子供は小さな生き物を見るとすぐに採りたがります。でも、命の尊さを教える意味でも、自然を守る心を育てるためにも、観察が終わったらちゃんと元の場所に戻してあげたいですね。
それでも、昆虫の体は脆いものですから、捕まえたり観察したりしている最中に重大なダメージを与えてしまうことも多々あります。出来れば自然の命は手に取ったりせず、自然のままの動作を観察するにとどめていただきたいと思います。
それでは子供の興味が育たない、科学する芽が育たないとお思いの方にお勧めしたいのが、セミの抜け殻集めです。これなら命も損なわず自然も破壊せず、見つけた分だけ取り放題。しかも抜け殻は大変精巧に出来ていますから、じっくり観察するとセミの体の作りがはっきりとわかりますし、採取時のデータをきちんと記録していくと、どの場所がどんなセミの産卵場所になっていたかまでが克明に調べられます。
これを樹木の分布など関連させて環境評価への応用などにまで高めていくと、もう立派な大学レベルの研究にもなりますから、大人であるお父さんお母さんが取り組んでも、興味が尽きないテーマとなるでしょう。
例・「セミの抜け殻を用いた都市環境評価の試み」(国際研究論叢 : 大阪国際大学紀要 10(1/2), 93-103, 1996-10-31)
http://ci.nii.ac.jp/naid/110000514970
それではセミの抜け殻探しに出かけましょう。ターゲットとなるのは、セミが鳴いていて、なおかつ樹木が生えているところです。セミの幼虫は地中で育ちますが、エサとなるのは成虫と同じ樹液。セミは幼虫時代から固く長いストロー状の口吻を持っていて、それを木の根っこに差し込んで、樹液を吸って成長するんですね。また、一般的にセミの行動範囲はそんなに広くはないですから、鳴き声と樹木の両方が揃っている場所なら、周辺の木の根元から這い出してきて羽化したセミがいる可能性大、というわけです。
しかし、そんな可能性大の場所でも、いざ抜け殻を見つけようとすると、なかなか見つからないことが多いと思います。それは、葉っぱの裏など、外敵に見つかりにくい場所で羽化することが多いから。羽化の時は一番無防備な状態ですから、ちょっとでも安全な場所を探すんでしょうね。ですから当然抜け殻も、人目に付きにくい所にあるわけです。
そういうことを踏まえながら、抜け殻だけでなく幼虫が這い出してきた穴も一緒に探すようにすると、発見率が向上します。一個、二個と見つけているうちに、だんだん抜け殻探しのプロフェッショナルになっていきます。こういう野外活動のスキルの向上も、抜け殻探しの楽しいところ。さぁ、親子で抜け殻ハンターの腕を競ってください。大人は背が高く視線が地面から遠い分だけ不利になります。お父さんお母さん、お子さんに負けないでくださいね(笑)。
抜け殻を見つけたら、まずその状態を写真に撮りましょう。そして、次の項目を観察してメモします。
・採取場所と日付
・抜け殻のあった位置の地面からの高さ
・幼虫が樹液を吸っていたと思われる樹木の種類(分からなければ写真に撮るなり葉を採取してくるなりして後で調べてください)
・抜け殻に泥がたくさん付着していたか、それともツルツルだったかの違い
などなど。こうしたデータを記録しておけば、セミの種類の識別がしやすくなりますし、あとで高度な研究をしようとする時にも十分役立つ資料になりますね。
昆虫標本風に箱に納めたり、抜け殻採取地マップを作ったりすると、夏休みの自由研究課題にも最適な提出作品にもなると思います。野外活動の楽しみと、科学する楽しみの合体。さらに命と自然を尊ぶ心も育てるセミの抜け殻探しを、ぜひご家族で楽しんでみてください。大人にも得難い体験となること請け合いです。
なお、野外活動の基本として、必ず帽子をかぶる、汗を掻いたら水分補給などの健康上の注意は怠らないでくださいね。子供と一緒に活動する時は、たとえ近所の公園であっても、これらの注意は必須です。また、地域によってはツツガムシ等の被害を避けるため長袖長ズボンを着用するなどの配慮もしてください。
