ご指摘の広告は、八十二銀行元頭取茅野實氏が信濃毎日新聞の15日朝刊に掲載した広告で、正確には「意見広告 県民の皆さんへ 鳴り止まぬ「目覚まし時計」をもう止めましょう」のことかと思います。
選挙運動は、陸上競技のフライングが禁じられているのと同じで、選挙がスタートしていない時点で事実上の選挙運動をすれば法律上禁止されている「事前運動」(公選法129条)となります。
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S25/S25HO100.html
(選挙運動の期間)
第百二十九条 選挙運動は、各選挙につき、それぞれ第八十六条第一項から第三項まで若しくは第八項の規定による候補者の届出、第八十六条の二第一項の規定による衆議院名簿の届出、第八十六条の三第一項の規定による参議院名簿の届出(同条第二項において準用する第八十六条の二第九項前段の規定による届出に係る候補者については、当該届出)又は第八十六条の四第一項、第二項、第五項、第六項若しくは第八項の規定による公職の候補者の届出のあつた日から当該選挙の期日の前日まででなければ、することができない。
違反すると一年以下の禁錮又は三十万円以下の罰金となります。
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S25/S25HO100.html
(事前運動、教育者の地位利用、戸別訪問等の制限違反)
第二百三十九条 次の各号の一に該当する者は、一年以下の禁錮又は三十万円以下の罰金に処する。
一 第百二十九条、第百三十七条、第百三十七条の二又は第百三十七条の三の規定に違反して選挙運動をした者
二 第百三十四条の規定による命令に従わない者
三 第百三十八条の規定に違反して戸別訪問をした者
四 第百三十八条の二の規定に違反して署名運動をした者
問題は、「意見広告 県民の皆さんへ」が公選法上の「選挙運動」なのかどうか、という点です。
「選挙運動」とはそもそも何か。
自治省選挙部の法解釈によれば、次の要件を満たす行為が「選挙運動」となります。(「衆議院選挙の手引・自治省選挙編」ぎょうせい出版)
1 特定の選挙において
2 特定の候補者の当選を得又は得しめるために
3 選挙人に働きかける行為
特定の候補者の落選を呼びかける行為は、「特定の候補者に投票を得又は得しめるための行為」でないから、選挙運動でないという解釈があります。
一方、落選を呼びかける行為は対抗する候補を当選させることになると反対解釈をすれば、特定の候補者の落選を呼びかける行為は「特定の候補者に投票を得又は得しめるための行為」であるという解釈も成立します。
前述の自治省(総務省)の解釈は以下の通りです。
問:反対候補者に投票しないようにと選挙人に働きかける行為は、選挙運動か。
答:反対候補者に投票させないことによって特定候補者の当選を図る目的があれば、選挙運動となる。
問:立候補勧誘行為又は立候補を中止させる行為は、選挙運動となるか。
答:いずれも選挙運動とはならない。ただし、特定候補者の当選を図る目的をもって他の者の立候補を中止せしめる行為は、選挙運動となる。
また別な出版物(「選挙関係実例判例集」(自治省選挙部編/第15次改訂版))でも以下のように示されています。
問:反対党に投票しないようにする行為は選挙運動なりや。
答:反対党に投票させないためだけの目的であれば選挙運動とならない。蓋し選挙運動となるためには、特定の候補者のために投票を得る目的の下になされたことがを要するからである。従って反対党に投票させないことが引いて自分の属する党に投票せしめる目的であるときは選挙運動となる。
「意見広告 県民の皆さんへ」という広告によって、別な特定候補者を当選される結果となるか、あるいはそういう結果を期待する意図が客観的に認識できる場合は、公選法上の「選挙運動」となり、事前選挙禁止規定により処罰を受けることになります。
「意見広告 県民の皆さんへ」という広告にはこう書いてあります。
県職員が意欲を持って県政改革にあたれるような知事を要望するします。《略》過去の時代に戻すことなく改革を進めるには、組織を動かして改革を実行するリーダーが必要です。
