口伝だけで継げるデータなんてたかが知れてますし
文字で残せば、次の世代からの人はそこからスタートできます。文字で残したほうが伝わる範囲が、距離・内容的にも広いと思います。
神経接続して脳とコンピュータを直接つなげるようになるまでは、脳内のイメージを伝えあうには言葉・文字が効率的だと思います。イラストとか音楽でも雰囲気は伝わるかもしれないけれど、抽象的なことを話し合うの難しいですよね。
文字がなければ情報を蓄積することができないわけで。
知識を次の世代に継承することも、同時代の人に広く伝えることも、それどころか今日の自分のアイデアを明日のために書き留めておくことさえできない。
ヒトの強みは発達した脳だけど、それを生かす最大の武器が文字だと思う。
神話や伝承(ノアの方舟など)や一族代々の秘密(料理のレシピや武芸など)は、口伝の方がいいのではないでしょうか?
文字は定形のある情報を正確に伝えるには向いていると思えるが、音のほうが複雑な情報を短時間で伝えるには向いていることがある。複雑であるが故に正確に捉えようとすればかなりの熟練が必要になるだろう。しかし、近親や特定の集団では逆に意味を捉えやすくなることもあり、部外者に漏れにくい利点もあるだろう。
情報の伝達は、五感をフルに活用する事で、早く正確に、かつ秘密性も加えることもできる。(視覚で言えば、文字だけでなく、記号(暗号)、絵、動きなどの要素も)
いや、そりゃ文字、あったほうが便利ではありますけど、歌や絵でも伝承できている例もありますし。
口頭伝承、っていうのは、ものすごく変形しやすいものなので。
(しかも、文字がないと、元の形がどうだったか確かめる方法がなくなる)
「さるかに合戦」とか「桃太郎」とか、異説がいっぱいあるのはそのせいです。
http://sp-file.qee.jp/cgi-bin/wiki/wiki.cgi?page=%A5%C9%A5%B4%A5...
上の例にもあるとおり、数年前に外部からもたらされた歌が、「先祖伝来の歌だ」ということになってしまうのが、無文字文化の姿なわけで。
(同様に、ニューギニア島の住民が、
「病気が起こるのは、目に見えない精霊が皮膚から体に入り込んでくるせいだ」
と言って、“精霊”の絵を描いて見せた(細菌のスケッチにそっくりだった!)なんて話もあります)
だから、一見「口伝で伝えられている」ような気がする文化でも、実際に検証してみると、実はかなり変形しているんじゃないかな、と思います。
口承文芸なんかは、変形することで段々面白くなるんだろうからいいでしょうけど。
でも、それで文明を支えるのは無理じゃないでしょうか?
この2つがなかったら、コミュニケーションの成立は難しく、社会形成に時間がかかると思います。