それを物語にしたものとして、ワイルドの「わがままな大男」や新美南吉の「花のき村と盗人たち」というのがあります。子供と出会い接することによって、愛すること、愛されることを思い出して、悪人が善の心を取り戻す話です。
南アフリカの映画「ツォツィ」も、黒人居住区のならず者が、カージャックした車に乗っていた赤ん坊の世話をすることによって、善に回心するという物語で、同じ系列に属するといえます。
他にもこのような、純粋な子供によって悪人が回心する物語があれば教えてください。
オスカー・ワイルド 「わがままな大男」
http://www.hyuki.com/trans/selfish.html
新美南吉 「花のき村と盗人たち」
http://www.aozora.gr.jp/cards/000121/files/630_21624.html
アニメや漫画はよくわかりませんでしたが、この話ならわかりそう。
ゴハーーーン
ぼくはアニメしか知りません。
この番組では、敵がいつの間にかいい人になってました。
手塚治虫の「空気の底」という短編集に「野郎と断崖」という話があります。
ある脱走犯が子連れの夫婦を人質にして、崖の途中にある洞窟に立てこもりました。
崖の上まで警官が追ってきましたが、夫婦を人質にしているので降りてきません。
脱走犯は、警官との交渉中に、はずみで夫婦を撃ち殺してしまいました。
残った赤ん坊は、そうとも知らずに天使のような笑顔を見せています。
囚人は自分の上着で赤ん坊をつつんで、こんなつもりじゃなかったとひとりごちます。
警官に「せめて赤ん坊のミルクをよこせ」などと叫びますが、警官は交渉に応じる気配がありません。
このままでは赤ん坊が飢え死にすると思った囚人は、
赤ん坊をだきかかえて崖をのぼりはじめますが、途中で足をすべらせて死ぬような大けがを負いました。
やっとの思いで上までたどりつくと、警官もパトカーもそこにはありません。
とおりがかった村人は「このあたりで事件なんて何十年もない」と言いました。
囚人は上着につつんだ赤ん坊を村人に手渡し、そのまま力尽きて死んでしまいます。
ここまでなら、質問の条件にあいそうですが、続きがありまして、
村人が上着をひらいてみると中はからっぽなんです。
警官に追われていたことも妄想なら、夫婦を撃ち殺したことも、赤ん坊がいたことも、
ぜんぶ脱走犯の妄想だったというオチがついてます。
http://tezukaosamu.net/jp/manga/112.html