※主人公はフィクションであれば、御伽噺でも最新アニメでもかまいません。(実在の人物不可)
※テキストのみで画像不可です。
※原作に出てくる文章の使用不可です。
例)「俺妹」で地味子の出番がどんどん減っているので主人公と結ばれる話を書いてみるとか。
※この質問は以下に基づいています。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%89%E3%83%A9%E3%81%88%E3%82%82%E3%82%93%E6%9C%80%E7%B5%82%E8%A9%B1%E5%90%8C%E4%BA%BA%E8%AA%8C%E5%95%8F%E9%A1%8C
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なお、著作権法上、「『絵』の著作権は保護されている」が、「『キャラクターの性格』は著作権が存在しない」という「ポパイ・ネクタイ事件」の判例がある。絵を用いずに小説の形式で勝手に続編や最終回を制作することなどは著作権法上の問題がない。
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星矢達は、ギリシャ行の飛行機に乗っていた。
その時瞬が花の図鑑を読んでいた。
星矢が瞬に「お前花が好きなのか」と言うと、
瞬は、星矢に一枚の花弁を見せて「この花弁、ジュネさんの髪についていたんだけど、アンドロメダ島では見た事が無い花なんだ」と言った。
星矢がその花びらを見て「桜じゃないのか」と言うと、
氷河が「そんな大きな桜は無い。薔薇だろう」と言った。
瞬が「えっ、薔薇なの」と言うと、
氷河は「薔薇に間違いないと思う。が、こんな色の花は俺も見た事が無いな」と言った。
それから、氷河と瞬は、図鑑を見ながら、薔薇の話を始めた。
その時紫竜が星矢の肩に手を置いて「桜はバラ科だから、まんざら間違いでもない」と言った。
星矢は氷河と瞬を見ながら「氷河はずいぶん花に詳しいな」と言ってあきれた。
シャカは、乙女座の黄金聖闘士になった。
が、聖域にいるはずのアテナのコスモを感じた事が無かったので、
自分で修行を続けた。
そして、女神の化身がどんなものかを知りたいと思って、
世界各地の哲学、宗教、神話・伝承を調べて、多くの聖典文書を集めていた。
コスモを高める修行を休憩して、教皇の間の方を向くと、
その日もアテナのコスモを感じる事が出来なかった。
「まだ修行が足りないのか・・・」
チルノが棒を振り回しながら、野原を駆け回っている。いつもの事である。
「スーパー☆ポリス!スーパー☆ポリス!スーパー☆ポリスがで・た・ぞ!」
ドン!
チルノは誰かにぶつかって、倒れた。
妖夢だった。
「ハプ、ハプ!」
「痛いですね。走る時は周りをよくみて下さい」
妖夢は冷静に対処した。つもりだった。
「出たっ!スーパー☆ポリス!」
チルノは失禁した。
「パーローン!誰がスーパー☆ポリスじゃっ!」
失禁されたせいか、妖夢は態度を豹変、ブチ切れてチルノの耳たぶを引っ張って無理に起こした。
「ゲーッ!逮捕!逮捕!」
「逃げるなっ!」
妖夢はチルノのパンツを脱がして、尻をペンペンした。
「死刑じゃっ!」
「ギャッ!」
ペシーン、ペシーン!
