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【人力検索かきつばた杯】

かきつばた杯を開催します。
http://d.hatena.ne.jp/keyword/%BF%CD%CE%CF%B8%A1%BA%F7%A4%AB%A4%AD%A4%C4%A4%D0%A4%BF%C7%D5

〆切は質問者の気分により前後しますが、大体次の月曜日の夜です。

お題:リクエスト
※こちら(http://q.hatena.ne.jp/1358905345)で応募のあったものが有効お題です。
要は、一般募集のアラカルトみたいな感じになってます。

講評は希望者のみ、記載の無い方には一言コメントします。
一言コメントも要らない人は要申告。

●質問者: グラ娘。
●カテゴリ:芸術・文化・歴史 ネタ・ジョーク
○ 状態 :終了
└ 回答数 : 4/4件

▽最新の回答へ

1 ● 琴木
●65ポイント

「出ろ。食事の時間だ。」
いつもの暗い部屋で、いつもとは違う命令をしたのは、いつも食事を運んでくる恰幅のいい男だ。今朝も、トーストとスープを運んできた。お前のおかげで、俺はこんな役ばかりだ、そんな愚痴を吐きながら。
「出していいわけ?今日はあんたんとこに来て二年目よ。」
「いいから出ろ!お前は俺たちのいう事に従えば……ぐっ」
自分が人を死に至らしめるのは簡単なことだ。今それが証明された、と、彼女は口角を上げた。急所を軽く右ストレート、これだけだ。この暗い、重力が地上の倍の部屋で、“武力抗争の末の人質”を演じながら只管殺人術を磨いてきた彼女にとっては、この巨漢でさえ赤子の手を捻るように“生”と“死”を操作できる。そうと分かれば、長居は無用。彼女は任侠ものによく出てくるような捨て台詞等は吐かない。彼女にそんな時間はない。
「もしもし。私よ。」
二年間、隠し持っていた携帯電話。まだ、息をしているようだ。出たのは自称彼女の右腕だ。
『お嬢ですか!さすが蒼龍団ボスのご息女です!期限ピッタリですね。』
「ノブ、あんたは一言多い。いいからボスに伝えんのよ。馬鹿のあんたでも覚えられるような短い文章。よく聞きな。」
『はい!』

「そうか……アイツは出たか。」
「はい、ボス……陰湿な玄武団との闘争の結果、自ら人質として名乗り出てから二年……心身ともに限界かと思われます。」
「アイツは生まれついての闇だな。」
二年前、冷戦状態にあった闇の組織、蒼龍団と玄武団の糸が切れた。双方引けを取らず、どうしたものかと会議をしていた蒼龍団の重役たちに、ボスの娘が言いだした。「自分が人質になる。その代わり、二年経ったら何としてでも出て、玄武を滅ぼす。」と。当時まだ十代の娘だったが、その知力体力技術は誰もが認めていたし、蒼龍ナンバーツーの提案に背くことはできなかった。
「あの時、どうしてボスは認めたのですか。お嬢の案を。」
「……死んだからだよ。」
「団員がですか?」
「まぁ、それもあるが……沖田爺、玄武へ行くぞ。直ちに総員結集。個々の仕事は、中断だ。俺は後から向かう。」
「は」
沖田はボスの側近の老人だ。娘のことも、ボスのことも生まれた時から知っており、ボスも信頼を置いている。そんな彼でも知らないことはある。人の心は、海より深いのだ。

「うわぁぁぁぁ!」
「開けろ。この先だろう?玄武のボスは。そして準備しているはずだ。蒼龍の娘が自分を殺りに来たことを。開けたら、命だけは助けてやるから。」
「は、はい……ぐっ。」
得意の右ストレートがさく裂した。ボスの扉を守る兵士が、こんな腑抜けでいいのだろうか。彼女はそう思いながら、体当たりで扉を開け、即座に壁に身を隠す。
「誰もいないよ。入りたまえ。」
口調からしか推測できないが、その温和な声と、修行によって鍛えられた感覚から、彼女はそれが本当だと信じた。中に入って飛び道具を使われたらそれで終わりだが、陰湿と言われる玄武でも、長はそんなことはしない。彼女はそれを知っている。
「命だけは助けてやるんじゃなかったのかな?」
「……天国で生きてるさ。第三の人生。」
「そうか、そうか。」椅子に座ったまま柔和な笑みを浮かべる玄武のボスは、手招きをした。こちらへ来い、という事だ。彼女はそれを受け入れる。そこに悪がないのを知っているからだ。
「どうだった、地下での生活は。」
「いい訓練になりました。私、意外と知っているんですよ。あんたは私の食」
「私も知っているんだよ。君は――本名・神部笑美。笑うと美しい、とかいて、エミだ。父親は蒼龍団ボス・神部芳実(よしみ)。母は」
「あなたのお命頂戴したい。」
「うむ、さすが、芳実の娘だ。笑美。」「その名を呼ばないでください……」

