高校生物と高校化学を復習中のものです。

エントロピー増大の法則についておさらいしました。
熱力学第二法則とも呼ばれ、第一法則と並び私も真理は実感します。
エネルギー状態が高いほうから低い方へと必然的に移行する、
濃度の濃いほうから低い方へ拡散する(乱雑さが増大する)、など等。
ところが生物を復習していると、例えば、カルシウムポンプと呼ばれる機能が細胞膜にはあるそうで、ナトリウムイオン、カルシウムイオンなどのイオン調節しているそうですが、これらは正にエントロピー増大の法則に反していると感じざるをえません。
熱力学第二法則は無条件にどこでも成り立つものなのか?あるいは成り立つにあたり前提条件は何なのか?
どなたか詳しい方判り易く説明していただけませんか?

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  • 終了:2009/07/20 14:37:29
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ベストアンサー

id:filinion No.2

回答回数141ベストアンサー獲得回数13

ポイント37pt

「生物は熱力学第二法則に反している」というのは非常によくある誤解です。

 

 熱力学第二法則は、閉鎖系(エネルギーなどの出入りがない場合)に成立します。

 

 一方、生物は食事をするなどしてエネルギーを取り入れている(閉鎖系ではない)ため、生物だけ見るとエントロピーが増大していないように見えるのです。

 食事をしなければ生物は死ぬし、死ねばカルシウムポンプも働きませんよね?

 

 簡単に言えば、エアコンが室温を下げるのが、一見すると熱力学第二法則に反しているように見えるのと同じです。

 実際にはエアコンは外部から電力を供給されているから動けるわけで、その点まで考慮して計算すれば、必ずエントロピーは増大しています。

 

 大きな目で見ると、地球上の生物……というか生態系全体は、太陽からのエネルギーを得て存続しているわけですが、太陽は常時大量の水素・ヘリウムを消費し、ものすごい勢いでエントロピーを増大させていますので、太陽系全体として見ると、エントロピーは間違いなく増大しています。

(厳密に言えば太陽系も閉鎖系ではないわけですが)

 

 というわけで、熱力学第二法則は(閉鎖系なら)無条件にどこでも成り立つ、ということになるかと思います。

id:takao78ks

という事は、閉鎖系かつ長時間の時間軸で見れば、と言うことですね?

2009/07/19 23:02:03

その他の回答4件)

id:fuk00346jp No.1

回答回数1141ベストアンサー獲得回数54

ポイント2pt
  • 放置をしていればという条件がすっぽ抜けているんでしょうな。

 

カルシウムポンプ/ナトリウムポンプ・ついでにヒートポンプ(エアコンの事)

全てエネルギーを使って少ない所から持って来ています。

id:filinion No.2

回答回数141ベストアンサー獲得回数13ここでベストアンサー

ポイント37pt

「生物は熱力学第二法則に反している」というのは非常によくある誤解です。

 

 熱力学第二法則は、閉鎖系(エネルギーなどの出入りがない場合)に成立します。

 

 一方、生物は食事をするなどしてエネルギーを取り入れている(閉鎖系ではない)ため、生物だけ見るとエントロピーが増大していないように見えるのです。

 食事をしなければ生物は死ぬし、死ねばカルシウムポンプも働きませんよね?

 

 簡単に言えば、エアコンが室温を下げるのが、一見すると熱力学第二法則に反しているように見えるのと同じです。

 実際にはエアコンは外部から電力を供給されているから動けるわけで、その点まで考慮して計算すれば、必ずエントロピーは増大しています。

 

 大きな目で見ると、地球上の生物……というか生態系全体は、太陽からのエネルギーを得て存続しているわけですが、太陽は常時大量の水素・ヘリウムを消費し、ものすごい勢いでエントロピーを増大させていますので、太陽系全体として見ると、エントロピーは間違いなく増大しています。

(厳密に言えば太陽系も閉鎖系ではないわけですが)

 

 というわけで、熱力学第二法則は(閉鎖系なら)無条件にどこでも成り立つ、ということになるかと思います。

id:takao78ks

という事は、閉鎖系かつ長時間の時間軸で見れば、と言うことですね?

2009/07/19 23:02:03
id:pahoo No.3

回答回数5960ベストアンサー獲得回数633

ポイント21pt

熱力学第二法則は無条件にどこでも成り立つものです――というより、そう考えないと、物理学の法則の大部分が成立しなくなります。


で、カルシウムポンプの話ですが、これを駆動させるためにはエネルギー(ATP)が必要です。⇒(参考)カルシウムポンプ蛋白質の構造とイオン輸送のメカニズム

細胞が死ぬと、これらイオン輸送メカニズムも停止し、熱力学の法則にしたがってエントロピーは増大します。

id:suppadv No.4

回答回数3552ベストアンサー獲得回数268

ポイント15pt

>カルシウムポンプと呼ばれる機能が細胞膜にはあるそうで、ナトリウムイオン、カルシウムイオンなどのイオン調節しているそうですが、


カルシウムポンプ等の逆方向に働くものは、エネルギーを消費して逆方向の輸送を行います。

カルシウムポンプは、ATPのエネルギーを使います。

エネルギーが無ければ、逆方向への輸送は出来ず、イオン調節も出来ません。

エネルギーで考えると、カルシウムの濃度差によるエネルギーだけだと、濃度の薄い方へ動きますが、カルシウムの薄いほうのエネルギーとATPのエネルギーを足すと、濃度の高い方よりエネルギーが高くなるので、濃度の高い方へ移動するのが、エントロピー増大の法則に則った方向の動きとなります。