チルノの尻を叩く音が、幻想境にこだました。
昔々あるところに、桃から生まれた(と教えられた)桃太郎がおりました。
桃太郎はすくすくと育ちましたが、自分の生い立ちとそれからくる桃太郎というネーミングセンスに絶望し、日に日にグレていきました。
自分を生んだであろう両親がおじいさんおばあさんと呼んでも差し支えないくらいの年齢だったことにも、何頑張っちゃってんのとか思っていました。
ある日、そんな桃太郎はある噂を耳にしました。
「この間、鬼ヶ島ライダーズとかいう暴走族のヘッドが引退を考えていて、二代目を募集しているらしい」とのこと。
この噂に桃太郎敏感に反応。
「よし、俺がヘッドになってやろうじゃないの。」
そう考えた桃太郎、おじいさんとおばあさんにこう告げます。
「ちょっと鬼ヶ島ライダーズのとこに行ってくるわ。止めんじゃねえぞ。」
この話におじいさんとおばあさんはてっきり鬼ヶ島ライダーズを壊滅に追い込まんと桃太郎が正義の炎に燃えていると勘違い。
おばあさんはきびだんごを山ほどこしらえ、おじいさんは桃太郎が仲間探しに苦労しないよう、どこからともなく犬と猿と雉を連れてきました。
次の日に動物園から猿と雉が消え、お隣さんの飼っている犬が失踪したのはまた別の話です。
桃太郎はネットオークションでそれらを売りさばき資金を得、武器に鉄パイプを装備して出かけていきました。
やってきたのは鬼ヶ島ライダーズのたまり場。
桃太郎はそのど真ん中へと闊歩し、叫びます。
「俺とバトルだ大将!勝ったら俺を二代目にしてもらう!」
その言語にメンバーの幹部はいきりたちます。
が、ヘッドは面白いとばかりに桃太郎に近づいていきます。
「おもしれぇ。こういう度胸のあるヤツが二代目にはふさわしい。」
バトルはチキンレース。せっかく持ってきた鉄パイプが無駄になりましたが、族らしくて良いと桃太郎は快諾しました。
ルールは簡単。500m先の崖目がけてチキンランです。
桃太郎はネットオークションで得た資金でバイクをフルカスタム。
ギリギリまで加速力を上げました。
対するヘッドのバイクは派手に装飾された機能性を考えていないように見えて、その実改造にウン百万はくだらない額をかけたスーパーバイクでした。
深夜2時。
レースが始まります。
この二台の加速なら勝負は十数秒でつくでしょう。
「ビビったほうの負け。命知らずでも負け、か。」
「冷静なヤツが勝つのさ。さぁ始めようぜぇ!」
スタート…!
二台は一気に加速をします。
100mを通過。
200m。
300m…
400m。もうブレーキをかけなければ制動距離的に間に合いません。
あっとここで二台同時にブレーキ!!
白煙をもうもうと上げ崖っぷちへと突入していきます!
あっと!ヘッドのタイヤがロック状態になっています!これでは崖下へと転落するぞ!
桃太郎のタイヤはロックされていません!ギリギリ間に合うでしょう!これは勝敗がみえたか!?
いや!ヘッドがブレーキをたくみに開放・制動を繰り返してロック状態を回避している!手動でアンチロックを行っています!これはわからない!
480! 490! ごひゃ…っっっっっっ止まったぁーッ!!!!
二台とも崖っぷちギリギリで止まりました!!!
さて、計測に入ります。ブレーキ自体は同時でしたので距離で勝敗を決するようですが…。
桃太郎!残り8cm!! ヘッド!残り11cm!!
桃太郎の勝利です!
敗れたヘッドが桃太郎に語りかけます。
「やるじゃねぇか。二代目はてめぇだ。」
桃太郎が答えます。表情は何故か少し苦いです。
「いや、俺にはあんなブレーキングは無理だ。同じバイクで走っていれば、あんたの勝ちだろうよ。まだまだだな、俺も。」
それを聞いたヘッドは桃太郎を殴り飛ばします。
「ごちゃごちゃ言ってんじゃねぇ!テクがどうだろうが勝ったのはてめぇだ!最初に切った啖呵はなんだったんだ!てめぇが何を言おうが、二代目はてめぇだ!俺はもう決めた!」
殴り飛ばされ、その言語を聞いた桃太郎。口の中を切り、血を流しながら桃太郎は答えます。
「そうかい…。あんたがそれでいいなら、このチーム!俺が貰い受ける!」
熱い友情が芽生えたようです。
そして桃太郎はチームのメンバーに向かって叫びました。
