この1年間ずっとポジションを維持していたので、利益も損失もゼロなのですが、その場合に経費(書籍やセミナー代)を計上して、
雑所得がマイナスという扱いで、所得税で源泉徴収された分から取り戻すことはできるのでしょうか?
具体的には給与での収入が2000万円を超えていて、かなり所得税を取られております。
セミナーや書籍、教材には年間約300万円使っています。これを全部FXのための勉強代として計上して、FXでこの1年間で300万円の損金を出した(経費を300万円使ったが利益ゼロ、すなわち300万円の損失)ということで、所得税で取られた分が戻ってくるのでしょうか?
なんとなくワクワクしているのですが、むしのよすぎる話でダメかな?とも思いつつ・・。とりあえず相談してみることとしました。
残念ですが、、(これで全ての答えは分かりますよね?)
投資等の利益、損失は不労所得であり、給与所得と合算はできません。
投資関係の所得内で、書籍などの経費を控除する事は不可能ではないと思いますが、
(それでもかなり難しいかと、そもそも事業としての投資ではないので経費として認められるのは専用の通信費程度だと思いました)
http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/shoto312.htm
基本的には先物などと損益を通算する事はできますが、他の所得と通算する事はできません。
また、事業として投資するには会社を設立し、主たる業務が別にあり、従たる業務として定款に盛り込むか、
または投資業(証券業とか)の許可を取らなければなりません。
FX口座が法人口座でかっ、法人としてFX業務を行っている場合は、
Fxのセミナーや書籍、教材については経費として認められます。
もう少し具体的に言うと、収支に関係無くFX業務としてマイナス申請は出来ます。
出来ますが、何の収入についてマイナス申請になるかが問題です。
この場合給与がFXの業務で得た物なのかが問題になります。
まったく違う場合はマイナスには成りません。
それは会社員がFXをやっていて損したからと言って会社の給料の収入を減らせないのと同じです。
つまりFX取引でプラス収支が出ていれば、それは当然経費としてセミナーや書籍、教材は経費として引けます。
また法人としてFX業務として収支が有る場合も法人としても経費申請が当然できます。
つまりどの収入に対する経費かによって所得税を軽減できたり出来なかったりします。
次の3点がポイントとなります。
1. FXと表現されている取引の種類
2. その取引の所得の分類
3. 書籍やセミナー代の必要経費性
まず、一般にFXと云われている取引には、店頭取引と取引所取引の二つがあります(http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1521.htm)。取引所取引とは金融取引所の「くりっく365」(http://www.click365.jp/)のことで、それ以外の取引は店頭取引となります。どちらかといえば、店頭取引の方が一般的と思いますので、ここでは店頭取引であると仮定します。
すると、店頭取引であるFXの所得の種類は、通常の雑所得となり取引所取引のような特別なルールはありません。他に雑所得となるもの、例えば、講演料とか原稿料などがあれば、それらと一緒に雑所得の額をいったん計算します。この際、必要経費は雑所得の収入から差し引くことができ必要経費の方が大きければ、マイナスの雑所得となります。
しかし、雑所得については、マイナス(損失)が生じても他の所得、給与所得などと通算することは、税法上、認められていません。以前は可能でしたが、故意に雑所得に損失を計上し節税する取引を抑制するために所得税法が改正されたことによります。
したがって、結論は、書籍やセミナー代を必要経費としても、給与所得に係る所得税額は影響を受けませんから、所得税の源泉徴収で取られた分が戻ってくることはありません。なお、老婆心ながら、給与が2000万円を超えているということなので、源泉徴収だけではだめで確定申告の義務があります。
http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1900.htm
最後に、今年度以降の参考として、そもそも書籍やセミナー代は必要経費になるのか?という上の3つ目のポイントですが、形式的に割り切れる答えはありません。その書籍やセミナーがFX取引を行うために必要であったことを立証することが求められます。昨年の状況に即して云えば、ポジションが動いていないようですから、なかなか厳しいと思います。
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