法学部出身です。専攻は刑事政策でした。
①構成要件
強盗は被害者の反抗を抑圧する程度の暴行・脅迫で他人の財物を強取すること。
強盗致死罪・強盗殺人罪は強盗が強盗の機会に人を死亡させること。殺人の故意があれば強盗殺人罪になる。
強盗致傷罪・強盗傷人罪は強盗が強盗の機会に人を傷つけること。傷害の故意があれば強盗傷人罪になる。
強盗致死罪・強盗致傷罪の成立は広く強盗の機会に生じた致死傷で足りる。
強盗殺人罪の成立は広く強盗の機会に人を殺害すれば足りる。強盗の手段として殺人を利用することを要しない。
②条文
すべて刑法240条。刑法240条の『強盗』は刑法236条・238条・239条の『強盗』を指す。相違はない。
③法定刑
強盗致死罪と強盗殺人罪は死刑又は無期懲役。相違はない。
強盗致傷罪と強盗傷人罪は無期又は七年以上の懲役。相違はない。
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まず,結果的加重犯の中には,傷害罪のように,重い結果についての故意があるものと併せて規定されているものがあることを確認しておいてください。
その上で,240条には,重い結果(傷害・死亡)について故意がある場合も含まれるかが問題となりますが,重い結果について故意がある場合も含むとするのが判例・通説です。
さて,強盗致傷罪は,(あまり明確には言われていませんが,)広義・狭義の使い分けがされています。
広義には,傷害の故意の有無を問わず,240条前段が適用される類型の犯罪を指す場合に使われます。
狭義には,傷害結果について故意がない場合に限定する場合に使います。その際,故意がある場合については「強盗傷人罪」という用語を用います。
なぜ,このような使い分けをするかといえば,故意がある場合とない場合でわけて議論する必要があること,犯情において傷害の故意がある場合とない場合では自ずと軽重があるからです。
なお,強盗致傷罪(強盗致死罪)と強盗傷人罪(強盗殺人罪)を区別するのが,実務上の取り扱いと言われています。
そのため,新聞記事でも起訴罪名が「強盗殺人」なのか「強盗致死」なのかは,明確に区別されます。
強盗致死や強盗致傷は,結果的過重犯ですから,故意があっても,致死傷ではないのでしょうか?