【続:ウサギと亀】
亀との競争に負けてしまったウサギは、自分が嫌いになりました。亀に負けたことで、自分は亀以下だと思い知りましたが、今でも亀を見下す気持ちが変わらなかったからです。ウサギは、それから毎日のように競争を思い出しては亀を見下し、その下にいる自分を見下し続けています。
努力して勝てばいい事は分かっていましたが、それでもウサギは、ほんの少しの努力が、どうしてもできません。もう、草原に寝転んで昼寝をしても、おいしい若葉をかじっても、ちっとも楽しくありませんでした。
ちょっと変更してしまいましたが、書いてみました
【続き】
ある日のことです。ウサギは川のまんじゅう岩の上で寝転んでいました。
まんじゅう岩は、その名の通りまんじゅうのような形をしていて、その上で日向ぼっこをすると、ぽかぽかと気持ちがいいのです。
いつもならたくさんの友達が昼寝をしていますが、今日はウサギしかおらず、まんじゅう岩をひとり占めできていました。
ウサギはまだ考え続けています。亀にまけたことが、どうしても許せないのです。
とつぜん、声が聞こえました。
川をみると、亀がネズミを乗せて岸へむかって必死で泳いでいます。
ネズミは亀のうえでぐったりと倒れていました。おぼれてしまったのです。
亀はウサギに向かって叫びました。
「ウサギくんウサギくん!急いでふくろう先生を呼んでおくれよ!僕は岸まで泳ぐので精一杯だ!」
ウサギは飛び起き、すぐに走りだしました。
ふくろう先生は夜更かしで、昼は森の奥で眠っています。森の奥へは、どんなに急いでも、ひとつの雲がすっかり見えなくなるぐらいの時間がかかるのです。それに、ねぼすけのふくろう先生を起こすことも、ひと仕事でした。
中略
ネズミが目を覚ますと、ウサギと亀が手をとりあって飛び上がりました。
「よかったよかった!もうだめかと思って、献花を準備してしまったよ」
「ウサギくんのおかげだよ。ウサギくんがいなかったら、きっと間に合わなかった。君はなんて早いウサギなんだろう」
ふくろう先生も羽をバサバサ動かして喜びました。なにも覚えていなかったネズミは、まんじゅう岩の上で首をかしげています。
大きなお日様が、ぽかぽかと暖かいひざしをそそいでいました。
それからしばらく。
ウサギはもう悩んだりしていません。雨の日だって、わくわくして出かけています。
なぜなら雨の日には、水が必要な亀と遠くまで遊びにいけるからです。
今日雨が降ったら、一本松の丘までまつぼっくりを取りにいく約束をしていました。
「いってきまーす」
そういってウサギは走り出しました
【感想】
きれいに落ちつきました。
競争というゲームの中では、勝ち負けのみが優先順位となってしまうため、なんらか別の価値感をもたせることが、ウサギを幸せにする為のポイントかもしれませんね。参考になりました。ありがとうございます。
兎氏、亀氏共に親交のある動物(今回は野鼠にでもしますか)が川で溺れている、
兎氏、亀氏共に野鼠氏の異変に気づく、しかし・・・
兎氏:あまり泳ぎは得意ではない
亀氏:泳ぎは得意であるが川までは距離があり時間がかかってしまう
両氏は今までの事などは忘れ協力し、何とか野鼠氏を救出する・・・
(兎氏の心の中で何かが解けはじめた)