疫学の勉強をすることになりましたが、「後向きコホート研究」(前向きではなく)と「症例対照研究」の違いがいまいち分かりません。

曝露から症例の発生を見るか、症例の有無から過去の曝露を見るか、という基本的な差異は本に書いてありました。
しかし、こういうのはどうでしょう:
2007年における農薬の使用と2009年時点での植物の枯死の関係を2009年に調べるとします。
農薬使用の有無、枯死の有無についてのデータはすでに手元にあるとします(対象全体はある植物集団)。
この場合、農薬使用の有無に着目すれば後向きコホートになり、枯死の有無からさかのぼれば症例対照研究になりそうな気がします。
ここからが質問ですが、同じデータをコホートと症例対照の両方で使えるものなのか、それとも自分の推論にどこかで間違いがあるのか、知りたく思います。

疫学・統計に明るい方、ご教示願えませんでしょうか。

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  • 1人5回まで
  • 登録:2009/05/06 03:11:58
  • 終了:2009/05/12 00:37:34

ベストアンサー

id:nobnob3 No.1

考え中回答回数324ベストアンサー獲得回数292009/05/06 04:13:53

ポイント100pt

非常に良い質問ですね。考え方は、paraflagaさんのおっしゃる通りです。

一般的には、コホート研究の方が症例対照研究よりも質の高い研究とされます。

では、実際に研究をしようと思ったとき、どちらが簡単でしょうか?

コホート研究をするためには、paraflagaさんの例の場合には2007年よりも前に、研究のデザインを組んで、

(少なくともどのデータをちゃんと集め続けるかというレベルの研究デザインは決まっている必要があります。)

危険因子やアウトカムの情報を2年以上に渡って蓄積していかなければ出来ません。

ところが、症例対照研究であれば、2009年に研究デザインを考えても実行可能です。

ただし、データは過去にさかのぼって探すので、データが無いかもしれませんし、あってもデータの信憑性は低くなります。

paraflagaさんの例の場合、どのように捉えるかで、コホート研究にも症例対照研究にもなり得ますが、

どちらも実施可能な質のデータがあるならば、後ろ向きコホート研究とする方が良くなります。

また、細かい点ですが、非常に重要な点は、一般的な症例対照研究では、Risk Ratioは計算できません。

どうしてかと言うと、症例対照研究は症例と対照を自由に選べ、その症例(あるいは対照)が

どの大きさの母集団から選ばれたかということは問題にしないからです。

そのため、症例対照研究ではRisk RatioではなくOdds比を結果の指標として使います。

一方、コホート研究は事象の発症前の母集団をフォローするので、事象の発症率を計算することが出来ます。

また、コホート研究のデータを使った症例対照研究にはnested case control studyというものもあります。

id:paraflaga

うまくまとめていただき、ありがとうございます。分かりやすかったです。

過去のデータ(曝露、アウトカム、その他基本属性)がパーフェクトに揃っている理想的なデータがあれば、(1)後向きコホートでも症例対照でも実施可能、(2)しかし後向きコホートを用いるほうがより良い、と理解しました。(違っていたらご指摘ください。)

2009/05/06 04:36:16

その他の回答(1件)

id:nobnob3 No.1

考え中回答回数324ベストアンサー獲得回数292009/05/06 04:13:53ここでベストアンサー

ポイント100pt

非常に良い質問ですね。考え方は、paraflagaさんのおっしゃる通りです。

一般的には、コホート研究の方が症例対照研究よりも質の高い研究とされます。

では、実際に研究をしようと思ったとき、どちらが簡単でしょうか?

コホート研究をするためには、paraflagaさんの例の場合には2007年よりも前に、研究のデザインを組んで、

(少なくともどのデータをちゃんと集め続けるかというレベルの研究デザインは決まっている必要があります。)

