連休を利用して、大学時代の友人の所に遊びに行きました。親友と呼べる本当に大切な友だちです。最寄り駅までバスで30分という大変な過疎地に住む彼は、そんな町を愛し、今は自治体の職員として働いています。その彼が近々結婚することになったのです。これはもう、彼女の顔を見に行かなければおさまりがつきません。行ったついでに、地元に長く伝わる小正月行事、「さいのかみ」にも参加させてもらってきました。本当の小正月は15日なのだろうと思いますが、最近は成人の日がハッピーマンデー休日になってしまったので、それに合わせて日を移動させて開催しているとのことでした。
「さいのかみ」はようするにどんど焼きですが、私が参加させてもらった行事はお正月飾りを大量に集めて焼くといったものではなく、先端まで5m以上、おそらく7mはあろうかという立派な青竹の柱を立て、その周りに稲藁を円錐状に束ねた物でした。
今も住民のほとんどが稲作農家というこの地域では、稲藁が最高の縁起物なのだそうです。豊作のあかしの稲藁を焼くことで神様に感謝し、火祭りの結果で今年の作柄を占うというのが行事の趣旨の中心のようでした。ですから東京近郊のどんど焼きのように、ダルマが山のように持ち込まれるといった姿は全くありませんでした。
当日の天候は強い風と雪でしたが、会場は小高い山の中腹の神社の横で付近に民家は全くなく、さらに辺り一面膝まで埋まってしまいそうな雪景色ですから、火災の心配はほとんどありません。火を付けると、折からの強い風に煽られて、瞬く間に稲藁が燃えていきました。そして時々パーンと青竹がはじける音がします。
青竹を切って作ったコップに酒が注がれて振る舞われました。そして稲藁の火であぶったスルメが配られました。お酒は神社の神前に供えられた御神酒、スルメも神聖な火であぶられた縁起物だそうです。私は、そうか東京から来たのかと地元の皆さんに囲まれてしまい、次々と御神酒を注がれて、べろべろに酔っぱらってしまいました。
そのうち青竹の柱が燃えて倒れかかりました。その倒れた方向の人たちが、今年の豊作を約束されるのです。おーという歓声が湧き上がりました。
さぁミカンを撒くぞと声がかかり、一段高くなった神社のお社の前から、広場に向かって大量のミカンが撒かれました。これも神前に供えられた縁起物だということで、もうみんな拾う拾う。凄まじい勢いで拾っています。皆さん袋を用意していて、中にはちょっとしたダンボール一杯に相当するくらい拾い集めていたおばあちゃんもいらっしゃいました。お元気ですねぇと言ったら、分けてやると10個ほどもらってしまいました。縁起のいいミカンですから、家に持ち帰って、ここに来られなかった家族や近所の人たちにも分けてあげるのだそうです。欲張って我勝ちに拾っていたのではないんですね。
こうして、縁起物てんこ盛りの小正月行事を満喫して帰ってきました。友人は婚約者と一緒に参加し、みんなに冷やかされまくっていました。相手の女性はそれなりに賑やかな町の育ちだそうですが、もうすっかり地元に馴染んでいる様子でした。この集落で生きていくという決意が伝わってくるようで、こんなに愛し合える結婚は幸せだなぁと感じました。もしかすると、これから集落の未来を担っていくこの二人が、最高の縁起カップルかもしれません。
以上「柱」と「縁起物」の二つのテーマにまたがる「さいのかみ」行事のご紹介でした。
連休を利用して、大学時代の友人の所に遊びに行きました。親友と呼べる本当に大切な友だちです。最寄り駅までバスで30分という大変な過疎地に住む彼は、そんな町を愛し、今は自治体の職員として働いています。その彼が近々結婚することになったのです。これはもう、彼女の顔を見に行かなければおさまりがつきません。行ったついでに、地元に長く伝わる小正月行事、「さいのかみ」にも参加させてもらってきました。本当の小正月は15日なのだろうと思いますが、最近は成人の日がハッピーマンデー休日になってしまったので、それに合わせて日を移動させて開催しているとのことでした。
「さいのかみ」はようするにどんど焼きですが、私が参加させてもらった行事はお正月飾りを大量に集めて焼くといったものではなく、先端まで5m以上、おそらく7mはあろうかという立派な青竹の柱を立て、その周りに稲藁を円錐状に束ねた物でした。
今も住民のほとんどが稲作農家というこの地域では、稲藁が最高の縁起物なのだそうです。豊作のあかしの稲藁を焼くことで神様に感謝し、火祭りの結果で今年の作柄を占うというのが行事の趣旨の中心のようでした。ですから東京近郊のどんど焼きのように、ダルマが山のように持ち込まれるといった姿は全くありませんでした。
当日の天候は強い風と雪でしたが、会場は小高い山の中腹の神社の横で付近に民家は全くなく、さらに辺り一面膝まで埋まってしまいそうな雪景色ですから、火災の心配はほとんどありません。火を付けると、折からの強い風に煽られて、瞬く間に稲藁が燃えていきました。そして時々パーンと青竹がはじける音がします。
青竹を切って作ったコップに酒が注がれて振る舞われました。そして稲藁の火であぶったスルメが配られました。お酒は神社の神前に供えられた御神酒、スルメも神聖な火であぶられた縁起物だそうです。私は、そうか東京から来たのかと地元の皆さんに囲まれてしまい、次々と御神酒を注がれて、べろべろに酔っぱらってしまいました。
そのうち青竹の柱が燃えて倒れかかりました。その倒れた方向の人たちが、今年の豊作を約束されるのです。おーという歓声が湧き上がりました。
さぁミカンを撒くぞと声がかかり、一段高くなった神社のお社の前から、広場に向かって大量のミカンが撒かれました。これも神前に供えられた縁起物だということで、もうみんな拾う拾う。凄まじい勢いで拾っています。皆さん袋を用意していて、中にはちょっとしたダンボール一杯に相当するくらい拾い集めていたおばあちゃんもいらっしゃいました。お元気ですねぇと言ったら、分けてやると10個ほどもらってしまいました。縁起のいいミカンですから、家に持ち帰って、ここに来られなかった家族や近所の人たちにも分けてあげるのだそうです。欲張って我勝ちに拾っていたのではないんですね。
こうして、縁起物てんこ盛りの小正月行事を満喫して帰ってきました。友人は婚約者と一緒に参加し、みんなに冷やかされまくっていました。相手の女性はそれなりに賑やかな町の育ちだそうですが、もうすっかり地元に馴染んでいる様子でした。この集落で生きていくという決意が伝わってくるようで、こんなに愛し合える結婚は幸せだなぁと感じました。もしかすると、これから集落の未来を担っていくこの二人が、最高の縁起カップルかもしれません。
以上「柱」と「縁起物」の二つのテーマにまたがる「さいのかみ」行事のご紹介でした。