生産高=発行部数と考えてよければ、発行部数が多いほど出版社にはいろいろメリットがあります。
こちらが参考になると思います。
実は、出版あるいは印刷の世界には、印刷部数を増やしても経費はあまり増えないという性質があります。経済用語としては、固定経費部分が多く、変動経費部分が少ないといえます。つまり、上記の例で言うと、①の組版経費、②の出力経費は、10冊出版しようと、10万冊出版しようと、経費はまったく同じなのです。これは完全に固定経費部分です。③の印刷費は、部数が増えれば多少は高くなりますが、ほんのわずかです。1000枚の印刷が2000枚になっても、2割くらい高くなるだけです。2割高くなるとすれば、印刷費は1.2倍になるということですから、1枚あたりの経費は0.6倍に下がります。半値近いです。これは、印刷という作業の工程を考えると当然なのです。印刷自体は、機械がほぼ自動的にスピーディに印刷します。印刷のための「版」を交換するのは、人間の仕事です。また、印刷がむらなくきれいに仕上がるように調整するのも人間の仕事です。いったん印刷が始まると早いのです。しかし、「版」替えに経費がかかるのです。④の用紙代は、ほぼ出版部数に連動します。ただ、やはり部数が増えればヤレとして必要な紙の割合が下がりますし、運賃の割合も下がりますから、部数が増えればわずかですが単価が下がります。⑤の製本も、機械処理する部分が多いので、やはり部数が増えれば単価は下がります。⑥の編集経費も、完全に固定経費ですね。10冊出版しようと、10万冊出版しようと、編集に必要な時間つまり人件費に違いは生じません。編集経費は、10冊出版にくらべて10万冊出版は1万分の1ですね。
新聞だといわゆる「押し紙」のような事情もありますね。
生産高を「売上高」に変えると、どこの会社でもある話しになります。
重要なのは「利益率×売上高」ですが、利益率を無視して売上高だけが話されることがあります。
中には赤字でとってきて売り上げが上がるほど損をする(某TLいわく「製品に1万円札つけて出荷してるようなもんだ」)場合でも売上高は製品を出荷するほど増えるわけです。
お金が流れているとそれだけで色々工面できる点もありますが・・・。
通常、売上高というものがあり、そこから「固定費」と「変動費」を引きます。
固定費は人件費など、仕事をしなくても必要な費用で、変動費は売り上げに比例して増えるコストです。
売上高が増えれば、固定費は一定の額なのでどんどん「薄め」られていきますが、売上高が少ない場合は、固定費がもろに利いてきます。
その為売上高が少ない場合は「固定費の削減」(⇒リストラ)が行われるわけですね。
あくまで一般論ですが、出版社は取次店に書籍を卸した(委託した)時点で売上を計上します。実際には返本があるので、これをどう仕訳するかは出版社によって異なります。
普通の製造業であれば、返品があれば即在庫に跳ね返ってくるので生産調整するのですが、書籍の返本の場合、出荷からかなりインターバルが空いてしまうので、こういう考え方が働かないようです。その結果、取り次いだ時点の「みなし利益」は分かるのですが、最終的な原価計算が出来ません。また、初版がかなりダブついたとしても、再版しないという判断だけで、その後の出版計画には影響しないことが多いようです。
というわけで、より多くの書籍を出版すればするほど「みなし利益」が増えるので、自転車操業的に出版点数が増えているというのが現状のようです。
「返品改善へ責任販売制広がる」(朝日新聞)によると、返本率は4割にも及ぶとのこと。ちょっと普通の製造業からは考えられない業態です。
社会人20数年のサラリーマンです。マーケティング職です。
あくまで個人的な知識からの見解ですが、上層部の問題というより、出版業界の構造に問題があるのではないでしょうか。
「何冊売れたか」ではなく何冊発行したかの「発行部数」が話題になります。
書店は返本がきくから新しい本をどんどん仕入れ、少し古くなるとすぐに返本すればいい。
入れ替わりの激しい店舗に少しでも自社の本を置いてもらうためにも
出版社側は常に新しい本を発行していないと棚の確保ができない。
そういう構造の中では、いいものをじっくり時間をかけて、という理想は負けてしまいます。
