(1)貸借対照表
貸借対照表はモノとモノの交換記録なので、
1つの取引で生じた借方と貸方は同じ額になります。
2000円の商品を小切手で買ったら…。
借方 | 貸方 |
---|---|
商品2000円分 | 当座預金から2000円 |
崩した言葉を使うとこんな感じ。
借方 | 貸方 |
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手に入れたモノ (使うことのできるモノ:資産) | 手に入れるために使ったモノ (自腹:純資産と借り物:負債の合計) |
(2)損益計算書
手に入れたものも使ってしまえば資産は減ります…損。
手に入れたものを高く売れば儲かります・・・益。
損と益を計算するための書類が損益計算書です(そのままですね。すみません)
分け方としては、借方と貸方なので貸借対照表と同じように見えますが、
損をするタイミングと益を得るタイミングは必ずしも一緒ではないので左右で連携したりはせず、
記入は取引単位ではなく科目単位とします。左右の差額が利益となります。
借方 | 貸方 |
---|---|
仕入500円 | 売上1000円 |
給与200円 |
難しく考えず、簡単に考えましょう
現金が増えたら借方、減ったら貸方
これが大前提です
ここから考えて下さい
商品を仕入れました
代金は小切手(現金)で振り出しました
現金が減りました 貸方現金(当座)確定
では相手科目は商品を仕入れたので商品にしましょう
(借方)商品/(貸方)当座
商品を仕入れるための費用と考えるなら
相手科目は商品をやめて仕入にしましょう
こんなかんじ
簿記では取引1つに1つの仕訳が基本です
仕訳上で貸借対照表、損益計算書を意識する必要はありません
仕訳の科目が貸借対照表科目か損益計算書科目かということだけです
貸借対照表と損益計算書を別物として考えるとこんがらがると思います。
簿記のテキストに貸借対照表と損益計算書を縦につなげるとぴったり合うというようなことが書いてあると思います。本質的には、取引を貸借対照表(資産・負債・純資産)項目と損益計算書(収益・費用)項目を振り分けることが仕訳であり、複式簿記になります。
ご質問の件ですが、商品仕入のケースでは商品という「資産」が増加し、当座預金という「資産」が減少するということになります。商品勘定を使っているということは日商簿記4級か全商の初級などではないかと推察しますが、現時点では上記のような仕訳になります。
ただし、商品仕入を商品勘定ではなく「仕入勘定」を用いる場合は質問に記載されている形に近くなります。
即ち「仕入」という費用の増加とそれにともなう「当座」という資産の減少で
仕入 / 当座
という仕訳が発生します。
>(資産の項目で考えると増加なのでおかしいのは分かるのですが、費用で考えると借方になると思います。)このような仕分けは考えられますか?
仕訳は考え方ではありません。取引の事実を適切な勘定科目に充てることです。
因みに商品を購入するのは消費者でその場合は経費ですが、商売をする人は商品を仕入れるのです。その仕入れに当座預金からお金を出しているのです。そこに考え違いがありますね。
>そもそも貸借対照表と損益計算書はそれぞれに1つずつ仕分けが必要で、取引1つに対して貸借対照表用と損益計算書用の2つの仕分けが必要なのですか?
各表は商売の状況を見るためのものです。仕訳の事実に基づいて、切り口を変え、矛盾がないことを示すものです。それゆえに商法で記帳が義務付けらているのです。もし、取引ごとに仕訳を起こしていれば、齟齬が起きることは必至であり、逆に改ざんしても分からなくなってしまうでしょう。それでは本末転倒ですね。
複式簿記がなぜ有用なのかを復習してみましょう。
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仕訳なんですが、最初は、論理で考えてはダメなんです。
掛け算の九九と同じく、パターンとして覚えていくべきものです。
深く考えだすと、理解を妨げます。
ある程度、仕訳ができるようになってからでないと、理解できません。
要は、後付論理みたいなものだと考えてください。実際、仕訳が掛け算の九九のようにできるようになると、多くの人が理解して、ほかの人に説明できます。
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>そもそも貸借対照表と損益計算書はそれぞれに1つずつ仕分けが必要で、
>取引1つに対して貸借対照表用と損益計算書用の2つの仕分けが必要なのですか?
違います。
たんに1つの取引に対して、2つの側面があることを利用してるだけです。
2つの側面があるので、矛盾ある計上ができないということなんです。
物が売れれば、「物が移動して」、「お金が入ってくる」という原理を仕訳というルールで
書き表してるだけです。
現金 | 売上
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まずは、何も考えずに、仕訳の問題ができるようになることです。
簿記3級の試験とかなら、最初の方にある問題ですね。
その手の問題ばかりをして、仕訳がある程度間違えずにできるようになってからでないと
どんな説明をされても、理解をこれ以上進めるのは普通の人は無理です。
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仕訳で、いちいち、費用の増加とか考えているプロの人はいません。
またどちらかというと、勘定科目が資産なのか、費用なのかを覚えてるぐらいです。
最終的に、
貸借対照表、損益計算書を作るわけですけど、その時に勘定科目がどの項目なのかわからないと作業できないからという理由です。
このあたりも、実際に貸借対照表、損益計算書を作成できる段階になると
よくわかるようになります。
実際には、簿記3級レベルでは質問文を本当に理解できてる人はいません。
簿記2級レベルの人で、多くの人が質問文の意味を理解しています。
そういう概念的な要素があるので、焦らず地道に積み重ねるしかありません。