残業をさせないというポリシーを会社側が持っている場合、「三六協定」は結ばなくてもよいのでしょうか。
現在、ソフトウエア開発のベンチャー企業(設立3年目)でCFOをしております。ここ半年で社員が急増し、20名を突破したので、「就業規則」をつくっている最中です。当社では、社員に定時で帰ることを推奨しており、これまで、残業料を請求されたことはありません。社員が自主的に深夜まで働くことは時々見受けられますが、その代わり、翌日は、遅刻しても、休んでもかまわないという社風です。結果を出せば、就業時間は問わないので、実質的に裁量労働制を採用しているともいえます。
また、当社は東証マザーズへの上場を目指しているのですが、上場審査の過程で、「三六協定」を結んでいないことが問題になるでしょうか。
http://www.houko.com/00/01/S22/049.HTM#s4
そもそもの基本はレーニン提唱、また後の国際条約であるILO条約に基づいて週40時間以上の労働を禁じている32条です。
ただし、経済団体の猛烈な反対により、ILO条約は未批准、36条において32条を骨抜きにしています。
で、現実に40時間以上の労働を全く命じないのなら
(命令がなくとも業務に付随して必然的に残業する場合も含む)
36協定は不要です。
また、明確な時間拘束をしないのなら、労使協定を結び、労基署へ届け出る事によって専門業務型裁量労働制とする事により、残業時間などの考慮は不要になります。
ただし、ここで定めるみなし労働時間が1日8時間や週40時間を超える場合は、36協定と共に別計算の賃金支給が必要になります。
また、みなり労働時間が実態と大幅に異なるようになると、裁量労働制そのものが無効と判断されかねず、常に実態を把握し、働きすぎの社員には強制的に休暇を取らせるなどの配慮も必要かと思います。
蛇足を描けば
上場企業でも、労基法その他の法令に堂々と違反している企業は掃いて捨てるほどあります。
労基法に違反してもせいぜい罰金30万程度ですから、企業としては違反して儲けた方がよほど良いという計算なんでしょう。
そんな会社が、世界的大企業としてのうのうと営業しているのは非常に疑問ですがね。
なんせ財閥系の大企業ともなると、30万の違反程度ではびくともしませんね。
(毎年、有罪として担当者が罰金払いに行ってます)
上場審査で36協定のようなところまで調べるか疑問ですが、脱法行為として告発などされた場合は問題になるかもしれません。
回答有り難うございました。
上場企業でも、労働基準法に違反している企業があるのですか。驚きました。
原則として、1日については8時間を超えて、
1週間については40時間を超えて働かせることが、労働基準法第32条により禁じられています。
これに違反すれば、労働基準法第119条の罰則が適用されることがあります。
(30万円以下の罰金又は6ヶ月以下の懲役)
労働基準法第36条にある、36協定を締結し、それを労働基準監督署に届け、
きちんと時間外労働割増賃金等を支払えば、119条の適用を受けなくなる、それが36協定の(免罰)効果とだと言えます。
社員が自主的に深夜まで働くことがあっても、黙認している状態ですと、
後から何かあったときに、
「本人が自主的に残業をしていた」ということを証明することができない可能性も出てきます。
>社員が自主的に深夜まで働くことは時々見受けられますが
とのことですので、できれば36協定(時間外労働及び休日労働に関する協定届)を出されたほうが無難だと思います。
>社員が自主的に深夜まで働くことは時々見受けられますが、
>その代わり、翌日は、遅刻しても、
>休んでもかまわないという社風です。
このような社風があるのであれば、この部分についても、
念のため就業規則に記載されておいたほうが無難ではないかと考えられます。
例えば、時間外労働が6.4時間に達するごとに、
代休を取得することができる、
といったような規程です。
(6.4時間に1.25をかけるとちょうど8時間になります。)
そのかわり代休として処理した部分については時間外労働割増賃金を支払わない、
代休として処理できなかった部分については残業代を支払うようにするのです。
実質的に裁量労働制(専門業務型裁量労働制かと思いますが)なのであれば、
労働基準監督署とよく相談され、専門業務型の裁量労働制の協定届なども提出されたほうがよいかもしれません。
いつ出社・退社しても構わないというのであれば、
思い切ってフレックスタイムについての届けを出されたほうがよいかもしれません。
>当社では、社員に定時で帰ることを推奨しており、
推奨されているのであれば、例えば、
「所定労働時間内に業務が終わらず、
所定労働時間以降も業務を行う場合には、様式第○号の時間外労働許可届けを提出し、上司の許可を得てから時間外労働を行うこと」
などのの一文を就業規則に明記しておくとよいかもしれません。
このようにしておけば、無秩序に残業をすることが少なくなるのではないかと思われます。(提案ですが)
就業規則はなるべく会社の実態に即したものを作られることをお勧めします。
それと上場するにあたり、36協定の届出がなされていないことが問題になるかどうかはわかりませんが、
実際に労働者が所定労働時間以降も働いている実態があるのであれば、念のため提出しておいたほうが労働基準法に抵触するおそれが少なくなると思われます。
私自身は株をやりませんが、もし自分が株主になるとしたら健全な経営をしている会社の株を買いたいと思いますので、法令違反は少ないほうがよりよいでしょうね。
回答有り難うございました。
法令順守は大切ですね。
基本的に労働基準法で一日8時間以上労働させることは禁止です。
残業は違法行為です。
それがなぜ、違法にならないかというと会社と組合(または労働者の代表)が三六協定を結んでいる場合に、その範囲内において会社は残業を命令できるわけです。
奨励もなにも、三六協定を結んでいない場合、まず残業命令がだせません。
また、社員が勝手に残業していても、残業代を払っていない場合残業それはサービス残業になり違法行為になりますのでご注意願います。
裁量労働をされるようでしたら労基署に届出されたらよいです。
“当社では、社員に定時で帰ることを推奨しており、これまで、残業料を請求されたことはありません。社員が自主的に深夜まで働くことは時々見受けられますが・・・”
上記の状況とのことですが、
原則的には業務命令に基づかない時間外労働は労働時間とされず、時間外手当てを支払う必要はないと言えるのですが、しかしながら、上司は労働時間の管理責任がありますから、その残業していることを知っていて何もしなかった場合は、「客観的に黙示的な支持」があったと見做させ、支払い義務が生じます。ですから、この場合ははっきりと残業命令を出すか、帰宅命令を出すなければならないと思います。
従って、三六協定は出した方が無難です。
適格な回答有り難うございました。
回答有り難うございました。
参考になりました。