レイ・ブラッドベリ『華氏451度』やウンベルト・エーコ『薔薇の名前』のような、書物が重要な役割を果たす「長編小説」で面白いものを教えてください。
ボルヘス『バベルの図書館』のような図書館をテーマにしたものも結構ですが、短編小説はだめ(村上春樹なら『海辺のカフカ』はいいですが、『図書館奇譚』はだめ)です。
よろしく御願いします。
海外小説をあまり読まないので上記二冊の感じが伝わり難いのですが、図書館をテーマにした作品ならこちら。今、注目の瀬尾まいこさんの作品。
ある本に興味のなかった国語教師が図書館で熱心に本を読みつづける少年に出会うことで本の面白さに目覚めていくという内容。
作者自身も中学校講師で、思わずこんな人が担任だったらどれだけいいだろうと思ってしまいます。
ありがとうございます。
逆に、わたしは日本の小説を読まないもので、こういう隠れた名作の紹介は助かります。
『華氏451度』は焚書が日常となった近未来の全体主義社会での書物を守る人々の話、『薔薇の名前』は、修道院のスクリプトリウム(写字室)を舞台に発生した奇怪な連続殺人事件の謎を解く話ですが、書物が非常に重要な役割を持ちます。
スティーヴン・ミルハウザー『エドウィン・マルハウス』
10才で傑作『まんが』(タイトルであってマンガではなく文章の物語です)をかいた天才エドウィン・マルハウスの伝記を、隣に住んでいた少年が書いたという設定の小説。『まんが』を書くまでのエドウィンの軌跡という面と、伝記のパロディという面、二つの面から楽しめますし、子どもを描いた小説としても楽しめます。
ブローティガン『愛のゆくえ』
主人公はさまざまな人が自由に書き上げた作品を受け取り、それを登録し保管するというちょっと変わった図書館で働いています。図書館がテーマ、とまでは言えないですけど。
ブローティガン好きですが、これは未読ですね。
『エドウィン・マルハウス』ー知りませんでした。
けっこう、この分野おくが深そうですね。
「憎しみの孤島から」
最近お気に入りの一冊です。女性編集者マリスのもとに送られてきた一編のプロローグ。それには聞いたこともない島の名前と、イニシャルだけが添えられていた…。
一編のプロローグから始まる復讐劇です。展開もスピーディで大変面白いです。上下巻という長さも全く気になりませんでした。この、文中に登場する「小説」も、ストーリーが進む中で少しずつ進んでいきます。その小説もまた面白いのでした。
「N.P」
97本の短編が収録された「N.P」…作者は自殺。そして作者だけでなく、その本の翻訳に携わった人間が次々と自殺していた。
↑ここだけ見ると、なんだか血生臭いような話ですが、物語はまるで静かな嵐のように、淡々と、しかし物凄いスピードで進みます。これもまた大好きな話です。
短編は結構思い浮かぶんですけどねー。
「パノラマ島奇談」とか。これが真っ先に思い浮かびましたがどう考えても短編…。
>短編は結構思い浮かぶんですけどねー
そうなんです。短編まで対象にすると収拾がつかない予感がしましたので((^^;;
あらがとうございます。どちらも未読です。
「はてしない物語」はあまりにも有名ですのでもうご存じかもしれませんね。
現実と異世界を結び、その本に書いてある物語がやがて主人公自身の元へと繋がってゆく。
「六の宮の姫君」は北村薫氏の「円紫さんと私」シリーズの連作のうち四作目です。
一作目「空飛ぶ馬」、二作目「夜の蝉」までは連作短編ですが、三作目の「秋の花」以降から長編になります。
日常のふとした謎を解くのがメインですが、どの作にもその時その時に主人公が読む沢山の様々な本に寄せられる心象がキーになったり、直接関わらなくても物語に奥行きを作っているようです。
ここで特にお薦めしたい「六の宮の姫君」は、同タイトルの芥川龍之介の作品について、大学の卒業論文を書こうとする主人公の「私」が思索を巡らせてゆく物語です。
ミステリであり文学論であり、「薔薇の名前」に印象が近いかも知れません。
「三月は深き暮れないの淵を」
一冊の幻の「三月は深き紅の淵を」という本をめぐる四連作なのですが……
すみません、この本を紹介するには、つい、逃げ腰になってしまいます。
ご質問で出されている条件を満たしているのは太鼓判なのですが、説明すればするほど、面白さを損なうようで気が気ではありません(笑)
卑怯な紹介の仕方ですが、bk1の書評等、ご覧になってみて下されば幸いです。
