日本料理では昔から「春は苦味」と言われます。
- 春は苦いもので夏を養い、
- 夏は辛いもので秋を養い、
- 土用(季節の移り変わりの時期)は塩辛いもので冬を養い、
- 秋は酸っぱいもので翌年の春を養い、
- 冬は甘いもので土用(季節の移り変わりの時期)を養う。
こうやって先の季節のための体作りに役立つ食材を取り入れていくのが、昔からの食の知恵なんですね。
野菜・山菜類の苦味の多くは健胃成分。春に苦味で消化器官をシャキッとさせておけば、来るべき活動的な季節を元気いっぱい迎えられるというわけです。
実際、春はほろ苦さを楽しむ食材がいっぱいですよね。春の新芽を味わう山野草などはみんなこれ。その代表格はフキノトウなどではないかと思いますが、山菜・野草の豊富な地域ではどこも基本的に自生している物も換金作物としての出荷対象で、地権者か、入会権(いりあいけん:山林原野などに対してその地域の集落住民などが持つ伐木や採草など天然資源の共同利用を行う権利。民法上の用益物権)を持つ人以外の採取は禁じられていることがほとんどです。
【山菜採りお断りの立て札の例】
でも、タンポポならどこにでも生えています。遠くまで行かなくても市街地周辺で採取出来る「春の苦味」として、これを活かさない手はありません。
ただし、採取していいのはセイヨウタンポポやアカミタンポポなどの繁殖力旺盛な帰化種のみに限るようにしてください。日本に昔からある在来種の多くは、すでに各都道府県のレッドデータブックに掲載されるような絶滅が危惧される種類になっています。
また今まで何度も書かれていますが、帰化種であったとしても、根こそぎ取ってしまうような採取の仕方は避けること。特に春先はこれから花を咲かせるための大切な時期ですから、採取していいのは1つの株について葉っぱ3~4枚程度。大部分の葉は残しておく配慮が大切です。タンポポは在来種・帰化種の別なく、その蜜は昆虫たちの大切な食料源になっています。タンポポの花には色んな虫たちが訪れます。だから、花が咲くのを邪魔してはならないのです。ネットで検索すると、根こそぎ抜いてきてしまうような採取方法の記事がたくさんありますが、特に自然の少ない市街地近郊では、そういう採取はしないで頂きたいと切望します。
さて、タンポポのレシピにいってみましょう。まず、最もオーソドックスなおひたしから。採取してきた葉を綺麗に洗って、しばらく水に漬けておきます。たっぷりの湯を鍋に沸かし、約3分間茹でたら冷水に取り、たっぷりの水の中でしばらく晒してから、ギュッと絞って食べやすい大きさに切ります。器に盛って、上からどっさり鰹節。鰹節が苦味を和らげます。そして生醤油でも出汁醤油でもお好みの物を適宜垂らして食べてください。あるいは胡麻和えやクルミ和えにしても美味しいですよ。おろしニンニク醤油というのもお勧めです。
次にご紹介するのは、タンポポのサラダです。基本的にここでは生のタンポポの葉を使います。タンポポの成分を無駄なく食べられるフレッシュな薬膳料理と言えるでしょう。
葉は綺麗に洗ったら、しばらく水に晒しておきましょう。そしてザルに上げてよく水気を切ります。後は好きにサラダにすればいいのですが、次にお勧めレシピ例を書いておきますね。
まずゆで卵を作りましょう。ゆで卵はタンポポの苦味を和らげてくれます。固ゆでにしたら殻を剥いて、粗いみじん切りにしておきましょう。
続いてニンニクを1かけ、ガツンと潰してダダダダッと手早く微塵にして、オリーブ油大さじ1で炒めます。ニンニクはタンポポの葉といいコンビなんです。朝食の調理などで匂いが気になる場合は、予めレンジで加熱してからみじん切りにすれば、まな板から立ち上る匂いも防げます。