企業の生き残りを考えると、規制だらけの業界の中で単独プレーはむずかしいからです。
私も社会人になったときに理想と現実のハザマで葛藤し、悔し涙をたくさん流しました。
でも流れにそむくと生きていけません。
どうしようもないことは受け入れて、短時間でいい仕事ができるようになることに目を向けるしかないと思います。
でも、希望がなくなったわけではありません。
ついこの前、とくダネのオープニングトークで小倉さんが取り上げていましたが
書店と出版社でリスクを按分する「責任販売」が増えてきたそうです。
http://book.asahi.com/news/TKY200906210201.html
これが業界標準になれば、「いい本」「本当に売れる本」が重視されるようになり
出版社の方針もかわってくるのではないでしょうか。
ものづくりはすばらしい仕事です。目先にとらわれるがんばってください。
売り上げ至上主義ですね。
利益なんてどうでもよいという考え方です。
銀行とかも利益とかよりも売り上げをベースにお金を貸してくれますので
どうしてもそうなると思います。
枠を取らないといけないのではないでしょうか。
流通量が一定量以下になると、料率がわるくなったり取引を打ち切られたり。流通は印刷、原反の仕入れとかありますよね。
あと、意匠の外注さんの確保とか。
「上層部は生産額を増やすと得。末端社員はそのためいいように利用されている」
上層部と末端社員で同じ会社にいるという意識がない(社員が給料は自然に支給されるもので会社の経営状況(B/S PL)は関係ないと思っている)とするとまさにそのような状況になるかと思います。
「生産額が多いと誰が得するんでしょうか。逆に少ないと、誰にとってどうまずいんでしょうか」
生産額が多いと、取り次ぎに本をそれなりに卸すことが可能ですから、その時点で「売り上げ」がたちますね。実際返本の嵐となると「-」の売り上げが立ってしましますが。常に返本数<生産額(というより取り次ぎに卸した数)となるとその会社は「黒字」ということになります。もし、出版部門が生産計画が狂って書籍の刊行が少なくなるとその月には「返本数>生産額」となり「赤字」となります。
出版社のほとんどは「株式会社」で経営していると思いますので、生産額-費用=黒字であることが求められているもので、経営者がその黒字が持続しない場合には黒字が持続する経営構造に変革をしないと株主はその会社の投資を回収しようと考えるはずです。株主=経営者という事例も多い出版業界ではどうしてもその「黒字」のための上記の不毛な拡大生産に向かうというのが出版業界のこの10年の方向ではないでしょうか。実際私のいた出版社でもそういう実態がありました。
出版社の場合実売益で評価するというのはもっともではありますが、自分の給料の10倍は利益を出さないと出版社は維持できないとは思いますので、それだけの実績をもっていればその経営者もとやかく言うわけはないかと思います。経営者は社員を会社維持のために利用することは株式会社としては当然のことですので、末端社員がその会社の株式を購入して経営に参画するなり、末端社員がどのように会社をうまく利用するか、経営者以上にしたたかに生きることが出版業界に求められているのかと思います。
このような事態がその現状をものがたっているのかと思います。
http://74.125.153.132/search?q=cache:Fz7B3Hq1Yp8J:tsushima.2ch.n...
外部から評価をされるとき、特に借り入れをするときなどに、生産高(実稼動)などが重要に成るようなときがあります。
同じ利益を出している企業
①社員5人、売上げ2億、製造販売原価1億、利益1億
②社員50人、売上げ20億、製造販売原価19億、利益1億
上記の場合、②の方が安定している企業として評価されやすいので、借り入れも楽になります。
②の企業が、実売益を重視して不採算部門や低利益率のものを減らして行けば①に近づくと思いますが、経営者としては②の方を重視する向きは結構多いです。
ありがとうございます。売上至上主義について、なぜそうするのか、できればもうすこし詳しくお話うかがいたいです。