徳実伯父様。


「お嬢!お嬢はどこだぁ、お前ら、目ん玉出るぐらい細けぇとこまで……」
「ノブよ、そんな細いとこに、お嬢が入れると思うか。単細胞め。」
「そ、そうですね、沖田爺……」
ノブは沖田になだめなれ、深呼吸をした。文字通り深く、深く。ノブは笑美が生まれてからずっと傍にいた、いわばお世話係。いずれ笑美が蒼龍を継いで、自分が側近になって……気分は親のようになっている。それだけに、笑美の生還を誰よりも望んでいた。それは、愛とか恋とかの類ではない。
「ノブさん!沖田爺!」
「どうした?」
「それが……お嬢が……!」

笑美は倒れていた。玄武のボス・徳実も倒れていた。二人とも白く、笑美は口から血を吹いて、徳実は急所を抱え込むようにして、身動きすらしていなかった。
「お嬢!お嬢!」
「あるもんだな、闇の娘でも、情と言うものは。」
「ボス……」
「玄武のボスは、俺の兄貴だ。親父とお袋と兄貴は、俺を蒼龍において出て行った。俺が雪……女房とくっついたのが、嫌だったんだろうな。」
「懐かしい話です。」
芳実は笑美の冷たい頬をさすりながら、続けた。
「雪はこの世界にはいちゃいけねぇような人間だ。そんな雪を殺してよ、出ていったんだ。笑美が生まれてすぐのことだ。笑美はそれを、憎んでいた。」
「なんで……なんでお嬢が……!」
「毒だろう。玄武は笑美の食事に、少量の毒を入れてたんだ。雪を殺した時もそうだった。二年かけてじわじわ命を削る……だから、笑美は、自分が玄武に行ったらこうなることを予期していた。」
「それで二年待てと……自分も死んで、玄武も死ねば、蒼龍の独壇場。情のある、聡明なお嬢様です。この世界にいてはもったいない。」
「当たり前だろう。俺の娘だ。最期に……光を浴びせてやりたかったな。」
「ノブ、行くぞ。」
「お、沖田爺?!ちょ……お嬢―!!!」
「若造め、空気を読まんか。」

「笑美よ。ゆっくり休め。もう、戦いはするなよ。」
芳実は目からしずくをこぼす。久々だな、と自嘲して、横たわる徳実(あに)を見て、笑美(むすめ)の頬を撫でつづけた。


琴木さんのコメント
講評よろしくお願いします。

グラ娘。さんのコメント
筋立てはいいと思うんですけど、展開が早すぎたり、登場人物が多すぎて、ちょっととっちらかっているような気がします。 誰の台詞なのか、とか、何が起こっているのか? 等が伝わりきっていないかも。 一度読者目線から読み直して推敲すればよりより作品になるでしょう。

2 ● karaage2510
●0ポイント

むう


3 ●
●65ポイント ベストアンサー

2012/5/21

今日も通りを歩く学生の声がうるさくて、イライラしてベランダに出た。見下ろしてやろうと、見下してやろうと思っただけだ。俺の方が賢くて、俺の方が優れてるのにって。
何だか空がいつもより暗かった。近くのマンションのベランダに沢山の人が出ている。あの鬱陶しい、目障りな高層マンション。摩天楼の群れ、群れ、全部に人影が見える。部屋のテレビが騒がしい。ああそうか、今日は世紀の天体ショーというわけだ。部屋に戻って鞄を引っ繰り返せば、だいぶ前に受け取った観測用グラスがかたりと床に落っこちた。
庭には既にグラスを持った母さんが居た。朝から暇だなこの人は。仕事に遅れやしないだろうかと何だか俺が心配になる。本人は楽しそうに手を振ってる。この人自分の年分かってんのか…?
グラスを覗くと、確かに光は欠けていた。もう8割は喰われていた。そりゃあ暗く感じるわけだ。まあ、ちょっと曇ってるときよりは明るいけれど。見るのはすぐに飽きたから、テレビのカウントダウンが始まるまで引っ繰り返した鞄の中身を掃除する。お祭り騒ぎな画面の向こうには、「kiss & keepが生出演」とテロップが入り、ギターソロが流れ始めた。俺の中学の出身だとかで、周りの奴らは皆そのバンドのファンだった。
つまらない場所だ、学校は。低レベルな連中はつるんで騒いでサボってばっかり。教師はそういう奴を野放しにして気に入った生徒を贔屓してるんだ。俺みたいな中の上とか上の下あたりの生徒はテキトーに扱われる。案外俺みたいなのが海外に出たら先生に気に入られるんだよな、こっちの大人は見る目がねぇってこった。ああもう、高校入試なんて下らないモノも、全部全部、面倒臭い。
数学のプリントを拾ったら、裏の落書きが目に飛び込んできた。ふざけた誰かが落書きしたんだ、何か知らないがクオリティが高い落書きを。誰だっけ、ああ、幼馴染のあいつだったか。俺よりは頭の悪いあいつ。まだ、毎日インターホンを鳴らしてくるあいつ。俺が制服を着て、鞄を持って、いつも通り出てくるのを待ってるあいつ。……ハチ公かあいつは、彗太は。
描かれているのは錬成陣だ、漫画で見た、禁忌の錬成術の。中二心を擽られる、凝ったデザインのやつだ。頭の悪いあいつの好きそうな。
アナウンサーがテンションMAXで、カウントダウンを始めた。どいつもこいつも落ち着きがない。溜息を吐いて、ベランダに出てまた空を見上げる。光が一つのリングになるまで、あと
「5 4 3 2 1 …」