「てめぇら!たった今から俺がこのチームのリーダーだ!そしてチーム名はピーチライダーズに変更する!!」
「「「ざっけんなぁぁぁぁぁぁ!!!!!」」」
こうして桃太郎は、鬼ヶ島ライダーズを壊滅させ、そのかわりにピーチライダーズを作りましたとさ。
めでたしめでたし。
ありがとうございます。
勢いがあって面白く読めました。
彼の名はウルキオラ・シファー。一護との決戦に敗れ、灰化して消滅したはずであった。しかし、プリメーラ・エスパーダをも凌ぐ凄まじい力に興味を示した涅マユリがその灰を瀞霊廷に持ち帰り、魂魄を再生したのであった。今は義骸を与えられ、密かに現世で身を隠している。
「よぅ、ウルキオラ」
オレンジ色のツンツン頭が声を掛けた。
「なんだ・・・・、貴様か」
「貴様はねぇだろ、今は俺たち、クラスメイトってやつなんだからよ」
あまり密かでもないようである。さすがは研究に関すること以外、何ごともいい加減なマユリのすることだ。
「何やってたんだよ」
「人を・・・・、見ていた」
「ふーん、面白れえか」
「いや・・・・、見つからない、心が」
「心?」
「あぁ・・・・。なぜ奴らはホロウでもないのに胸に穴が開いているのだ」
「そんなふうに見えるのか?」
「・・・・」
「わははは、そういやお前の目は全てを見通すって言ってたものな」
ウェコムンドでの壮絶な戦いの記憶が蘇る。しかし、あの戦いがなければ自分はこの男と出会わなかった、そう思うウルキオラにとって、決して嫌な記憶ではなかった。屈託無く笑う一護の顔を、彼は静かに見つめていた。
「ま、帰ろうぜ、もうすぐ日が暮れる」
一護に促されるままに、ウルキオラも歩き始める。しばらく歩いたところで、彼は立ち止まった。
「どうした、ウルキオラ」
「この・・・・霊圧」
「ホロウか!!」
一護が代行証によって死神化するよりも早く、ウルキオラは飛んだ。人差し指を構える。セロを放つ気だ。
「バカ、やめろ、こんな所でぶっ放したら怪我人が出る、河川敷に追い込め!!」
しかし、このホロウはずる賢い。逆に人々の集中する方に身をかわした。人間を盾にする気だ。
「させるかよーっ!!」
一護は素早くホロウの行く手を遮った。ウルキオラはソニードで空中高く舞い上がる。ソニードは敵に霊圧を感知されることなく高速移動が可能だ。ホロウはまだ頭上のウルキオラに気付いていない。急降下した彼の手刀がホロウに突き刺さった・・・・、かのように見えた次の瞬間、血しぶきを上げて地面に横たわったのは、なんとウルキオラの方だった。
「て、てめえーっ!!」
一護の斬魄刀がホロウを真っ二つに切り裂いた。勝負は呆気なく幕を閉じた。
うずくまるウルキオラのもとに駆け寄る一護。
「おい、しっかりしろ」
「だ・・・・、大事は・・・・ない」
「バカ野郎、今のお前は超速再生出来ねぇんだぞ、無茶しやがって」
おや? ウルキオラの腕の中に動くものがある。何だ? 見るとそれは、一匹の子犬だった。
「お前、こいつをかばって」
「すまぬ・・・・、これをあの女の子に・・・・」
「あの子の子犬、なのか?」
「そのように・・・・、見えた」
肉体に魂魄を戻した一護は子犬を受け取り、少女に向かって歩き出した。「これ、お前のか?」「うん、ありがとう、お兄ちゃん」「助けたのは俺じゃない、あそこのやつだ」。少女はポロポロと涙をこぼしながら、それでも最大級の笑顔でウルキオラに頭を下げた。それに応えるように、かすかに微笑むウルキオラ。
少女の後ろ姿を見送ると、彼は路上に仰向けに横たわった。まだ腕の中に温もりが残る。
「俺は・・・・、心を抱いていたか。人間も・・・・、悪くない」
義骸の損傷でだいぶ霊子を損失したが、まだ現世(ここ)にとどまってみたい。ウルキオラはそう思っていた。すっかり日の落ちた空には美しい星が瞬いていた。
※ ※ ※
その頃、瀞霊廷技術開発局。
「今すぐ上級救護班班長の山田花太郎を現世に送るんだよ、もたもたするんじゃないよ」
「はいマユリ様、治療を急がせます」
「バカなこと言うんじゃない、あの仏頂面のウルキオラが微笑んだんだよ、こんな興味深い研究対象があるかね、花太郎にはギャグを指示するんだよ」
「・・・・」
ちゃんちゃん♪
