抗体を作りにくいたんぱく質のポリクロを作る時に、

何故、アジュバンドを添加すると、そのタンパクに対する抗体も出来やすくなるのでしょうか?
(アジュバンドに対する抗体が出来るのならまだしも)
分子機構的に教えて下さい。

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  • 終了:2006/08/07 22:25:02
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回答5件)

id:crisis-christ No.1

回答回数85ベストアンサー獲得回数6

ポイント20pt

免疫系が大きく分けて獲得免疫と自然免疫とに分類されることはご存知かと思いますが、これらは互いに独立したものではなく、密にクロストークしているものです。アジュバントは古くから免疫賦活剤として用いられてきましたが、その免疫活性化の分子機構が明らかとなってきたのはそれほど昔のことではありません。


最近のレビューとしては、下記のものなどがよくまとまっていて、参考になるかと思います。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?db=pubmed&cmd=...

id:match7

ありがとうございます。

が、一社会人の僕には、趣味のためにこの文献をゲッツすることは出来ません。

それに単なる好奇心のためにレビューを読むのも面倒くさいし。

(と思って、はてなで聞いてるところもあります)

このレビューを読むだけど、TLRとか書いてあるから、

NF-kBとか、インターロイキンの下流みたいなシグナルが働くと抗体を作りやすくなる??

その辺の仕組みをもうちょっと教えて下さい。

ってか、日本語で誰か概略、味噌だけを教えてくれませんか?

(もしくはそういうページへのリンク)

2006/07/31 23:56:56
id:p243 No.2

回答回数142ベストアンサー獲得回数6

ポイント20pt

http://medical.tanabe.co.jp/public/science/04/2004_6_18/sci_...

Promotion of B Cell Immune Responses via an Alum-Induced Myeloid Cell Population

ミョウバンによって誘導される骨髄(性)細胞集団を介したB細胞免疫応答の促進

ナイーブB細胞は、サイトカインであるインターロイキン4(IL-4)または抗原、もしくはその両者と接触することによって「プライミング(いつでも開始できる)」状態になり、次いで主要組織適合遺伝子複合体クラスII分子が凝集して、カルシウムイオンの動員と細胞増殖が惹起される。しかし、このプライミングが免疫応答にとってどれほど重要であるか、生体内において通常どのようにして誘導されるか、は明らかでない。今回われわれは、アジュバントとしてひろく用いられているミョウバンをマウスに投与すると、脾臓B細胞のプライミングが起き、さらにこれまで知られていなかったIL-4を産生するGr1陽性の細胞集団が脾臓内に集積する現象を認めた。この細胞集団とIL-4はいずれも、最適な抗体産生、生体内におけるプライミング、抗原特異的なB細胞の増殖に必要であった。この研究から、液性免疫応答の発生において、骨髄のアクセサリー細胞集団の重要な役割が明らかになった。

上記はアメリカ科学雑誌サイエンスの日本語版サマリーの引用です。

アジュバンドは免疫賦活作用を示すものの総称でいろいろなメカニズムがあるように思えます。抗体産生のためのシステムを増強するものと考えられます。すなわちB細胞の誘導です。このB細胞の誘導にはIL-4が関与していて、さらにあたらにそれに関する細胞集団が見つかったというのが上記の報告です。

ヒトなどの免疫のシステムは非常に複雑でうまくできていて、いろいろなことが原因で炎症が起こります。炎症は免疫系の細胞が活性化し、その場所に集まってくるような現象です。炎症の原因として、何かの感染、異物、予期せぬ細胞の死(特にネクローシス)が挙げられます。こういうところにはマクロファージなどがいち早く察知して集まり活性化します。マクロファージは壊れた組織、異物などを取り込み、掃除をしながら、取り込んだものを細胞の表面に提示します。提示された物はT-細胞によって何が提示されているか確認され、ヘルパーT細胞を介してB細胞が活性化されるわけです。樹状細胞もマクロファージと同じような働きをします。

さてもう一度アジュバントの役割を振り返ってみましょう。結核菌やそのほかバクテリアの死骸をアジュバントとしてよく使います。これらは、免疫反応を促進します。特にリポ多糖(LPS)などは免疫系を刺激、活性化します。マクロファージの活性化、分裂促進。B細胞分裂促進などです。細胞内ではNFkappaBなどが活性化されそれによって、細胞分裂と活性化のシグナルが核に伝わるようです。特にB細胞のマイトージェン(分裂促進因子)はアジュバントとしての作用があるといえるでしょう。ヒトなどの免疫はこういったバクテリア由来の物質をいち早く感知できるようになっているともいえます。