危険因子やアウトカムの情報を2年以上に渡って蓄積していかなければ出来ません。

ところが、症例対照研究であれば、2009年に研究デザインを考えても実行可能です。

ただし、データは過去にさかのぼって探すので、データが無いかもしれませんし、あってもデータの信憑性は低くなります。

paraflagaさんの例の場合、どのように捉えるかで、コホート研究にも症例対照研究にもなり得ますが、

どちらも実施可能な質のデータがあるならば、後ろ向きコホート研究とする方が良くなります。

また、細かい点ですが、非常に重要な点は、一般的な症例対照研究では、Risk Ratioは計算できません。

どうしてかと言うと、症例対照研究は症例と対照を自由に選べ、その症例(あるいは対照)が

どの大きさの母集団から選ばれたかということは問題にしないからです。

そのため、症例対照研究ではRisk RatioではなくOdds比を結果の指標として使います。

一方、コホート研究は事象の発症前の母集団をフォローするので、事象の発症率を計算することが出来ます。

また、コホート研究のデータを使った症例対照研究にはnested case control studyというものもあります。

id:paraflaga

うまくまとめていただき、ありがとうございます。分かりやすかったです。

過去のデータ(曝露、アウトカム、その他基本属性)がパーフェクトに揃っている理想的なデータがあれば、(1)後向きコホートでも症例対照でも実施可能、(2)しかし後向きコホートを用いるほうがより良い、と理解しました。(違っていたらご指摘ください。)

2009/05/06 04:36:16
id:paro65 No.2

ゲフンゲフン回答回数129ベストアンサー獲得回数32009/05/07 17:27:37

ポイント40pt

症例対照研究と後ろ向きコホート研究の違いが本に載っていました。

             症例対照研究                      後ろ向きコホート研究

対象の規模          小                            大

調査期間           短                            短縮できる

費用・労力          小                            中間

希少疾患の研究        適                            特殊な集団で可能(特別な暴露を受けた職業集団)

人口移動の大きい集団     可能                           できることもある 

暴露情報の信頼性       低い(記憶にたよるため)                  低いこともある(既存の記録に依存)

疾病発生情報の信頼性     高い                           情報収集の方法によっては低い

暴露と発生の時間関係     明確でないことあり                    明確

罹患率・死亡率の測定     できない(母集団の罹患率)                 できる                         

対象の偏り          ときにあり(致命率の高い疾患)               ときにあり

他疾患の評価         できない                         できる

他要因の評価         できる                          できない


両者の違いはこのようです。

過去のデータが完璧にそろっているからと言って一概に症例対照研究よりコホート研究がいいとは言えないのではないでしょうか?

求める項目で考えるべきだと私は思います。

信頼性に関してもっと突っ込んだ記述はありませんでした。(まだ全部読んでないのでよく読んだらあるかも。。)


出典

公衆衛生マニュアル2009 南山堂  編集 柳川 洋、中村好一 

id:paraflaga

ありがとうございます。

いくつかの論文を見ると、症例対照研究よりもコホート研究が上位という雰囲気は強いようですが、それぞれに適不適があるので確かに優劣はないのかなと思います。paro65さんのおっしゃるように、研究内容に応じてデザインを選ぶべきですね。

お答えのとおり、稀な疾患を相手にする場合は症例対照研究が優位ですが、(1)過去の曝露情報があまりバイアスなく把握できており、(2)すでに過去のデータが確定している(追加調査ができない)ときには、わざわざ症例対照研究を使う意味はないように思います。今回の質問ではすでにデータが確定してしまっていますので、やはり後向きコホートとするのが妥当ではないでしょうか。

---

(追記)

お二人の方、ご回答ありがとうございました。たいへん参考になりました。

2009/05/12 00:35:54
  • id:nobnob3
    質問してから、ネットで調べてみました。

    個人的な理解としては、何らかのコホート研究や、治療プロトコルなどがあり、前向きにデータが蓄積されている場合、
    そのデータを後ろ向きに利用してコホート研究を行うのが後ろ向きコホート研究だと思っていました。

    しかし、調べてみると多くのサイトでの解説は下記リンクのようです。
    http://www.kyhtm.net/suple/00067.html
    他には、
    http://www.chikennavi.net/word/retrospective-cohort-study.htm

    つまり、核実験で被爆したグループを前向きにコホートで追いかけて行き、3年後の白血病の発症率を、被爆しなかった一般人口と比べるというものとされています。

    英語で調べてみると、日本語で見つかる解説とは随分違います。
    http://en.wikipedia.org/wiki/Retrospective_cohort_study
    この例はとても分かりやすいですね。簡単に意訳もつけておきます。
    http://ocw.tufts.edu/Content/1/lecturenotes/194039/194061
    リサーチクエスチョン: 携帯電話を使う事で頭頚部の癌の発症率が増えるか?
    調査方法:
    携帯電話を5年以上使っている人を5000人集める。
    年齢と性別を合わせて、携帯電話を5年間使っていない人を5000人集める。

    この二つの群に対して、許可をもらい、過去5年の間に頭頚部の癌の診断がなされたかどうかを調べる。
    結果;携帯電話使用群では4人、未使用群では2人頭頚部の5年以内の新規発症があった。