「三月は深き暮れないの淵を」ーネタバレしちゃうんですかね?これは、これで是非「お気に入りに」に加えておきます。
図書館警察―Four Past Midnight〈2〉 (文春文庫)
紀田順一郎『古本屋探偵の事件簿』は、古書店主が探偵となり、古書をめぐる推理小説です。
同じ著者の『第三閲覧室』は、図書室が舞台の推理小説です。古書に造詣の深い紀田氏ならではの作品です。
スティ−ヴン・キングの『図書館警察』は、本を返却
することを忘れたために出会う恐ろしいお話。ホラーサスペンスです。
うわー、紀田順一郎先生ですね。『誰が本を殺したか』の20年以上前に『読書戦争』という出版界が作家を使い潰す傾向に警鐘を鳴らされていたらしいですね。
>スティ−ヴン・キングの『図書館警察』は、本を返却することを忘れたために出会う恐ろしいお話
これは図書館利用者としてはこわい{{{{( ▽|||)}}}}。
「はてしない物語」
ファンタジーの定番中の定番なので御紹介するまでもないかな?とも思いますが。
物語内の書物と同じ装丁を施された岩波書店の単行本をお勧めします。
「アラビアの夜の種族」
戦争に勝つための方策として「本」を武器に使うのですが、実はその本は存在せず、作られて・・・。
小説内の「本」に書かれる物語はアラビアンナイト風のファンタジーです。小説そのものにもだまされますが、気を抜いてあとがきにだまされませぬように。
「魔女の鉄鎚」
上記2つには面白さの点で見劣りするのでおまけに。
希覯本をめぐるサスペンスです(同名の有名な本がありますが、これはその本を題材とした小説です)。こういう題材は好き嫌いがあると思います(お好みでなかったら申し訳ない)。
>希覯本をめぐるサスペンス
も面白そうですし、「アラビアの夜の種族」も仕掛けばっちりのような。
「はてしない物語」は、もう別格ですよね。
リチャードバックの「イリュージョン」。「救世主入門」という本が登場します。結末がええーっ?って感じですが、僕は好きです。村上龍の訳はいまいちかな。
(bk1には登録がありませんでした)
リチャードバックって「かもめのジョナサン」ですよね。
Amazonの書評を読んでいたら、がぜん読みたくなりました。
http://www.tsogen.co.jp/wadai/0306_05.html
東京創元社|第三閲覧室(紀田順一郎)
紀田順一郎氏の古書ミステリーです。
『第三閲覧室』は大学図書館を舞台にして古書店主が殺人事件の謎を解き
明かしていきます。稀覯本、古書の蘊蓄も盛り込まれています。
『古書収集十番勝負』は、神保町で営む古書店の跡継ぎを選ぶのに稀覯本
十冊を収集することで勝負する物語です。
『古書収集十番勝負』ー面白そうですね。
最近はネットで古書も買ってしまうことが多いですが、ほんとの掘り出し物って、ネットの目録に記載されてなくて、店頭にぽん、と置いてある場合もあるんですよね。
たまには神保町にも行かなくちゃ。
http://ww21.tiki.ne.jp/~shoco/
ドグラ・マグラによっていかんね!
すごいです。世界的な水準を超えてます。世界に誇れる奇書です。
http://www.isis.ne.jp/mnn/senya/senya0400.html
松岡正剛の千夜千冊『ドグラ・マグラ』夢野久作
(松岡正剛のページから)
未読です。
松岡正剛氏のページを読んだら、読みたくなりました。作者の履歴がわかっているでは、『家畜人ヤプー』のように欲求不満(いったい、このけったいなはなあいを書いたのはだれなんじゃー、という)にはならなくてすみそうですね。
「ななつのこ」
主人公が『ななつのこ』を読み、作者にファンレターを送ります。作品の感想に身近で起こった事件を添えて。すると作者からその謎の答えが返ってくる…という話です。
作中の「ななつのこ」と合わせて一度に二冊の本を読んでいる気分になります。
短編の連作になるんでしょうか。でも大きな流れがあって、最後の謎解きに向かってるので長編ということで…(苦しいでしょうか)
優しいミステリーです。
「ジョーカー―旧約探偵神話」(ノベルスタイトル)
優しくないミステリーです(ありとあらゆる意味で)
推理小説家が集まって合宿をしている最中に登場人物の一人が書いた話どおりに事件が起こっていく話です。
とても読むのに忍耐と根性がいります。
どちらも未読。『ななつのこ』は聞いたことのあるような?