大きな音がしたような。

「そこで、月の影が地面に落ちて、山手線が錬成陣になって、地球人は滅ぶんだよ?怖いよね。賢者の石にされちゃうんだよ!」
母さん、頼むからいい歳して変な妄想しないで下さい。
高校の卒業式のあと、俺は彗太の家族と一緒に卒業祝い旅行にインドネシアに来ている。母さんが語った思い出話は、小説にはまっていた頃におんなじようなことを書いてばかりだった昔の俺を思い出させて、何だか複雑な気持ちにさせた。まあ、中二病だったころを笑うにはまだ時間が居るはずだ。……思い出話というか、半分以上フィクションだが。
そして何の因果か知らないが、今日は世紀の天体ショーだ。この日を狙って、勝手に行先を変えられたのかと思うと何だか複雑だったが、彗太は案外楽しみにしていたようで「俺まだグラス持ってるんだぜ」と傷だらけの観測用グラスを取り出した。残念だったな、俺も持ってるんだよ。まあ、やっぱり傷だらけなんだけど。大人たちがやけにはしゃいだ様子で、空を見上げ始める。通行人も、観光客も、老若男女皆一斉に。
「ほら始まるよ、5 4 3 2 1 …」

2016/3/9


京さんのコメント
しょうもないもんですいません。 お母さんの例の台詞は、うちの母が言ってたものです(笑) コメント頂ければそれだけで満足です。 ちょっと今余裕がないのでこんなのしかできませんでした; ほんとすみません。

グラ娘。さんのコメント
なんかいろいろ詰まってそう。 あいかわらずの文章力には定評があります。自然体なのがいいんでしょうか。 インドネシアにいったら、3年後には日食がみれるんですね。勉強になりました。

京さんのコメント
うあああBA有難う御座いますっっ いろいろ詰め込んじゃいましたが、結局日食の話なので何かもうそんな感じで。 自分でも読み返して訳分からんです、書いてる間も訳分からんかったです。 とりあえず、思春期の少年がこんな感じに悩んでたらそれだけで今日も御飯がおいしいです、コメントも訳分からんくてすいません、何だこれ……w

4 ● a-kuma3
●70ポイント

『Moon Light Serenade』



やあ、初めまして。

きみ、本が好きなようだね。
ぼくもさ。
本が無くては生きていけない ――― いや、大げさではなく、本当のことさ。ある意味、ね。
今日は、本について、面白いことをひとつ教えてあげよう。

「本の世界の住人」っていう言い回し、聞いたことあるかな。実はね、本当にあるんだよ、本の世界。もちろん、そこに住んでいる人たちもいる。それも、きみが思っているよりも、たくさん。
例えば、登場人物が少ない本ってあるじゃない。でも、その世界に住んでいるのは、名前を持っている人だけじゃなくて、名もない住人たちがたくさんいるんだ。ほら、ちょっと古い本だけど、満員電車の中で針を刺して殺しちゃうって推理小説があったじゃない。電車が満員になるくらいだからね。読むときに意識してないだけで、いっぱいいるんだよ。もう分かると思うけど、舞台になっている町に住んでる人とか、いっぱいいるんだ。

じゃあ、どんな本にでも町や国があって、そこに住んでる人たちも、必ずいっぱいいるか、っていうと、そうわけでもない。作者の筆力というか、創造力っていうのかな。それによってずいぶん違う。舞台が大都市なのに、妙に臨場感が無い本とか、読んだことないかい。あれは、本当に人がいないのさ。