子供は小さな生き物を見るとすぐに採りたがります。でも、命の尊さを教える意味でも、自然を守る心を育てるためにも、観察が終わったらちゃんと元の場所に戻してあげたいですね。
それでも、昆虫の体は脆いものですから、捕まえたり観察したりしている最中に重大なダメージを与えてしまうことも多々あります。出来れば自然の命は手に取ったりせず、自然のままの動作を観察するにとどめていただきたいと思います。
それでは子供の興味が育たない、科学する芽が育たないとお思いの方にお勧めしたいのが、セミの抜け殻集めです。これなら命も損なわず自然も破壊せず、見つけた分だけ取り放題。しかも抜け殻は大変精巧に出来ていますから、じっくり観察するとセミの体の作りがはっきりとわかりますし、採取時のデータをきちんと記録していくと、どの場所がどんなセミの産卵場所になっていたかまでが克明に調べられます。
これを樹木の分布など関連させて環境評価への応用などにまで高めていくと、もう立派な大学レベルの研究にもなりますから、大人であるお父さんお母さんが取り組んでも、興味が尽きないテーマとなるでしょう。
例・「セミの抜け殻を用いた都市環境評価の試み」(国際研究論叢 : 大阪国際大学紀要 10(1/2), 93-103, 1996-10-31)
http://ci.nii.ac.jp/naid/110000514970
それではセミの抜け殻探しに出かけましょう。ターゲットとなるのは、セミが鳴いていて、なおかつ樹木が生えているところです。セミの幼虫は地中で育ちますが、エサとなるのは成虫と同じ樹液。セミは幼虫時代から固く長いストロー状の口吻を持っていて、それを木の根っこに差し込んで、樹液を吸って成長するんですね。また、一般的にセミの行動範囲はそんなに広くはないですから、鳴き声と樹木の両方が揃っている場所なら、周辺の木の根元から這い出してきて羽化したセミがいる可能性大、というわけです。
しかし、そんな可能性大の場所でも、いざ抜け殻を見つけようとすると、なかなか見つからないことが多いと思います。それは、葉っぱの裏など、外敵に見つかりにくい場所で羽化することが多いから。羽化の時は一番無防備な状態ですから、ちょっとでも安全な場所を探すんでしょうね。ですから当然抜け殻も、人目に付きにくい所にあるわけです。
そういうことを踏まえながら、抜け殻だけでなく幼虫が這い出してきた穴も一緒に探すようにすると、発見率が向上します。一個、二個と見つけているうちに、だんだん抜け殻探しのプロフェッショナルになっていきます。こういう野外活動のスキルの向上も、抜け殻探しの楽しいところ。さぁ、親子で抜け殻ハンターの腕を競ってください。大人は背が高く視線が地面から遠い分だけ不利になります。お父さんお母さん、お子さんに負けないでくださいね(笑)。
抜け殻を見つけたら、まずその状態を写真に撮りましょう。そして、次の項目を観察してメモします。
・採取場所と日付
・抜け殻のあった位置の地面からの高さ
・幼虫が樹液を吸っていたと思われる樹木の種類(分からなければ写真に撮るなり葉を採取してくるなりして後で調べてください)
・抜け殻に泥がたくさん付着していたか、それともツルツルだったかの違い
などなど。こうしたデータを記録しておけば、セミの種類の識別がしやすくなりますし、あとで高度な研究をしようとする時にも十分役立つ資料になりますね。
昆虫標本風に箱に納めたり、抜け殻採取地マップを作ったりすると、夏休みの自由研究課題にも最適な提出作品にもなると思います。野外活動の楽しみと、科学する楽しみの合体。さらに命と自然を尊ぶ心も育てるセミの抜け殻探しを、ぜひご家族で楽しんでみてください。大人にも得難い体験となること請け合いです。
なお、野外活動の基本として、必ず帽子をかぶる、汗を掻いたら水分補給などの健康上の注意は怠らないでくださいね。子供と一緒に活動する時は、たとえ近所の公園であっても、これらの注意は必須です。また、地域によってはツツガムシ等の被害を避けるため長袖長ズボンを着用するなどの配慮もしてください。