書簡体の小説もあるから、良し、ということにしましょうU\(●~▽~●)/
http://www.asahi-net.or.jp/~rh7r-oosw/libsf.html
Libraries in SF:図書館が出てくるSFリスト
泥棒は図書室で推理する―泥棒バーニイ・シリーズ (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)
『光車よ 回れ!』随分以前に読んだため、それが重要な役割を果たしたかといわれると記憶がさだかでないのですが、図書館がでてくるのは間違いないです。作品自体はとてもおもしろいです。ダーク・ファンタジーの傑作。長らく絶版でしたが、昨年復刊しました。
『泥棒は図書室で推理する』主人公は元(ということになっているが現役の)泥棒で、古書店を経営しています。気楽に読める楽しいシリーズ。ミステリがお好きでしたらご存じかしら。
*おまけ*
未読ですが、おもしろそうな本なので。『まだ名前のない小さな本』と『小さな本の数奇な運命(シリーズ愛書・探書・蔵書)』ISBN4-7949-2661-8の2冊。どちらも晶文社の本。
参考URLはたまたま見つけたので。
うわー、参考URLでSF関係は、ほとんど満たされてしまいますね。
よくよく考えたら、アシモフのファウンデーション・シリーズ初期三部作は百科事典を作る、という目的の「情報ライブラリ」の植民星が舞台でしたね。
「ミザリー」
映画化もされたのでご存知だとは思いますが、流行作家が熱狂的なファンに監禁されて小説を書かされる話です。
この作品にはキングのホラー要素以外の実験的な所がよく出ていると思います。
「本を読む女」
こちらはそのものずばりなタイトルです。
戦争前後の激動の時代を本を支えに生きた主人公の物語です。結構今の本読みと相通じる部分があると思います。
これってドラマ化されたけどどれくらいメジャーなんだろう?2作品とも既読だったら申し訳ないです。
いえいえ、読んでおりません。どちらかというと、翻訳もの好みなのですが、SFに偏っていて。
最近、ミステリに目覚めました(☆Д☆)
「え? どうしてコレがないの?」と思わず口走ってしまった。まだ開いてない回答にすでにあったら、ごめんなさい☆
泡坂妻夫『11枚のとらんぷ』。マジック・ショー会場から抜け出した、ある女性の死。その死体の周囲には、
マジック好きの男が自費出版した奇術小説集『11枚のとらんぷ』に出てくる小道具が、こわされ、意味ありげにならべられていた・・。
泡坂氏の長編では『乱れからくり』と双璧をなす、大傑作と思います。トリック殺人にありがちな「動機がない、あるいは無意味」ってこともない、納得ゆく動機です。友人いわく「劇中劇としても、いままで読んだ中で最高傑作」。
未読でしたら、ぜひおすすめ! ただし徹夜は覚悟でね(^_-)−☆
ひゃー、紹介のコメントを見ただけで、面白そう。これは「お気に入り」リスト入りでなく、すぐさま注文でーす。
上の二つを思い出しました。
11枚のとらんぷは作中作の形をとっています。
詳しく言うとネタばれになってしまうのですが、(一応推理小説なので)これは条件を満たすと思います。
推理と手品が好きならぜひお勧めします。
どちらも名作なんですね〜
質問を立ててから、jujuntaさんの過去質問に気が付きましたhttp://bk1.hatena.ne.jp/1094022610
でも、あまりかぶらなかったのは皆さんさすがです。
楽しませていただきました。図書館が出てくるSFリストを教えていただいたchibitさんには多めにポイント配分いたします。
これで終わります。
ありゃ、例に挙げなかったこちらの盲点でした。
たしかに、代表的な図書館を扱った小説ですよね。
個人的には、新装版より昔の装丁の方が好きです(直接、関係ないコメントですみません)。