第一幕がプロローグ、第二・三・四幕は喜劇、第五幕は悲劇という構成で、
「劇中劇」(メタフィフィクション)が二つも挿入されているという実験的な演劇であったのだ。
第二・三・四幕はイタリア経由のスペイン民衆劇の模倣。
第五幕は、コルネイユが得意だった古代ローマ悲劇の模倣である。
そうしてその二つの劇中劇が、結末でただの演劇だと種明かしされる。
この斬新さは、二十世紀の演劇に通じる実験性がある。コルネイユ恐るべし。
ただ、形式の斬新さに比べて、内容の面白さは正直なところ微妙であった。
ごく大雑把に、
一幕物=小品
三幕物=普通の演劇
五幕物=重厚長大な演劇
と言えるのではないかと思います。
五幕物の起源は古代ギリシャまでさかのぼるようですが、代表例としてシェイクスピアが上げられるでしょう。
四大悲劇と言われる ハムレット、オセロ、リア王、マクベス 全て五幕構成です。
Gustav Freytag によれば、五幕は次のように分けられます。
(Dramatic structure より。リンク先の図もご参照下さい。日本語は小生がご理解の一助として老婆心から付けたものです)
日本で言う「起承転結」と比較すれば、「転結」の部分が第三幕から第五幕になっている、という所でしょうか。
余談ですが、内容の薄い劇を水増しして五幕とするのは誉められたことではなかったようです。
従来の戯曲作法は、成るべく場数を少くすることを教へた。
「これは五幕だが、三幕にまとめられるものだ」とか、「これを一幕に仕上げられないやうでは駄目だ」とかいふ批評さへ通用した。
ご参考になれば幸いです。
五幕物は、英語では「Five-act play」となります。
これについてまとまった記載はあまりなかったので、Wikipedia英語版のいくつかの記事を翻訳・編集・再編して、以下のページにまとめてみました。
具体的な作品としては、古代ギリシア演劇やシェークスピアなどの多くがこの形式で分析されると述べられています。
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