ミョウバンなどは分裂にどこまでかかわっているか分かりませんが脾臓B細胞のプライミング(ready to goの状態)になると最初に紹介いたしました。

もう一つのアジュバントの役割は、抗原が組織に長くとどまるようにするということです。これは直接免疫システムには関係ありません。

そのほかある種微細な粒子はアジュバントとしての作用が強くアレルギーの原因となるようですが、きりがありませんので言及しません。

ある意味詳しくて分かりにくいサイトですが、下のような物が見つかりましたので張っときます。

http://hobab.fc2web.com/sub4-helper_T_lymphocyte.htm

id:gasto No.3

回答回数40ベストアンサー獲得回数1

ポイント20pt

この質問は実はなぜ自己を攻撃する抗体が作られないか、というのとほぼ同一の質問で、免疫系がどういう分子メカニズムでに自己と非自己を認識しているかという質問と同一と思われます。

上記の回答は厳密に言えば正確ではありません。TLR等自然免疫系の知見は確かにこの4〜5年に急速に研究が進みましたが、いわゆる獲得免疫系の知見は新たな発見は年々されていますが基本的概念はここ10年変わっていません。この質問にありますT細胞を介した免疫反応の知見は

http://www.nikkei-bookdirect.com/science/item.php?did=51110&...

で既に概略されています(もう11年前の本です)。残念ながら現在手に入らないようですので

http://hobab.fc2web.com/sub4-helper_T_lymphocyte.htm

のページにを参照すればほぼ正確な記述があります。

具体的な抗体産生メカニズムですが、タンパク質ならばT細胞の関与が必要ですので(リポ多糖類等ならばT細胞は必要ない)まず抗原提示細胞(樹状細胞、マクロファージ)がT細胞に抗原を提示します。これによってT細胞が活性化し増殖します。このT細胞がB細胞を刺激し増殖成熟させ、抗体生成を行わせます。

ここでポイントなのがT細胞への抗原提示の段階で、抗原提示細胞からT細胞へは二つのシグナルが伝達されます。一つはT細胞受容体を介したシグナルでこれが抗原を提示し、抗原特異的なT細胞の活性化を促します。もう一つが補助刺激シグナルでこれは、抗原提示細胞が活性化していないと伝達されません。

ここで抗原提示細胞である樹状細胞やマクロファージはが活性化するためにはこれらの細胞がタンパク質を異物として認識しなければなりませんが、生成されたタンパク質や生体内のタンパク質は基本的にはこれらの細胞には異物として認識されません。そこで、これらの細胞を活性化するために同時にアジュバントを混ぜることによってこれらの活性化を促しかつ、抗原としてのタンパク質を異物として認識させるわけです。これによって抗原提示細胞が活性化し、T細胞へ二つのシグナルが伝達されT細胞が活性化し、そのT細胞によって刺激されたB細胞が活性化されて抗体産生が行われるわけです。

細かい分子名は省きましたので

http://www.med.kindai.ac.jp/immuno/wakaru.htm

http://www.biken.osaka-u.ac.jp/biken/mol-imm/cd40.htm

http://plaza.umin.ac.jp/~histsite/antigen.pdf (pdfです)

等をご参考下さい。

本当は

http://www.amazon.co.jp/gp/product/1416023895/250-2192757-94...

http://www.amazon.co.jp/gp/product/4274201473/250-2192757-94...

を読まれると、もっときっちりした説明が書かれていますが、1万円ぐらいしますので仕事でもないと買えないですね。

長文多謝

id:p243 No.4

回答回数142ベストアンサー獲得回数6

ポイント20pt

読み返してみてこれだけでは分かりにくいかなと思いましたので追加いたします。アジュバントの役割を例えばなしでします。例えば防災システムとして、消防署があって、火事にかけつけて消火したり、その時その火事に巻き込まれて入る人が見つかれば救急車を呼んで、救急車は病院と連絡を取りながらスムーズに病院で手当が受けれるようにという効率的な物があったとします。でも、火事が起こってもだれも火事だと騒がなかったら、消防署に連絡が行かなかったらこのシステムは機能しません。

つまり、侵入してきた物に対して抗体を作る優れたメカニズムがあっても、それを活性化するシステムがないと効率よく抗体を作ることができないわけです。そういう意味でバクテリアがもつLPSなど病原菌になりそうな菌が持つ物質などに敏感に反応することによって抗体を作るメカニズムを有効に使えるようになっています。

したがって、実験で欲しい抗体を得るには抗原だけでなく、何者かが侵入して病気を起こそうとしているというシグナルを同時に出すようにするのが、アジュバントの役割という事になります。なかにはミョウバンみたいな、生体内の免疫反応と関係ないものもアジュバントとして挙げられますが、それも人為的ですが抗体を作るメカニズムを活性化したり助けたりしています。

こんなサイトがありました。

http://www.kdcnet.ac.jp/rinsyo/naika/doc8.htm

id:gasto No.5

回答回数40ベストアンサー獲得回数1

ポイント20pt

ポイントは結構です。

不正確と書いたのは1番目の方の回答ですので悪しからず。

実際に使われているアジュバントの説明書がありましたので貼っておきます。

http://www.technochemical.com/pierce/antibody/adjuvant/adjuv...

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