きみたちのイメージとちょっと違うのは、いろいろな本を行ったり来たりしてるってことかな。頻繁にじゃないけどね。

別々の本でも、同じ世界を書いている本ってあるでしょ。シリーズものとか、ひとつの世界を舞台にいくつかのシリーズが書かれてるやつとか。ああいうのは、割りと行き来しやすいんだ。
それと、くっつけて置いてある本。表紙を乗り越えるのは、ちょっと大変だけど、時間をかければ大丈夫。それに、似たような本が隣り合ってることが多いから。他にも、いろいろな方法があるし、タイミングによって簡単にできるときがあったり、難しかったりすることもある。

え、主人公がいなくなってしまったら、困るだろうって。確かにそうだね。でも、そうなることは無いんじゃないかな。あの人たちは、ひとつの本に、強く縛られているみたいだからね。


もう、気が付いていると思うけど、ぼくも、その住人のひとりさ。そう、名もない住人のひとりだよ。

もうひとつ気が付かないかい。きみ、こんな本を読んでたっけ。ぼくが、本の中から、きみだけに話しかけているんだよ。

今夜は満月でしょ。月が魔力を持ってる、ってよく言うけど、本当なのさ。いや、魔力って言い方とは、ちょっと違うかな。不思議なことが起きやすいって言えば良いだろうか。どうも、こちらの世界と、外ととの距離が縮まるみたいなんだよ。
そう、こちらからもきみたちのことは見えているよ。本が好きな人や、熱心に読んでいる人は、こちらからも目立つんだよ。きみのこと、知っていたよ。ぼくの話していることが分かってるみたいだし、思ってた通り、きみとは相性が良いらしいや。
きみのところには、しばらくいるんだよ。こっちは、時間が流れるって感覚があまりないから、いつからって言われても困るんだけど、きみのお母さんが若いときのこと知ってるしね。
この本に ――― と言っても、今は分からないか ――― 移ってきたのはつい最近さ。うん、しばらくは、この本にいるよ。最初はどうかなと思ったんだけど、思ったほど居心地は悪くないし、何しろきみが熱心に読んでくれるのが良い。あの狼の神様のしゃべり方だけは、ちょっと慣れないな。ま、ほとんどしゃべることが無いから、関係ないんだけど。それに、すぐに本をひょいひょい移ると、影が薄くなっちゃうんだ。

最初に居た本は何かって。もう随分、長いこと本の中にいるからなあ。昔のことははっきりと覚えてないんだ。でも、まげを結っている人達に読まれていたことがあるから、四、五百年は本の中にいるはずだよ。
うん、歳を取るっていう感じは無いんだ。死ぬってことは、よく分からない。少なくとも、きみたちのとはずいぶん違う。よく、本の中で殺されちゃう人物がいるけど、実際に居なくなっちゃうわけじゃない。そうだな、きみたちの世界で言うとお芝居ってやつかな。殺されてる芝居をしてる、って感じが一番近いと思う。
食事をとる必要もないしね。読んでもらうことで、元気が出てくるって言うか、世界が明るくなるって言うか、そんな感じさ。
だから、みんな人気がある本に行きたがるよ。
本を書く人は、どんどん出てくるし、ベストセラーは毎年たくさん出るから、行先にはそれほど困らないさ。きみの兄弟や、お父さん、お母さんも、本が好きだもんね。ここは、とても居心地が良いよ。


ねえ、こっちの世界に来てみるかい?







まだ、ぼくの言ってることが分かるかな?
ああ、まだ分かるみたいだね。

ちぇっ、そろそろ出られると思ったんだけどなあ。きみとは相性が良さそうだから、入れ替われると思ったんだけど…… あ、そうか。お芝居を見たようなことを言っちゃったのが、まずかったのか。それで、気がついちゃったんだね。
きっと、明日になれば、ほとんど忘れているはずだけど、思い出そうとしちゃ駄目だぜ。どうやら、仕組みを理解していると、引きずり込まれやすくなるらしいんだ。ぼくがそうだったからね。

満月の夜の読書には、気を付けた方が良いよ。
じゃあね。
また、会えるのを楽しみにしているよ。



a-kuma3さんのコメント
やっと年が明けました(かきつばた的に)。 今年を占う意味でも、講評希望です。

グラ娘。さんのコメント
着想はgood。 文章もこなれていて読みやすい。よい作品です。 ちょっとふんわり終わっているのが、もったいないといえばもったいない。 怖さをアピールできたらよかったかも(目指す方向と違う?) よくまとまってお上手に書いてますが、突き抜けている感とか、どっぷりはまる感が少々足りてない感じです。 いや、面白い作品なんですけどね。
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