ありがとうございます。
BLEACHのお話ですね。元ネタがわからないのが残念です。(一番最初の助ける所までしか見ていないです)でも、元ネタ分からなくても上手だなと思いました。
SSを本気で書くのは初めてで、あれもこれもと伏線やお約束ネタを撒いて拾ってるうちに、大作というより回答としては嫌がらせのような長さになってしまいました。
どうしようかと思ったのですが、締め切り前に出来上がってしまったので投稿させていただきます。
元ネタはちょっと古いですが、人力ユーザーなら世代的に多分知ってる人が多いかと思い選んでます。
_________________________________________
ようやく道行く人の首に色とりどりのマフラーが巻かれるようになってきた。空はどんよりと重た気な雲が溜まっているが、行き交う人の足取りはどこか楽しげだ。ショーウィンドウにはモミの木が飾られ、まがい物とはいえ雪綿がいやがおうでも気持ちを高ぶらせている。
「横島さん、アレ」
オキヌちゃんの足はしっかりと地についている。もう「くりすますって何味ですか?」と少女のような素朴な質問がとんでくることはない。そこは少し残念だが日常生活においては今の方が何かと都合がいい。そもそもストーリに説明が要らないのでページが無駄に進まない。
そのオキヌちゃんの指差す方向には、幼稚園くらいだろうか、女の子がショーウィンドウの中の玩具を恨めしげに眺めていた。傍には幼稚園の職員だろうか、妙齢の女性が付き添っている。
「ごめんね、洋子ちゃん。サンタさんにお願いしてもうちの施設には・・・」
オキヌちゃんがグッと、横島のコートの裾を引っ張った。そういう親しげな仕草が横島を勘違いさせる元なのだが。
「私知ってます。あの子、この町の孤児院の洋子ちゃんなんです。あの中の玩具だって自分のじゃなくて施設の子供が欲しがってるのを見て知ってるから」
オキヌちゃんのすがるような視線を横島は0.5秒で振りほどいた。
自給255円(5円はアップした)の彼にとってみれば、クリスマスなどというイベントは「年を越せるか越せないかの瀬戸際」の悪魔のささやきであり、自分の生活が維持できるかの方がはるかに重要だった。
「あら、オキヌちゃん」
職員の方が先に二人に気づいて声を掛けてきた。
「あら、スミにおけないわねー、デート?」
「デート、デート」
洋子ちゃんもいっしょに囃し立ててきた。
「いやー、学校帰りなだけですよ。ね、横島さん」
横島アイからはオキヌちゃんの態度はまんざらでもないように見える・・・がそれは罠かもしれない、と思いなおした。
「洋子ちゃんはサンタさん信じてるの?」
オキヌちゃん、それ地雷踏んでます。
「う、うん。でもね、先生はこんな高価なプレゼントはみんなのお願いを全部集めても難しいんじゃないかって」
オキヌちゃんが先生に視線を戻すと、
「い、いや、ほらリーマンショックがバブル崩壊してサンタもリートで大変だってニュースで・・・・」
随分と現世利益なサンタもいたものだ。
「私の来年と再来年のお願いを全部先払いでおねがいしても駄目かなあ・・・」
オキヌちゃんが目配せをしてきた。小声でつぶやく。
(あのー横島さん、私少しなら"ゆうれい"のときからの貯金があるんで何とかならないでしょうか)
横島は一度オキヌのカンカンの貯金箱を見たことがある。ショーウィンドウの玩具はアレでなんとかなるような代物ではない。
「いやー、ちょっと難しいんじゃないかなーやっぱ」
洋子ちゃんは俯いてつぶやいた。
「そうだよね。そんな簡単じゃないよね。でもタケルくんはまだ生まれてから一回もサンタにプレゼントもらったことないんだって言ってたから、今年はお願いすればくるよ、っていっちゃって、それで・・・」
洋子ちゃんの顔が向いている地面にポタポタ滴が落ちる。
駄目だ、情に流されちゃ駄目だ、こんなにしおらしい女の子でも洋子ちゃんは所詮5歳児。それに俺自身、年を越せるかどうか微妙な所持金。ケーキはおろか年越し蕎麦すらあやしい状況だというに・・・。
「いやー、洋子ちゃんごめんごめん。俺、サンタに知り合いいたんだったわ。後でお願いしとくからタケルくんだっけ、にクリスマス楽しみにしとけって言っておきなよ」
