例:Aの土地を無権代理人Bが売却したが、その後、Aが死亡しBとCが共同相続した。
「Cが追認する場合、無権代理人Bは追認拒絶はできない。」・・・○か☓か?・・・(私的に????)
私の考えとしては、
「「できる/できない」以前にBにはそもそも追認拒絶権自体が無く、Cが追認する以上(Bによる判断を待つまでも無く)、当然に有効な売却として成立する」と考えます。
更に反対仮定を試みるならば、
「Cが追認拒絶する場合(Bによる判断を待つまでも無く)無権代理行為として扱われ、Bが単独で責任を負う。
・・・かのように、考えますが違いますでしょうか?
学問的には色々言われてはいますが、判例の立場は
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=56365
他の共同相続人全員が無権代理行為の追認をしている場合に【無権代理人が追認を拒絶することは信義則上許されないとしても、】他の共同相続人全員の追認がない限り、無権代理行為は、無権代理人の相続分に相当する部分においても、当然に有効となるものではない。
ただし、問題の事例はCが追認しているので、上の判例の傍論と言えます。上の判例では実際はG(問題のCに相当する人)は拒絶しています。
それからもう1つ、判例の場合はAを連帯保証人とする契約なのでCが拒絶したとしてもAの相続分(判例の場合は1/2)だけ責任を負わせることは可能だという余地はある(原審はそう)が、問題の場合は土地なので、土地の半分だけ売買ということになっても中途半端な広さの土地になるから違うじゃないかという余地がありますが、この点は土地の場合の方がむしろ判例の立場が合理的だと言えます。
なお判例の事例では無権代理人の責任を問うことは117条2項(相手側の過失)を論拠に原審で否定されています。
ですから、傍論部分を出したということになります。傍論にどれだかの意味があるのかという問題はありますが。
こちらの私の回答、民法改正関係
https://q.hatena.ne.jp/1643629253