この文面を読む限りでは、どのようなリーダーがふさわしいかという政治的見解は書いてありますが、特定候補者を当選される意図は感じられません。
しかし、広告の文面以外の場で、茅野實氏が、たとえば誰から「次の選挙では○○さんを応援してくれ。知事と縁を切る意見広告も出す」などと特定候補者を当選される意図を誰かに示していたような場合は、特定候補者を当選される意図があって広告を出したことになりますから、その場合は公職選挙法違反と判断される場合もあります。
結論としては、広告の文面だけを見る限り選挙法違反であるようには見えないが、それ以外の茅野實氏の言動をよく調査しなければ違反していないとも違反しているともなんともいえない、ということになろうかと思われます。
http://www.houko.com/00/01/S25/100B.HTM#148
これは原則的に表現の自由に含まれる行為であり、
虚偽の事項を記載し、または事実を歪曲して記載する等の
選挙の公正を阻害する行為があれば別問題ですが、
そうでなければ公職選挙法の規制する行為には当たりません。
もちろん新聞社を買収して恣意的な報道を行わせれば
選挙法第148条の2に反することになりますが、
正当な契約をもってなされる意見広告はこれに含まれませんから、
広告を出すことは合法ですし、それを掲載する新聞社もまた合法です。
いかにも金持ちが金の力に物を言わせて
政治に介入するといった印象の、
あまりいい感じのものではなかったとは思いますが、
選挙期間外のこうした意見広告を含めた論評活動は、
選挙の公正を害さないものである限りにおいて、
憲法上の表現の自由の範囲に入ります。
ありがとうございます。茅野實さんも信濃毎日新聞も法的に触れないと判断したのでしょうね。しかし県民感情を逆撫でする結果になってしまったにたいですね。
http://www.webtv.sangiin.go.jp
田中 康夫 県知事 は、よく時代の流れを、解釈し、ボランティアみたいなパワーがあったと、記憶しています。レッドカードが、県民の意見かどうかというのは、県民でないので、断言しませんが、そういう人は、かなり居ると思います。理由は、邪魔をしているからと思います。私は、他県ですので、無責任も入りますが、レッドカードを出した人と、田中 康夫 県知事 が どちらが、県民のためになるか、流行の言葉で言えば、フィフティフィフティなのでは・・・
公職選挙法といいますが、取り締まる側が完全には、把握してなく、むしろ、フライングでもしなければいけないという。むしろ、田中県知事が使った手法に近いものを感じます。逮捕ができる状態というのは、法治国家ですので、法に違反していればできます。
ただ、それは、正しいと言い切るには、あまりにも、法を造る人、執行する人が、本質を理解していなく、またしていても、生活のためにしていることではないのかという思いにたどり着きます。
嫌いではないけど、田中 康夫 県知事 は、やはり、マスコミをうまく利用して、少数意見を大きくしたが、その後は、どうしていいか、分からないという、、これからの人でないでしょうか。ただ、それであるならば、年をとり過ぎている。
ありがとうございます。ただ、書いてある内容が難しくて良く判りません^^。改めてお願いします。
ご指摘の広告は、八十二銀行元頭取茅野實氏が信濃毎日新聞の15日朝刊に掲載した広告で、正確には「意見広告 県民の皆さんへ 鳴り止まぬ「目覚まし時計」をもう止めましょう」のことかと思います。
選挙運動は、陸上競技のフライングが禁じられているのと同じで、選挙がスタートしていない時点で事実上の選挙運動をすれば法律上禁止されている「事前運動」(公選法129条)となります。
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S25/S25HO100.html
(選挙運動の期間)