洋子ちゃんの顔が持ち上がり、先生を見て、オキヌちゃんを見て、そして横島を見て笑みに変わった。
オキヌちゃんは羨望の眼差しで横島を見ている。
しまった。やってしもうた。
こんな一銭にもならん仕事、あのドケチの美神さんが協力してくれるはずもないしなあ。
GS横島 クリスマス大作戦
「なーに、甘えてんのよ。あんた勝手に約束したことでしょ。自分でなんとかしなさいよ」
美神除霊事務所に戻り、オキヌちゃんの貯金箱を一応確認し(もちろんそのお金でなんとかなるようなものではなかった)、その後思案を重ねたものの、いい案がでる訳もなく、取りあえずピートとタイガーにも電話したが「お金以外のことだったら手助けできるけど・・・」との芳しくない結果。
駄目元で来月の給料前借りまでカードを切って(それだけでも横島にとっては清水の舞台を飛び降りた後に極寒の富士山に登る勢いだったのだが)みたものの美神からの返事はそっけないものだった。
「やーよ。大体私クリスマスなんて寒い時期に外で歩きたくないの。寒い冬は暖房の効いた部屋で鍋でもつつくに限るわね」
このくそ寒い時期にボディコンスーツ一枚でぬくぬくとした部屋でこのセリフ。この人はどれだけ危険な目に合えば、この減らず口が治るのだろう。いや無理か。
「み、み、美神さんのけちんぼー!」
正直もともとアテにしていなかった横島の隣で、わなわな震えていたオキヌちゃんがいきなりそう叫んだ途端、ドアを開けて飛び出していった。
「お、追います」
「あ、まって、横島、私も言い過ぎたわ、オキヌちゃん見つけたら事務所に戻ってきて」
へー、美神さんもさすがにオキヌちゃんには弱いんだなあ、と少しでも心を許した横島がどれだけ浅はかだったか、彼は後に思い知ることになる。
「こんなところに」
オキヌちゃんがいたのは施設の門の外だった。
「わたしもそうだったから分かるんです。プレゼントもらったことなかったから」
「オキヌちゃん、美神さんがさ、なんとかしてくれるって」
オキヌちゃんの沈んだ顔にも笑顔がすぐにもどった、と思ったら建物に視線を戻してまた曇り顔に。
「どうしたの」
「サンタさんて煙突なしでどうやって入るんでしょうね」
その施設は中層マンションの一階部分に入居しており、入り口は施設の性質上オートロックの施錠体制だ。
「園長先生ー」
施設から先ほどの先生の声が聞こえる。
二人の背後に人の気配がするので振り向いてみると、そこには坊さん姿の初老の男が立っていた。
「こんにちは、わしが施設の園長、大空海月蓮いいます。うちの施設になんぞ御用でっか」
園長と名乗ったその男は袈裟姿に足袋を履いたまごうことなき「坊主」だった。
「いや、あの洋子ちゃんにクリスマスプレゼントを、と思って・・・」
大空海月蓮の目がくわっと見開かれた。
「わての施設に余計なバテレンのシキタリは持ち込んでもろうては困りますな。わしの目の黒いうちはサンタクロースなどというオカルトまがいの異教徒の侵入は許しませんぞ、かーっつ!」
あの先生が渋ってたのはこういうことだったのか・・・・。二人は目を見合わせた。
「厄介なことになったなあ。取りあえず事務所に戻ってみよう」
事務所に戻って美神さんに事情を話したところ、反対されるかと思いきや逆効果だった。
「オカルトで私に敵うとおもってんの、どこのくそ坊主よ! 横島クン、なんでもいいから必要なもの用意するように連絡しといたからいますぐ厄珍堂にいってきて。どこの坊主だかしらないけど、このGS美神を敵に回したことを公開させてやるわよ」
厄珍のお店って。今回は悪霊退散のお札じゃ役にたたないんですけど、美神さん分かってんのかなあ。
というか、当初の目的変わってません?
「けどこうなった美神さんは止められないしなあ、とりあえず厄珍のとこいってみるか」
「アラ、レーコちゃんところぼうず、と元幽霊のネエチャンか、よく来たね。さっそくだけどこれ渡すように言われてるよ」
「なんすかコレ」
厄珍が渡してきたのは薬品をいれるような茶色の小瓶だった。
「飲み薬あるね、これ飲むと幽体離脱できるね。しかも持ち物も持ったままなので都合いいあるよ」
も、もしかしてこれって、無敵の道具なんじゃね?
