本文は、ちょっと長くなったのでコメントにあります。
さて、これでいいのやら・・・
皆さんの名推理お待ちしています。
(これって、メタじゃなくて、ベタみたいな感じです。)
私は、組んでいた手をほどき、にっこり笑って改めて言った。
「さて、皆さん。」
「私はあなた方にお会いしたときから、ちょっとした違和感を感じておりました。」
最初からわかっていたように私はゆっくりと話し出した。なんたって私はメタ探偵なんだから。
「まず状況からいって、あなた方4人以外に犯人がいるわけありません。」
何気ないように窓の外を見やり、降りしきる雪を見つめた。
「昨晩から降り始めた雪の上には、今朝になって執事さんがこちらに来るまで何の足跡もありませんでした。えぇ、もちろん私がここに呼ばれた時もひと組の足跡―執事さんのものしかありませんでしたよ。」
見てもいないのに私は自信たっぷりに続けた。なんたって私はメタ探偵なのだ。
「あなた方のお父上、X氏は自室の浴槽で溺死していました。相当な資産家であった彼ですから、その遺産も相当なものでしょうな。」
「家族のみで」と執事が言っていることから、被害者も身内に違いない。登場人物が兄弟とくれば、それはもう遺産問題に決まっている。なんたってこれはメタ探偵小説なんだから。
「な、何を言うんだ、それではまるで私たちのだれかが遺産目当てに親父を殺したみたいじゃないか!」
長男のC氏が顔色を変えて叫ぶ。いいぞ、お約束通りの反応だ。
「おや、私はただ状況を整理しているだけですよ?」
C氏は口を開きかけたが、弁護士としての習性か、言葉を飲み込んだ。
次男のD氏はただただ絶望したような顔でぎゅっと十字架を握りしめている。
「昨晩は皆さん早めに寝室に行かれ、今朝は少し寝坊してしまったのではないでしょうか?」
長女のAがはっとして鏡を見る。親が死んだというのに、化粧のノリのほうを心配するとは、冷たい女だ。
「もしあなた方が夜更かしをしていたら、きっと言い争う声が聞こえていたでしょう。『もうお前には愛想が尽きた!』とかなんとか言う声がね。」
【彼】が一瞬、ビクッとしたのに気づいた者はいなかったようだ。
B氏は首をかしげ、まるで他人事のようにつぶやいた。
「だがなぁ…、そんなに騒いでいたらだれか目を覚ますんじゃあ…。」
予想通りの疑問に私はにっこりと微笑んで答えた。
「そうですね、普通であれば目を覚ますでしょうね。でも昨晩はとても眠かったのではなかったですか、そう、まさに『泥のように』眠ってしまったのでは?」
D氏がはっと顔をあげてB氏を見つめる。
「す、睡眠薬…?」
全員がはっとしてB氏を見た。医者であるB氏なら睡眠薬を持っていてもおかしくはない。
突然自分が注目されることになり、先ほどまで第三者的な立場と自認していたB氏は狼狽した。
「な、何だよっ、俺がお義父さんを殺したとでも言うのか!?」
いいねぇ、この展開。だからメタ探偵はやめられない。
「まぁまぁ、Bさんは犯人ではありませんよ。犯人がみずからネタばらしをするわけないじゃないですか。」
最後には自分でネタばらしをするのがセオリーなんだけど、まだちょっと早い、という言葉は飲み込んでおいた。
さて、そろそろ探偵らしいオリジナルなスタイルを見せないとな。頭をぼりぼりと掻くとか、眠ったように座り込んで喋るとか、「謎はすべて解けた!」と叫ぶとか、片方の眉だけを器用に上げて「いや、うちのカミさんがね」と言うとか、まぁそんな感じのやつだ。
ゆっくりと立ち上がると、窓辺に立ち何の気なしに外の雪を眺めた。うん、「物思い探偵」で今回は行ってみよう。
「X氏は誠実で、とても真面目な方でした…。正義漢、というのでしょうね、彼のような人を。
だから、自分の子供が羊の顔をしてこのような悪事に手を染めていると知ったときのショックは、それは大きかったことでしょう。
犯人は、人々の善意を食い物にしていました。
恵まれない方たちへの寄付金によって私腹を肥やしていました。
それを知ったX氏は、【彼】へ遺産を残すことをやめることにしたのです。」
Aは凍りついたように「だ、誰なの…?」とわなないた。
ため息とともに窓から離れると、私は【彼】の前に立った。
全員の視線が【彼】に集まる。
「そして、そのことを偶然知ったあなたは、この犯行を思いついた。」
ソファーで固まっている【彼】を見下ろすように私は言った。
「そうですよね?Dさん。」
「な、何を根拠にそんなことを言うんですかっ、ぼ、僕はっ…。」
弾かれたようにD氏が立ち上がった。座っているときは気がつかなかったが、以外と背が高い。
「そんなに儲かるのでしたら、」
今度は先ほどと逆に見上げる形になった。
「私も一度やってみたいものですな、教会の運営というものを。」
