
母親はあげるなら「いいものになさい」とピシャリといって却下する。
対照的な性格の姉二人も早々に結婚するが、
上の姉は医家、下の姉は商家へ嫁ぐ。
その結婚観もまったく異なっている。
主人公は心臓病が悪化して床に伏した母親の世話を祖母とするが、
あっけなく亡くなってしまう。
母親は地方出身者ゆえ都会者に対してコンプレックスを抱いていた。
亡くなって母親の衣裳タンスをのぞいてみると、
驚くほど着物やアクセサリーは少なかった。
子どものために倹約を重ねる。
そして関東大震災を迎える。
るつ子は父親の反対を押し切って
縁あった皮膚科の医師と結婚する。
http://homepage3.nifty.com/emihana/zakki/zaki20.htm
幸田文著「きもの」(新潮文庫)を読む。
明治の時代に生まれた”るつ子”。幼い頃よりきものの着心地に神経質なくらいにこだわる少々頑固な少女であった。こんな彼女の家族が、美しい驕慢な一番上の姉を可愛がる母。この母は雪国の生まれで粋な江戸生まれに少しコンプレックスを持っている。このコンプレックスの元が、父が母のほかに愛した女性がまさに江戸の女という長唄のお師匠さんであったことからも来ている。父は真面目に株の会社に勤めているが、妻以外にこの女性をも愛していた。二番目の姉は長姉と同じく、肌の色は黒いが整った顔立ちという父似。しかし姉の性格とはまた違って、非常に現実的に物事を考える性質である。兄もいるがこの姉たちの陰に隠れてしまって少し存在感が薄い。しかし姉たちが嫁いでいってしまったあとに、関東大震災という災難にみまわれてしまうが、こういう時には長男として家族を支える。
そしてもっともるつ子のことを理解して、適切な助言をいつもしてくれたのは祖母。嫁である母と息子である父、そして息子が他に愛した女性との間に立っていても常に公平なとても冷静で、しかし暖かい祖母である。母が震災の前に心臓の病でなくなり、復興のときも常にるつ子に対しても良いアドバイスをくれる。るつ子の女学校の友達も、かたや”おひいさま”、かたやとても貧しい家に生まれたしかし非常に力強く生きる女の子と、両極端ではあるが、彼女たちも物語に華を添え、るつ子を助ける。
「きもの」というタイトルからして、着物にまつわるお話であろうかと思って読み始めたのだが、たしかに着物を通じての物語ではあるが、この祖母が着物を通しての女としての生き方、そして人間としての在り方を、丁寧に適切に教えてくれる物語でもあった。この時代の女性の物語は好きなのだが、殊にこの本は、根本的な人として上品に生きるためには、ということを教えてくれている。
最後はるつ子の結婚で終る。しかしこの結婚相手に(祖母や父は反対の結婚であった)結婚式直後に疑問を持つか持たないかで唐突気味に終ってしまう。これがちょっと残念であった。るつ子の性格であれば、彼女なら、疑問を持ったままで生涯が終えられるのだろうか、いやそうじゃないだろうな・・と彼女の生涯を一生分知りたくなる終り方であった。
きものamazonレビュー
http://jugem.jp/mono/asin.php?asin=4101116083
きもの Yahoo!ブックスレビュー
http://books.yahoo.co.jp/book_detail/19837207
データベースより引用
明治時代の終りに東京の下町に生れたるつ子は、あくまでもきものの着心地にこだわる利かん気の少女。よき相談役の祖母に助けられ、たしなみや人付き合いの心得といった暮らしの中のきまりを、“着る”ということから学んでゆく。現実的で生活に即した祖母の知恵は、関東大震災に遭っていよいよ重みを増す。大正期の女の半生をきものに寄せて描いた自伝的作品。著者最後の長編小説。
このあたりも詳しいでしょうか。
http://209.85.175.104/search?q=cache:iDHn6DzeRdMJ:soneakira.blog...