http://www.spring8.or.jp/pdf/ja/SP8_news/no9_03/p2-4.pdf

id:Hyperion64 No.5

回答回数791ベストアンサー獲得回数84

ポイント25pt

シュレディンガーの名言に「生物は負のエントロピーを食らう」ことで生きているというのがあります。低いエントロピーのものを摂取して、高いエントロピーのものを排泄する、その差分であると解釈されてます。

こんな芸当も生物が開放系だからできるのでしょうが、ご指摘のような細胞膜での反拡散的な現象は確かに第二法則に局所的に反しているように見えます。

どこかで帳尻をとっているとしか言えないかもしれません。

化学者は自由エネルギーをもちこんで説明するかもしれないです。エントロピーの増大分を打ち消す分だけ使えるエネルギーが細胞(膜)にあるということでしょう。

http://www.twmu.ac.jp/Basic/physics/entropy.pdf

自分はここで「MaxwellのDeamon」を想起します。気体分子運動論で出てくる仮説上の生き物ですが、

エネルギーを費やすことなく、エントロピーを減少させるという背理がMaxwellにより指摘されました。結局、20世紀の物理学者(ジラードやブリルアンなど)は分子運動の観測行為はDeamon自体のエントロピーを増やすということを示しました。

細胞を一つの生物とみなせば、イオン調節以外で高エントロピーを排泄しているかもしれません。

これをみても細胞がどこかでエントロピーの帳尻合わせをして、第二法則に無矛盾にしているようです。

  • id:Mathusala
    サディア・ラボン 2009/07/18 22:14:46
    エントロピーが極限にまで増大した状態は、
    全世界が全部同じですが、
    その中では生物は生きられません。
    生物は、人工的に、秩序を作って生きています。
  • id:shinok30
    熱力学第二法則(エントロピー増大の原理)は、
    「エネルギーも物質も出入りしない孤立系ではエントロピーが減少することはない(増大することが多い)」というものです
     
    つまり,
    「エントロピーが減少するためには,外部からエネルギーが与えられなければならない(開いた系でなければならない)」ということですね
     
    生物個体はエネルギーも物質も出入りする「開放系」ですから,
    エントロピーが減少することがあっても不思議ではありませんよ
     
    また,熱力学第二法則自体が,
    データによる検証はされています
    (「現実にこうなっている」ことが示されています)が,
    ミクロな物理法則から導きだされたものではありませんよ
     
    >現時点で「熱力学第二法則」は、データによる検証という意味では正しいが、
    >証明(物理の証明とは、ある法則を別の独立した物理法則から導くこと。
    >ここではミクロな物理法則から、マクロな法則である熱力学第二法則を導く
    >こと。)は未完成であり、統計物理学の懸案事項の一つとなっている。
    http://ja.wikipedia.org/wiki/熱力学第二法則
  • id:kyokusen
    書きあがったら終わってたので悔しくてこちらへ。長文ご容赦。

    http://www.hoshuha.com/Japanese/articles/entropy.shtml
     エントロピー増大則はそれが外部とエネルギーのやり取りをしない『閉鎖系』である場合適応されます。もちろんそれは開放系でも適応可能ですが、様々な外的要因を受けます。
    http://wapedia.mobi/ja/%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%88%E3%83%B3%E3%83%9D%E3%83%B3%E3%83%97
    http://vitamin.ynbms.info/2006/12/post_50.html
     イオンポンプというのは、ATPを利用して、そのエネルギーで細胞内外のイオン勾配を作り上げますので、これはエントロピー増大則の縛りを受けません。エネルギーを消費してますから。(ここで言うエネルギーとは外界から取り入れた糖分や日光を指します)
     一方、イオンチャネルは受動輸送なので、エネルギーを消費せず膜内外のイオン輸送を行いますが、ここにも電位差が絡んで来るので、厳密に言えばエネルギーを消費している、という事になりますね。