ニンニクがキツネ色になってきたら、予め器に入れておいたタンポポの葉に、油ごと熱いままかけてしまいます。よく和えて、塩コショウ、そしてレモンの絞り汁を適宜加えて更によく和えて、ゆで卵のみじん切りを乗せて出来上がりです。美味しいですよ。
卵サンドの具の中にタンポポの葉を仕込むというのも美味しいです。タンポポビギナーには、げ、苦い、なんて言われてしまうと思いますが、慣れるとこれが爽やかな春の味。頭もお腹もシャッキリさせてくれる、午後に眠くならないお弁当としてもお勧めです。
最後に、フキノトウ味噌ならぬタンポポ味噌をご紹介しておきましょう。材料はタンポポの葉の他は、
これだけです。味噌、味醂、胡麻の分量は、全て体積比同量でOKです。
まずタンポポの葉を、おひたしにするのと同じように茹でて冷水に晒します。ギュッと絞ったら細かく刻んでください。
お鍋に味噌、味醂、擂り胡麻を入れ、適宜の水を加えてゆるめた所に刻んだタンポポの葉を加え、弱火にかけて木べらで鍋底をさらうように掻き混ぜながら、ゆっくり加熱していきます。次第に水分が飛んでいきますから、いかにもなめ味噌というくらいの固さになったら完成です。これを炊きたてのご飯に乗せて食べると美味しいですよ~。
以上、タンポポの葉っぱレシピをいくつかご紹介してみました。なお、タンポポの苦味成分はsesquiterpene lactone(セスキテルペンラクトン)類に属する物質で、まだ研究は進んでいませんが、抗炎症作用や抗がん作用などもあるのではないかと考えられています。ネットを検索するとタラクサシンという名称がたくさん出てきますが、同じ物質を指しています。
そのほかタンポポの葉には緑黄色野菜並みの各種ビタミンやミネラルが豊富に含まれていますから、苦いからと敬遠せずに、ちょっと食べてみてください。慣れないうちはほんと、ちょっと採ってくるだけでいいですよ。食べてみてイケる!!と思ったら、また採りに行ってください。
くどいようですが、くれぐれも葉っぱを全部採ってしまったり、根こそぎ抜いてしまうことをしないように。植物をいたわりつつ、株を痛めない程度の採取を心がけてくださいね。
日本料理では昔から「春は苦味」と言われます。
こうやって先の季節のための体作りに役立つ食材を取り入れていくのが、昔からの食の知恵なんですね。
野菜・山菜類の苦味の多くは健胃成分。春に苦味で消化器官をシャキッとさせておけば、来るべき活動的な季節を元気いっぱい迎えられるというわけです。
実際、春はほろ苦さを楽しむ食材がいっぱいですよね。春の新芽を味わう山野草などはみんなこれ。その代表格はフキノトウなどではないかと思いますが、山菜・野草の豊富な地域ではどこも基本的に自生している物も換金作物としての出荷対象で、地権者か、入会権(いりあいけん:山林原野などに対してその地域の集落住民などが持つ伐木や採草など天然資源の共同利用を行う権利。民法上の用益物権)を持つ人以外の採取は禁じられていることがほとんどです。
【山菜採りお断りの立て札の例】
でも、タンポポならどこにでも生えています。遠くまで行かなくても市街地周辺で採取出来る「春の苦味」として、これを活かさない手はありません。
ただし、採取していいのはセイヨウタンポポやアカミタンポポなどの繁殖力旺盛な帰化種のみに限るようにしてください。日本に昔からある在来種の多くは、すでに各都道府県のレッドデータブックに掲載されるような絶滅が危惧される種類になっています。
また今まで何度も書かれていますが、帰化種であったとしても、根こそぎ取ってしまうような採取の仕方は避けること。特に春先はこれから花を咲かせるための大切な時期ですから、採取していいのは1つの株について葉っぱ3~4枚程度。大部分の葉は残しておく配慮が大切です。タンポポは在来種・帰化種の別なく、その蜜は昆虫たちの大切な食料源になっています。タンポポの花には色んな虫たちが訪れます。だから、花が咲くのを邪魔してはならないのです。ネットで検索すると、根こそぎ抜いてきてしまうような採取方法の記事がたくさんありますが、特に自然の少ない市街地近郊では、そういう採取はしないで頂きたいと切望します。