横島の顔にヨコシマな笑みが横切る。
「ぼ、ぼーず、お前、この薬使ってなんかヨコシマなこと考えてるあるね、でもこの薬、まだ量産されてない上に、効果限定で飲んだ日の0時までしか使えないある。余計なことをしてる時間はないあるよ。名前は【ユウタイ100000】ユウタイ成分100000ナノマイト配合 24時までユウタイ!ユウタイ! がキャッチフレーズね」
「なんか厄珍、ドラえもん化してね?」
「し、失敬な、キャラ被りではなく、オマージュあるよ。GS美神はパクリではなくオマージュ100%が主成分あるね」
それもどうかとは思うが。
「まあそれはいいとしてこれで進入方法は手に入ったけど、肝心カナメのプレゼントをどうしようか・・・」
厄珍が顔の前で人差し指を立てて横に振る。
「簡単あるよ、これ飲んでショウウィンドウから玩具とってくるよろし。それそのまま届ければおしまいあるよ。簡単簡単。あ、あとサンタの衣装は用意したあるから貸してやるよろし」
「それって犯罪じゃねーか! そんな盗んだプレゼントもっていけるわけねーじゃねーかよ」
「しょうがないある、プレゼントの分のお金はレーコちゃんからもらってないあるよ」
(あの、強欲ネエチャンー、これじゃ折角のスーパーアイテムも宝の持ち腐れ、少年紙で万引きなんてできるわけねーじゃねーか、ま、まてよこの薬使えば)横島は集中すると思考している内容を口でつぶやく場合が多い。ギャグマンガのお約束ではあるが、悪事に向かない男である。
横島は妙案を思いついていた。この厄珍もまた美神の色香の前には弱いことを。
「どうだ、厄珍、取引しねーか。俺がこの能力使ってお前の除くアイテムを取ってきてやるから、前金でプレゼントを買う金を出資しないか?」
「ボーズ、もしかしてレーコちゃんの・・・・下着あるか?」
「それだけでなあい、物体を持ったまま壁抜けできるなら、な、生写真も不可能ではな~い!」
「よし、それで手うつある!」
「あうあうあう、横島さーん、それってもしかして・・・美神さんの おふろ をのぞきに行くって事ですか? よくないですう」
「しょうがないじゃん、全てはあの女が、ケチったのが悪い。いいじゃん減るもんじゃなし!」ボソ(俺も役得だし)
「というわけで決行! 厄珍、店が空いてるあいだに買わなきゃいけないからプレゼント代は前金だからな」
横島とオキヌちゃんは昼間の店で玩具を購入し、その足で施設に向かった。衣装は二人分のサンタとトナカイの着ぐるみを持って。
「と、とりあえず飲んでみるかな、この薬」
施設の外の道路で横島は”ユウタイ1000000”を取り出した。
キャップを開けて一気に飲み干した。
「あれ、別になんにも起こらないな。ねえオキヌちゃんどう?」
振り返った横島の視線の先にはオキヌちゃんと・・・自分の身体が道路に横たわっている。立った体制のまま幽体離脱したのが災いしたのが後頭部から血糊が見える。
「わ、わー、オレ大丈夫かー」
オキヌちゃんが身体を持ち上げてみるが・・・。
「あ、脈ないです。早くした方がいいんではないでしょうか? 」
幽体離脱してんだから当たり前である。
だから厄珍は自分でやらなかったのかあ。こんなの危なっかしくて気楽に使えるかあ。
「いそぎましょう横島さん」
横島は早速施設の壁をすり抜け、洋子ちゃんとタケルくんがまつ部屋に向った。
部屋ではクリスマスパーティならぬ読経会が行われていた。ケーキの代わりかお団子の御餅がテーブルに並べられ、一応パーティっぽい雰囲気にはなっている。一番上座には園長が座布団に正座し、何か説法をしているようだ。
「あ~、今日は12月24日、西洋の習慣ではクリスマスパーティなどというものが行われているようじゃが、惑わされてはいかん、あんなオカルトは・・・」
「すいませーん。サンタでーす」
横島はその声を割って、子供たちの前に躍り出た。薄く透き通った身体にサンタの衣装を身に纏っている。