最初から感じていた違和感の源――D氏の左腕に輝く高級腕時計を掴んで、私はにっこりとほほ笑んだ。
もう一度言おう。これだからメタ探偵はやめられない。
~~~~~
うーん、書き込みすぎかも。自分。
○まともな解答
犯人は、「C氏」
文中のポイントは次の6つ
1.被害者は昨晩、自分の寝室の風呂で溺死しています。
2.昨晩から雪が降り、この別荘は孤立しています。
3.この別荘に居る人物は、この部屋に全員おります。
4.私は昨晩、ご家族のみにするために山を降り、今朝戻ってまいりました。
5.長女Aさんと医者のB氏はご夫婦、長男C氏は弁護士、次男D氏は神父です。
6.何気なくソファーの下に落ちている紙切れを拾った。それは、慈善団体の代表者の名刺だった。
1、2、5より、
A.鑑識などが入れない状態で、死亡時刻が確定しているので、判断はB氏が行った。
2、4より、
B.執事はうそをついている → 犯人は執事がかばい立てをする人間(4人のうちだれか)
6より、
C.慈善団体の代表者がこの部屋にいて、誰かに名刺を差し出したが受け取りを拒否されている
AとBより、
D.B氏が犯人であれば、犯行時刻を今朝と推定するはずだから、B氏は犯人ではない
5とCより、
E.被害者は慈善団体の代表者
(被害者、執事、ソファーの4人、メタ探偵以外に登場人物がいる、も想定されるが、犯人は明白となってしまうので却下)
5より、
F.被害者は4人の親(父、または、母)
EとFより、
G.動機は、親が全財産を慈善団体を設立して、遺産を残さないことにしようとしており、それを阻止するため
Gとルールより、
H.親の慈善団体設立を予めしっていた可能性があるのは、C氏のみ
(その他の職業は慈善団体設立にかかわりがない)
※この説得力がちょっとないです(慈善団体の内容が医療、宗教関係も想定できるので)
Hより、
犯人はC氏
○奇をてらった解答
注)B.の執事がうそをついているが、出題ミスとします。
つまり、本当に、昨晩帰って、今朝戻ってこれたとのことです。
I.執事下山・雪降り出す・雪やむ・執事戻る・雪降り続くの時系列があった
Iと現在の人間より
J.ここに登場していない、慈善団体の代表者Xが存在する可能性がある。
Jとルールより、
K.Xはこの家族内ではない。
(そうでなければ、昨日いて、今、いない人間(例えば三男)が犯人となってしまうため)
これらを踏まえて、
執事:「犯人はどちらですか?」
探偵:「さて、皆さん。
安心してください。
犯人は、長男でしょうか?いや、違います。
では、次男でしょうか?いや、これも違います。
そうです。犯人は、
遭難です(笑)」
(執事は場所を尋ねたのです)
なるほど、慈善団体を設立するんですね。まあ、財産が子供たちに手に入らないもは、一緒と。弁護士の職業的優位性をもってきましたか。
出題のファジーな部分の解釈ですから、OKです。
で、奇をてらった解答。気に入ってしまいました。ははは。
私は、組んでいた手をほどき、にっこり笑って改めて言った。
「さて、皆さん。」
「私はあなた方にお会いしたときから、ちょっとした違和感を感じておりました。」
最初からわかっていたように私はゆっくりと話し出した。なんたって私はメタ探偵なんだから。
「まず状況からいって、あなた方4人以外に犯人がいるわけありません。」
何気ないように窓の外を見やり、降りしきる雪を見つめた。
「昨晩から降り始めた雪の上には、今朝になって執事さんがこちらに来るまで何の足跡もありませんでした。えぇ、もちろん私がここに呼ばれた時もひと組の足跡―執事さんのものしかありませんでしたよ。」
見てもいないのに私は自信たっぷりに続けた。なんたって私はメタ探偵なのだ。
「あなた方のお父上、X氏は自室の浴槽で溺死していました。相当な資産家であった彼ですから、その遺産も相当なものでしょうな。」
「家族のみで」と執事が言っていることから、被害者も身内に違いない。登場人物が兄弟とくれば、それはもう遺産問題に決まっている。なんたってこれはメタ探偵小説なんだから。
「な、何を言うんだ、それではまるで私たちのだれかが遺産目当てに親父を殺したみたいじゃないか!」
長男のC氏が顔色を変えて叫ぶ。いいぞ、お約束通りの反応だ。
「おや、私はただ状況を整理しているだけですよ?」
C氏は口を開きかけたが、弁護士としての習性か、言葉を飲み込んだ。
次男のD氏はただただ絶望したような顔でぎゅっと十字架を握りしめている。
「昨晩は皆さん早めに寝室に行かれ、今朝は少し寝坊してしまったのではないでしょうか?」
長女のAがはっとして鏡を見る。親が死んだというのに、化粧のノリのほうを心配するとは、冷たい女だ。