作者の未完の最後の長篇小説。
姉二人、兄一人が上にいる4人兄弟の末っ子の女の子が主人公。
ご多分に漏れず気が強く、着る物の好みなどにもうるさく、
あまり可愛がられない性格。
株屋に勤める江戸っ子の父と新潟出身の母と気丈な祖母がいる。
父には小唄かなにかのお師匠さんの愛人がいるらしい。
きものとふとんへの昔の女性のこだわりや
ものを大切にする慎ましい暮らしぶりが、
いつもながらの鋭い観察眼から克明に描写されている。
きものは洗い張りなどをすれば、一生ものとかいわれるし、
また当節、田舎の蔵に眠っていた古きものが、タダ同然で仕入れて
いい値段で売られるほど、ブームとなっているが、
文字通り着るものとしての「きもの」へのほんとうの慈しみとはこういうことなんだなと。
ふとんだって中綿の打ち直しなどすれば、ものがよければ長く使えた。
でもふとんを打ち直しする家庭は減ってしまい、
町からふとん屋はほぼ消えてしまった。
主人公のるつ子が同級生の貧しい家の子に、プレゼントしようと、
うちにあったボロ布で自転車用のズボンかなんかを母に縫ってもらうように懇願した際、
母親はあげるなら「いいものになさい」とピシャリといって却下する。
対照的な性格の姉二人も早々に結婚するが、
上の姉は医家、下の姉は商家へ嫁ぐ。
その結婚観もまったく異なっている。
主人公は心臓病が悪化して床に伏した母親の世話を祖母とするが、
あっけなく亡くなってしまう。
母親は地方出身者ゆえ都会者に対してコンプレックスを抱いていた。
亡くなって母親の衣裳タンスをのぞいてみると、
驚くほど着物やアクセサリーは少なかった。
子どものために倹約を重ねる。
そして関東大震災を迎える。
るつ子は父親の反対を押し切って
縁あった皮膚科の医師と結婚する。
http://homepage3.nifty.com/emihana/zakki/zaki20.htm
幸田文著「きもの」(新潮文庫)を読む。
明治の時代に生まれた”るつ子”。幼い頃よりきものの着心地に神経質なくらいにこだわる少々頑固な少女であった。こんな彼女の家族が、美しい驕慢な一番上の姉を可愛がる母。この母は雪国の生まれで粋な江戸生まれに少しコンプレックスを持っている。このコンプレックスの元が、父が母のほかに愛した女性がまさに江戸の女という長唄のお師匠さんであったことからも来ている。父は真面目に株の会社に勤めているが、妻以外にこの女性をも愛していた。二番目の姉は長姉と同じく、肌の色は黒いが整った顔立ちという父似。しかし姉の性格とはまた違って、非常に現実的に物事を考える性質である。兄もいるがこの姉たちの陰に隠れてしまって少し存在感が薄い。しかし姉たちが嫁いでいってしまったあとに、関東大震災という災難にみまわれてしまうが、こういう時には長男として家族を支える。
そしてもっともるつ子のことを理解して、適切な助言をいつもしてくれたのは祖母。嫁である母と息子である父、そして息子が他に愛した女性との間に立っていても常に公平なとても冷静で、しかし暖かい祖母である。母が震災の前に心臓の病でなくなり、復興のときも常にるつ子に対しても良いアドバイスをくれる。るつ子の女学校の友達も、かたや”おひいさま”、かたやとても貧しい家に生まれたしかし非常に力強く生きる女の子と、両極端ではあるが、彼女たちも物語に華を添え、るつ子を助ける。
「きもの」というタイトルからして、着物にまつわるお話であろうかと思って読み始めたのだが、たしかに着物を通じての物語ではあるが、この祖母が着物を通しての女としての生き方、そして人間としての在り方を、丁寧に適切に教えてくれる物語でもあった。この時代の女性の物語は好きなのだが、殊にこの本は、根本的な人として上品に生きるためには、ということを教えてくれている。
最後はるつ子の結婚で終る。しかしこの結婚相手に(祖母や父は反対の結婚であった)結婚式直後に疑問を持つか持たないかで唐突気味に終ってしまう。これがちょっと残念であった。るつ子の性格であれば、彼女なら、疑問を持ったままで生涯が終えられるのだろうか、いやそうじゃないだろうな・・と彼女の生涯を一生分知りたくなる終り方であった。
ありがとうございました。
もう少し詳しいあらすじの記述が欲しいのですが…。
無理言って、済みません。