     
     所で、これは少し概念的なお話になり恐縮なのですが、Mathusalaさんが仰っている事をちょっと受けて、ミネラルの旅というのを。
     ここで言うミネラルとは、サプリメントに入ってるような、ああいうのを指すつもりなのですが、地球の地殻内、マグマの中に含まれたミネラルは火山の噴火によって地表に石として出て来たりします。これが地表環境の影響で、石になり、砂になり、水に溶けるものは雨で流され川にそそぎ、最終的には海に流れて行ってしまいます。これはある意味熱力学法則の『拡散』に沿ってますよね。いや、火山活動や地表環境(気象)が太陽(光エネルギー)や月(潮力)という外部からのエネルギー源によっているというのはここで置いといて。
     んで、海に流れたミネラルは果てしない大海原にただひたすら拡散していきます。な訳で、そのままだと陸地にはミネラル分が枯渇してしまうんですが……これを生物が輸送したりします。
     海に溶け込んだミネラルをまず藍藻といった植物プランクトンが取り込み、これを動物プランクトンが捕食して。それをまた魚が捕食したり。その魚の中には時々川を溯る奴がおったりする訳です。例えば鮭。鮭は産卵の為えっさほいさと川を溯り、上流域で産卵し、死に絶えます。で、上流域にミネラルが戻ってくる。人間がやるともっと手っ取り早くて、海水を砂浜に撒いて塩を作って山ん中まで輸送したりもしてしまいます。
     ツラツラ書きましたが、んな訳で、生物という存在は『エントロピーを減少させる唯一の存在』と評する方もおられますよね。
     ただ、生物ってのは海で発生以来、あらゆる環境(陸や空、熱帯の炎天下から氷の世界の極地、低地から高地まで)へ適応分散して行ったので、その存在自体はエントロピー増大則にしたがっているのだという方もおられます。

     以上、余談。
  • id:ttrr
    すべてひっくるめてしまえば、必ずエントロピーは増大します。
    質問文でいえば、能動輸送にはATP→ADPの分解によるエネルギーが消費されます。能動輸送によるエントロピーの減少分とATPの分解によるエントロピーの増大分(もちろんこれだけではありませんが)との合計を考えれば、全体ではエントロピーはしっかり増加していますよ。
  • id:rsc96074
     こちらは参考になるでしょうか。ただ、部分的に見れば、生体内ではエントロピーが減少していてもその系の外ではそれ以上にエントロピーの増加が起こっているはず。
    ●熱力学第二法則に対する生命の対応
    >生きものは命ある限りエントロピーとの戦い,つまりエントロピーを増やさない努力を続けます.この中で,比較的分かりやすい例はイオンポンプでしょう.細胞の内部はK+イオンが濃くてNa+イオンが希薄,しかし細胞外液ではNa+イオンが濃くてK+イオンが希薄です.細胞膜はK+イオンやNa+イオンをあまり通しませんが,いろいろなプロセス,例えば神経が伝達されるときなどに内部のK+イオンが外に出て,外からNa+イオンが入ってきます.そのままほおって置けば内部と外部でK+イオンもNa+イオンも同じ濃度になってしまい,イオン濃度に関して無秩序,エントロピーが大きくなります.そうなると細胞は生きていけないので,Na+/K+イオンポンプでNa+イオンを外に汲み出し,K+イオンを中に汲み入れます.これにはエネルギーが必要です.生体がエネルギーを必要とするときはほとんどの場合ATPを加水分解して必要なエネルギーを調達します.Na+/K+イオンポンプももちろんATPを加水分解しながら働きます.
    >ほかにもエントロピーを増大させないためにいろいろと作業しますが,必要なエネルギーはたいていはATPの加水分解でまかないます.熱力学第二法則に対する生命の対応とは《ATPの加水分解によるエネルギーを使ってエントロピーの増大に対抗すること》と言ってもよいでしょう.
    http://cgi.din.or.jp/~a-yagi/biochem/question003.htm

  • id:filinion
    >takao78ksさん
     
    >という事は、閉鎖系かつ長時間の時間軸で見れば、と言うことですね?
     
     そういうことになろうかと思います。
     「十分に大きな閉鎖系」と言ったほうが良いのかな、という気もしてきました。
     
     現実にはあまり考えられないことですが、分子数がものすごく少ない閉鎖系では、常に温度や圧力が平均化する、とも言い切れず、偶然に偏りが出る可能性も時にはあるかと思います。
    (バラバラになったトランプをどんなにシャッフルしても、偶然きれいに整列する可能性は非常に低いけれど、カードが5枚とかしかなければそういうことも起こるかも知れない)
     
     もちろんそれは一時的なもので、長期的に見ればやっぱりエントロピーは増大の方向へ向かうわけですが。
  • id:filinion
     一つ訂正……。
     
    誤:閉鎖系
    正:孤立系
     
     生物は閉鎖系でも孤立系でもないから
    「生物は閉鎖系じゃないからエントロピーが増大してないように見える」
     というのはまあ間違ってないはずですが、熱力学第二法則について語るなら「孤立系で成り立つ」が正しかったです。
     すみません。

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