ただし、父子ともXY染色体を有し(XXY等の変異ではない)、ごく平均的な環境で(放射性物質等の大きな影響がない)、これまでの人類史において起こってきたのと同等の変異しか発生しないものとしてお答えください。
おや? Y染色体は雄にしかありませんから、100%遺伝ということではないでしょうか。⇒(参考)Y染色体の基礎知識と父系遺伝の特性
それとも、X染色体との間に組み換えが起きる頻度を問うていますか?
そんなに多いのでしょうか?
生物学の論文による確率は見つけることはできませんでした。
ただ、こちらのサイトでは現在78個の遺伝子が約500万年後に消滅するとあります。
http://image01.wiki.livedoor.jp/e/2/ewa512/188f6502.pdf
それが事実かどうかはともかくとして、その数値による確率は計算できそうです。
まず1世代を20年として(アバウトですが変動することも考えられるのでだいたいです。)
25万世代を繰り返してY染色体の遺伝子の数が1以下になる数値を求めます。
1世代で受け継がれる確立をaとすると
[tex:78a ^{250000} <1]
[tex:a< \frac{1}{78 ^{ \frac{1}{250000} } } ]
a<0.99998257331
すなわちY染色体が99.99825パーセントならば500万年後に男がいなくなることになります。
「Y染色体の中には、78個の遺伝子があり、それが500万年後に消滅する」という条件からの数値ですね。
この場合、遺伝子が欠損を続けて最終的にゼロになるという変化のみになりますが、それでも1世代あたり0.0017パーセントくらいの確率で欠損するということですね。
欠損まではいかず、変異(コピーしすぎなど)でとどまる確率はもう少し多そうです。
これはデータがないものでしょうか。ミトコンドリア・イブやY染色体のアダムに関する研究で数値は出ていないでしょうか。
失礼しました。Y染色体を取り上げているので欠損率の話なのかと誤解していました。
天皇に関する質問もされてますのでそちらの方かと今わかった次第です。
なかなか核心までとはいきませんが、遺伝子全体の突然変異確率に触れている文章はありました。
http://jp.epochtimes.com/jp/2008/07/html/d22272.html
遺伝子の突然変異は、遺伝子の複製あるいは損傷修復などの過程で発生する異常変異であり、一種の病態現象である。その発生の確率は極めて低く、約1万分の1から10億分の1である。下等な原核生物の遺伝子の突然変異の確率はもう少し高く、約1千分の1ぐらいであるが、高等生物の中では、遺伝子の突然変異率は 10万分の1から1億分の1ぐらいしかない。
人間が高等生物ならば突然変異率は 10万分の1から1億分の1ということになるでしょうか。
ではY染色体も同じかと言うと、それよりも高いような記述があります。
http://www.biological-j.net/blog/2007/12/000354.html
ここではY染色体が「変異」遺伝子であるとして、チンパンジーには無い免疫の遺伝子まで持っていると説明しています。
一説ではY染色体は変異することにより、X染色体にフィードバックしているとか。
それが本当ならば、Y染色体は他の染色体よりも変異確率は高いのかもしれません。
ありがとうございます。
お察しの通り、伝承が正しいと仮定すれば今上天皇は神武天皇から数えて71世代後、ということは、今上天皇のY染色体の中で神武天皇のY染色体がそのまま残っているのは何パーセントぐらいあるのか、ということを生物学的に知りたいと思ったわけです。
Y染色体には、mtDNAより極めてゆっくりとしたペースではあるが、過去に起こった突然変異の痕跡が、比較にならぬほど大量に蓄積していることを意味する。
この部分について考察してみました。
ご承知のように、Y染色体は対になるX染色体と形状が異なるため、乗り換え変異もほとんど起こさないことが知られています。
では、DNA複製時に起きる転写ミスはどうでしょうか。
後続でコメントをいただいたように、「遺伝子の退化がヒトを生み出した」(日経サイエンス 2004年1月号)や「性を決めるカラクリ,『X・Y染色体』」(Newton 2006年2月号)によると、Y染色体の遺伝子は78個しかないようです。
これに対し、Y染色体の塩基対の数は5100万個であることが分かっています。
一方のX染色体は1,100遺伝子に対して1億6千万の塩基対があります。つまり、Y染色体はX染色体に比べ、85%が無意味な塩基対ということになります。(これは id:SALINGER さんが回答されている資料のベースになっている数字です)
一方、DNA複製時に起きる転写ミスはどうかというと、これは10+9~10+11に一度の確率と言われています。
男性が1日に生産できる精子は1億個と言われています。1年365日、50年間コンスタントに生産を続けることができたとすると、約1.8兆個です。1個の細胞が41回ほど分裂すれば、この数に到達します。
前述のように、Y染色体の塩基対5100万個のうち85%は無意味なものと考えると、残りは約78万個です。78万×41=3200万=10+7.5 になります。
これに対して転写ミスが起きる確率は10+9~10+11に一度ですから、Y染色体の遺伝子については、31~3100世代に1つの塩基対の転写ミスしか起きないという計算になります。
普通、1つの塩基対が変わったくらいで遺伝子は変化しませんから、有史のオーダーで考えると変化がなかったと言えるのではないでしょうか。
『アダムの呪い』などを見てみると、Y染色体アダムは19万年前と想定されています。そこから今のような多様性が出ているので、もう少し変化があるのではないかという気がするのですが、いかがでしょう?
Wikipediaによると「ヒトのY染色体はおよそ5,100万塩基対」とのことですが、その中に変異等が起こる可能性がありますね。父親と息子の間でY染色体はどの程度一致しているのか(どの程度変化しうるのか)という質問です。
ご指摘のページから引用しますと、
とあります。この突然変異の発生する割合を知りたいのです。
もちろん、一代ではそれほど変化がないとしても、たとえばチンギス・ハーンの遺伝子を受け継ぐ多数の現存する男性のY染色体が、すべて完全に一致するわけではありませんよね。それを平均すると、1世代でどの程度の変異が起こりうるかということを知りたいと思っています。