さて、タンポポのレシピにいってみましょう。まず、最もオーソドックスなおひたしから。採取してきた葉を綺麗に洗って、しばらく水に漬けておきます。たっぷりの湯を鍋に沸かし、約3分間茹でたら冷水に取り、たっぷりの水の中でしばらく晒してから、ギュッと絞って食べやすい大きさに切ります。器に盛って、上からどっさり鰹節。鰹節が苦味を和らげます。そして生醤油でも出汁醤油でもお好みの物を適宜垂らして食べてください。あるいは胡麻和えやクルミ和えにしても美味しいですよ。おろしニンニク醤油というのもお勧めです。
次にご紹介するのは、タンポポのサラダです。基本的にここでは生のタンポポの葉を使います。タンポポの成分を無駄なく食べられるフレッシュな薬膳料理と言えるでしょう。
葉は綺麗に洗ったら、しばらく水に晒しておきましょう。そしてザルに上げてよく水気を切ります。後は好きにサラダにすればいいのですが、次にお勧めレシピ例を書いておきますね。
まずゆで卵を作りましょう。ゆで卵はタンポポの苦味を和らげてくれます。固ゆでにしたら殻を剥いて、粗いみじん切りにしておきましょう。
続いてニンニクを1かけ、ガツンと潰してダダダダッと手早く微塵にして、オリーブ油大さじ1で炒めます。ニンニクはタンポポの葉といいコンビなんです。朝食の調理などで匂いが気になる場合は、予めレンジで加熱してからみじん切りにすれば、まな板から立ち上る匂いも防げます。
ニンニクがキツネ色になってきたら、予め器に入れておいたタンポポの葉に、油ごと熱いままかけてしまいます。よく和えて、塩コショウ、そしてレモンの絞り汁を適宜加えて更によく和えて、ゆで卵のみじん切りを乗せて出来上がりです。美味しいですよ。
卵サンドの具の中にタンポポの葉を仕込むというのも美味しいです。タンポポビギナーには、げ、苦い、なんて言われてしまうと思いますが、慣れるとこれが爽やかな春の味。頭もお腹もシャッキリさせてくれる、午後に眠くならないお弁当としてもお勧めです。
最後に、フキノトウ味噌ならぬタンポポ味噌をご紹介しておきましょう。材料はタンポポの葉の他は、
これだけです。味噌、味醂、胡麻の分量は、全て体積比同量でOKです。
まずタンポポの葉を、おひたしにするのと同じように茹でて冷水に晒します。ギュッと絞ったら細かく刻んでください。
お鍋に味噌、味醂、擂り胡麻を入れ、適宜の水を加えてゆるめた所に刻んだタンポポの葉を加え、弱火にかけて木べらで鍋底をさらうように掻き混ぜながら、ゆっくり加熱していきます。次第に水分が飛んでいきますから、いかにもなめ味噌というくらいの固さになったら完成です。これを炊きたてのご飯に乗せて食べると美味しいですよ~。
以上、タンポポの葉っぱレシピをいくつかご紹介してみました。なお、タンポポの苦味成分はsesquiterpene lactone(セスキテルペンラクトン)類に属する物質で、まだ研究は進んでいませんが、抗炎症作用や抗がん作用などもあるのではないかと考えられています。ネットを検索するとタラクサシンという名称がたくさん出てきますが、同じ物質を指しています。
そのほかタンポポの葉には緑黄色野菜並みの各種ビタミンやミネラルが豊富に含まれていますから、苦いからと敬遠せずに、ちょっと食べてみてください。慣れないうちはほんと、ちょっと採ってくるだけでいいですよ。食べてみてイケる!!と思ったら、また採りに行ってください。
くどいようですが、くれぐれも葉っぱを全部採ってしまったり、根こそぎ抜いてしまうことをしないように。植物をいたわりつつ、株を痛めない程度の採取を心がけてくださいね。