    この例は、日本語の解説しているホームページとは随分違いますね。

    もしかしたら、定義の混乱などがあるのかもしれませんね。
    私も他の方の意見を聞いてみたいです。
  • id:paraflaga
    わざわざコメントでのご配慮、ありがとうございます。

    自分の理解では、曝露と非曝露に分かれた二群を未来方向へ追跡するのがコホート調査、というシンプルなものです。

    > 何らかのコホート研究や、治療プロトコルなどがあり、前向きにデータが蓄積されている場合、
    > そのデータを後ろ向きに利用してコホート研究を行う

    > 核実験で被爆したグループを前向きにコホートで追いかけて行き、3年後の白血病の発症率を、被爆しなかった一般人口と比べる

    そのため、このふたつともコホート調査ということで問題ないように感じてしまいます。
    追跡開始が過去であることが後向きコホート研究の必要条件で(十分条件かは微妙)、対照群(非曝露)がどこから設定されるかはあまり重要ではない気がします。(怪しいですが...)

    欧米での定番らしい"Epidemiology"(L Gordis)を借りて読んでも、そこまでややこしい話は書いていないようです。

    nobnob3さんがおっしゃる通り、ふたつの研究の線引きには未解決の議論がありそうな気配です。
    今のところのまとめとして、(1)過去の曝露情報がしっかり把握されてるのであれば後向きコホートを採用し、
    (2)過去の曝露情報の把握はバイアスがかかってそうだが、症例の把握がしっかりしているのなら症例対照研究とし、
    (3)どちらの情報もうやむやならば研究自体が厳しい、ということで整理してみたところです。(かなりざっくり切ってますが。)


    少しアタマの整理が進んだ気がします。引き続き回答をお待ちしたいと思います。

  • id:nobnob3
    >過去のデータが完璧にそろっているからと言って一概に症例対照研究よりコホート研究がいいとは言えないのではないでしょうか?
    調べ直してみましたが一般的なエビデンスレベルではコホート研究も症例対照研究も分析疫学的研究に分類されレベルは一緒でしたね。
    http://www.kango-net.jp/nursing/03/index2.html
    しかし、下記URLを見るとやはりコホート研究の方がエビデンスレベルは高そうです。
    http://www.ebmguideline.jp/recom_evi.htm

    もちろん、個々の研究そのものの質(デザインなど)によっては、コホート研究よりも信頼性の高い結果を出す症例対照研究もあるでしょうし、RCTよりも質の良いコホート研究もあるでしょう。

    ここで一般的に言われているエビデンスレベルが決まって来るのは、次のような理由からです。
    >暴露情報の信頼性 低い(記憶にたよるため) 低いこともある(既存の記録に依存)
    この表でも指摘されている通り、症例対照研究はどうしても記憶に頼らないといけない(後ろ向きに調査する必要がある)ため、研究結果の信頼性が前向きの研究と比較して落ちます。
    また、この表にもある通り、症例対照研究では喫煙と肺癌など二つの因子の関連性は調べることが出来ますが、因果関係は証明できません。つまり、この例の場合、症例対照研究で喫煙と肺癌の高い関連性が証明されたとしても、喫煙したから肺癌になる率が高くなったということと、肺癌になったから喫煙する率が高くなったという仮説のどちらが正しいかということまでは言えません。


    最後に、とてもまれな疾患、例えば5000人に1人発生すると予想されている疾患の危険因子を5000人のコホートで確かめることは、馬鹿げていて研究デザインとしてコホート研究が行えないことは自明でしょう。
    このような疾患の場合は、どうしても症例対照研究にせざる得ないということになります。

    もちろん、国家的なプロジェクトで、500万人、5000万人のコホート研究が可能なら症例対照研究より質の良いデータが集まる可能性はあります。

    何か間違いがあれば指摘してください。私も学びながら回答させて頂きたいと思っています。
  • id:paraflaga
    nobnob3さん、ありがとうございます。お返事が遅れました。
    追加のコメントはその通りの内容で、手元にある教科書などとも合致しておりますし、自分には間違いがあるようには思えません。コホート調査が「現在」をまたいでおこなわれるとき何と呼ぶべきか、というのは教科書にも載っておりませんし、バイアスへの考慮さえきちんとしていれば、呼び方は特段の問題ではないのかもしれません。

    疫学はどうも方法論のようですので、ピシッとしたところが決まらないままの部分もあるのかなと思いました。

    とりあえず、質問を締めさせていただこうと思います。nobnob3さんにつきましては、コメントでいただいた回答分も加味してポイントを支払わせていただきます。いろいろとありがとうございました。

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