一般的にはROA、ROEなどの簿価ベースの指標が挙げられることがありますが、公募増資の予定などぜんぜん有りそうにない成熟企業を評価するのに、簿価ベースの指標が使われるとは信じられません。
過去に行った投資に対する効率性なんて、市場で株を売買している投資家には無関係ではないのでしょうか?
企業の成長トレンドを見る際に参考にはなります。
ただし、「利益は意見、キャッシュ・フローは事実」といわれるように
効率性指標の分子となる利益は、会計処理でどうにでも調整できるので
営業キャッシュ・フローと利益(この場合は当期純利益)の乖離が甚だしい場合は
その「利益」は参考になりません。
実際、機関投資家がバリュー投資の意思決定をする際には、株主価値を精密に算定した上で時価総額との乖離がある場合に投資を行います。以下の公式が成り立つ時です。
事業価値+非事業用資産-負債(他人資本)= 株主価値 > 時価総額
事業価値は、キャッシュ・フローのDCFバリエーションで算定しますので
キャッシュ・フローの動き(トレンド)が重要です。ただし、これば簿価とは関係ありません。
簿価と時価の関係で言えば、非事業用資産のBS上の評価(簿価)が時価に比べて著しく低い場合は、上記公式の非事業用資産の価値が高まりますので、株主価値が高まり、買いだということになります。村上ファンドの投資手法ですね。
ですので 会計上の利益はあくまでの業績のトレンドを参考にするためのもので、取っ掛かり過ぎないということです。
詳しいご回答どうもありがとうございます。
仰るとおり、本来投資家が受け取るものは将来キャッシュフローですね。会計上の利益とも違います。
気になっているのは、分子の利益ではなく、むしろ分母の側です。過去の投資や利益の蓄積を分母にしたROA、ROEが評価されるというのが、いまひとつわからないのです。
ROA、ROEが、より少ない元手(簿価ベース)で利益を出せるかどうか、という指標だというのはわかるのですが、投資家にとっての元手はあくまでも時価(株価×株数)ではないのでしょうか。