あ、プレゼント持ってくるの忘れた。
そのときもう一人・・・・いや一匹の鹿らしきものが壁から通り抜けてきた。
「よこし・・・いやサンタさーん、荷物忘れてますよ」
トナカイの着ぐるみを着たオキヌちゃんが現れた。
園児たちに歓声が沸きあがる。
「すげー、いまどきのトナカイはおねーちゃんの格好なんだね。」
「園長さんの趣味なんだね」
「あのサンタ目つき悪くね」
口々に文句をいいながらも子供たちの目は輝いていた。横島は咳払いをしてプレゼントを取り出す。
「あ~、おっほん。サンタからプレゼントです。信じている子供にはサンタはプレゼントをもってきます。みんなこれで頑張れな」
少し涙ぐみながら、オキヌトナカイに目配せをし、壁を抜けて道に戻っていった。
「うおおー、悪霊退散! 悪霊退散! 壁抜けするサンタなんてどうすりゃいいんじゃー」
園長の神経の糸が一本切れてしまったようだ。
そこにインターホンの音、つづいて妙齢の女性の声。
「まいどー、美神除霊事務所です。悪霊が出たって通報があったのはここですかー? 今ならクリスマス料金で安くしときますよ。」
金の亡者が現れたようだ。園長の悲壮な声がつづく。
「金は払うからなんとかしてくれー」
「まいどー、お払いには松・竹・梅・あと全部コースがありまして」
「さて、これで当初の目的は終了した。後は厄珍との男の約束を守るのみ」
幽体離脱した身体の場所に戻った横島はどこからか取り出したカメラを手に(タイガーから借りた)、事務所へ向うべく、サンタの衣装を脱いだ。こんなこともあろうかと用意しておいた、事務所の壁と同じナンバーのスクリーントーンを貼った迷彩服に着替えている。
「あのー、横島さん、もういいんじゃないですか。お金なら私が来年のクリスマスまで働いて返しますし・・・」
「いや、それでは男の約束、ロマンが果たせん。オキヌちゃん、止めないでくれ!」
横島は幽体離脱したまま事務所にふわふわと飛んでいった。
「大丈夫かなあもうすぐ12時なんだけど」
事務所に向かいながら横島はあることに気づいていた。そもそもこの薬、オキヌちゃんがいるなら、使う必要がなかったことに。オキヌちゃんにサンタのミニスカ衣装を着せておけば済んでいたことを。
だがそれではこの厄得はなかったということにも。
「しかたない、しかたなかったんじゃー!」
事務所には美神さんの姿がない。当たり前だが美神玲子は施設に金稼ぎに行っている。
「おっかしーなー、美神さ~ん」
壁を抜けながら探しているうちに12時が近くなっていることに横島は気づいていなかった。
うっぎゃーーーーーーー。
事務所の外の道路から双眼鏡越しに見ている厄珍がため息をついた。駆けつけたオキヌちゃんと合流している。
「あ~、あのぼーずお約束通り、時間見てなかったあるね。あの声は壁の中で実体化したと思うね。相当気持ち悪いと思うあるが」
「横島さんは大丈夫なんですか!」
「だいじょうぶ、だいじょうぶ。あのボーズの霊力なら命に別状はないあるよ。ただ、壁抜け中に薬が切れて実体化したら、それこそ皮膚から内臓から肋骨から、全身を土壁で殴られるのと同じ痛みがあるから相当な精神的苦痛ある。やっぱりあの薬は売れないあるねえ。まあ実験体になってくれたあるから御代はいいあるよ。ぼーずに言っておいてあげるある。厄珍からのクリスマスプレゼント!」
「横島さんの身体は施設の傍にあるんですけど」
「じゃああの場所まで引きずられるあるね。途中にある壁やら電柱にぶつかったらその分痛みが増すからできるだけ実体と離れたところで時間切れは避けた方がいいあるけど、言い忘れたあるね」
「ひっどーい。」でもスケベな横島さんにはいい薬かも。
「嬢ちゃんも相当なワルあるね。レーコちゃんのとこにいると性格わるくなるし、あのボーズの影響で心の声が自然に口に出てるから気をつけるあるよ」
-了-
ありがとうございます。
聖闘士星矢懐かしいですね。