第百二十九条 選挙運動は、各選挙につき、それぞれ第八十六条第一項から第三項まで若しくは第八項の規定による候補者の届出、第八十六条の二第一項の規定による衆議院名簿の届出、第八十六条の三第一項の規定による参議院名簿の届出(同条第二項において準用する第八十六条の二第九項前段の規定による届出に係る候補者については、当該届出)又は第八十六条の四第一項、第二項、第五項、第六項若しくは第八項の規定による公職の候補者の届出のあつた日から当該選挙の期日の前日まででなければ、することができない。
違反すると一年以下の禁錮又は三十万円以下の罰金となります。
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S25/S25HO100.html
(事前運動、教育者の地位利用、戸別訪問等の制限違反)
第二百三十九条 次の各号の一に該当する者は、一年以下の禁錮又は三十万円以下の罰金に処する。
一 第百二十九条、第百三十七条、第百三十七条の二又は第百三十七条の三の規定に違反して選挙運動をした者
二 第百三十四条の規定による命令に従わない者
三 第百三十八条の規定に違反して戸別訪問をした者
四 第百三十八条の二の規定に違反して署名運動をした者
問題は、「意見広告 県民の皆さんへ」が公選法上の「選挙運動」なのかどうか、という点です。
「選挙運動」とはそもそも何か。
自治省選挙部の法解釈によれば、次の要件を満たす行為が「選挙運動」となります。(「衆議院選挙の手引・自治省選挙編」ぎょうせい出版)
1 特定の選挙において
2 特定の候補者の当選を得又は得しめるために
3 選挙人に働きかける行為
特定の候補者の落選を呼びかける行為は、「特定の候補者に投票を得又は得しめるための行為」でないから、選挙運動でないという解釈があります。
一方、落選を呼びかける行為は対抗する候補を当選させることになると反対解釈をすれば、特定の候補者の落選を呼びかける行為は「特定の候補者に投票を得又は得しめるための行為」であるという解釈も成立します。
前述の自治省(総務省)の解釈は以下の通りです。
問:反対候補者に投票しないようにと選挙人に働きかける行為は、選挙運動か。
答:反対候補者に投票させないことによって特定候補者の当選を図る目的があれば、選挙運動となる。
問:立候補勧誘行為又は立候補を中止させる行為は、選挙運動となるか。
答:いずれも選挙運動とはならない。ただし、特定候補者の当選を図る目的をもって他の者の立候補を中止せしめる行為は、選挙運動となる。
また別な出版物(「選挙関係実例判例集」(自治省選挙部編/第15次改訂版))でも以下のように示されています。
問:反対党に投票しないようにする行為は選挙運動なりや。
答:反対党に投票させないためだけの目的であれば選挙運動とならない。蓋し選挙運動となるためには、特定の候補者のために投票を得る目的の下になされたことがを要するからである。従って反対党に投票させないことが引いて自分の属する党に投票せしめる目的であるときは選挙運動となる。
「意見広告 県民の皆さんへ」という広告によって、別な特定候補者を当選される結果となるか、あるいはそういう結果を期待する意図が客観的に認識できる場合は、公選法上の「選挙運動」となり、事前選挙禁止規定により処罰を受けることになります。
「意見広告 県民の皆さんへ」という広告にはこう書いてあります。
県職員が意欲を持って県政改革にあたれるような知事を要望するします。《略》過去の時代に戻すことなく改革を進めるには、組織を動かして改革を実行するリーダーが必要です。
この文面を読む限りでは、どのようなリーダーがふさわしいかという政治的見解は書いてありますが、特定候補者を当選される意図は感じられません。
しかし、広告の文面以外の場で、茅野實氏が、たとえば誰から「次の選挙では○○さんを応援してくれ。知事と縁を切る意見広告も出す」などと特定候補者を当選される意図を誰かに示していたような場合は、特定候補者を当選される意図があって広告を出したことになりますから、その場合は公職選挙法違反と判断される場合もあります。
結論としては、広告の文面だけを見る限り選挙法違反であるようには見えないが、それ以外の茅野實氏の言動をよく調査しなければ違反していないとも違反しているともなんともいえない、ということになろうかと思われます。
ありがとうございます。するどい!
ありがとうございます。
ありがとうございます。するどい!