「もしあなた方が夜更かしをしていたら、きっと言い争う声が聞こえていたでしょう。『もうお前には愛想が尽きた!』とかなんとか言う声がね。」
【彼】が一瞬、ビクッとしたのに気づいた者はいなかったようだ。
B氏は首をかしげ、まるで他人事のようにつぶやいた。
「だがなぁ…、そんなに騒いでいたらだれか目を覚ますんじゃあ…。」
予想通りの疑問に私はにっこりと微笑んで答えた。
「そうですね、普通であれば目を覚ますでしょうね。でも昨晩はとても眠かったのではなかったですか、そう、まさに『泥のように』眠ってしまったのでは?」
D氏がはっと顔をあげてB氏を見つめる。
「す、睡眠薬…?」
全員がはっとしてB氏を見た。医者であるB氏なら睡眠薬を持っていてもおかしくはない。
突然自分が注目されることになり、先ほどまで第三者的な立場と自認していたB氏は狼狽した。
「な、何だよっ、俺がお義父さんを殺したとでも言うのか!?」
いいねぇ、この展開。だからメタ探偵はやめられない。
「まぁまぁ、Bさんは犯人ではありませんよ。犯人がみずからネタばらしをするわけないじゃないですか。」
最後には自分でネタばらしをするのがセオリーなんだけど、まだちょっと早い、という言葉は飲み込んでおいた。
さて、そろそろ探偵らしいオリジナルなスタイルを見せないとな。頭をぼりぼりと掻くとか、眠ったように座り込んで喋るとか、「謎はすべて解けた!」と叫ぶとか、片方の眉だけを器用に上げて「いや、うちのカミさんがね」と言うとか、まぁそんな感じのやつだ。
ゆっくりと立ち上がると、窓辺に立ち何の気なしに外の雪を眺めた。うん、「物思い探偵」で今回は行ってみよう。
「X氏は誠実で、とても真面目な方でした…。正義漢、というのでしょうね、彼のような人を。
だから、自分の子供が羊の顔をしてこのような悪事に手を染めていると知ったときのショックは、それは大きかったことでしょう。
犯人は、人々の善意を食い物にしていました。
恵まれない方たちへの寄付金によって私腹を肥やしていました。
それを知ったX氏は、【彼】へ遺産を残すことをやめることにしたのです。」
Aは凍りついたように「だ、誰なの…?」とわなないた。
ため息とともに窓から離れると、私は【彼】の前に立った。
全員の視線が【彼】に集まる。
「そして、そのことを偶然知ったあなたは、この犯行を思いついた。」
ソファーで固まっている【彼】を見下ろすように私は言った。
「そうですよね?Dさん。」
「な、何を根拠にそんなことを言うんですかっ、ぼ、僕はっ…。」
弾かれたようにD氏が立ち上がった。座っているときは気がつかなかったが、以外と背が高い。
「そんなに儲かるのでしたら、」
今度は先ほどと逆に見上げる形になった。
「私も一度やってみたいものですな、教会の運営というものを。」
最初から感じていた違和感の源――D氏の左腕に輝く高級腕時計を掴んで、私はにっこりとほほ笑んだ。
もう一度言おう。これだからメタ探偵はやめられない。
~~~~~
うーん、書き込みすぎかも。自分。
おお、結構いいですねぇ。
職業的差別化がきちんとなされている。うーん、私の想定より、読者がなっとくしそうです。
文体も好きです。
まず、被害者が、4人と家族であるという以外に、どういう関係にあるのかがわかりません。性別も不明です。少なくとも、執事は被害者に仕えていたのであろう事は想像できます(自分の主人が捕まるかもしれないのに、探偵を呼ぶわけがない)。執事は容疑者の4人に対して少なからず影響力があるようですので、この事から、とりあえず被害者を4人の「親」と考える事にします(親以外では、親の兄弟という可能性が残ってます)。
いずれにしろ、被害者の死によって、この一族の財産(山の中に豪華な別荘を持つほどなので、相当の財産家でしょう)を受け継げるのは、家を出て結婚した長女Aではなく、また聖職についている次男Dでもないでしょう。医師Bは長女Aの夫なので、容疑者から外してもいいでしょう。
したがって、長男Cが犯人という事になりそうです。
被害者は弁護士である長男Cに、自分の死後に、財産を全て慈善団体…恐らく次男Cが代表をつとめているのでしょう…に寄付する、という遺書の作成を頼んだのに違いありません。自分に財産が残らないと知るや、長男Cは恐ろしい犯行を思いついたのです。
をを、やはりCが犯人。
慈善団体はCが設立。
そうか、長男が相続するという想定のほうが普通?
こっちも、私より納得できそうだなぁ。
でも、医者や神父でなくてもいいじゃん、という「伏線の使いきり」に欠けるかも。
(って、私の設定も甘すぎの感じではあるが)
事故死かなと思います
昨晩から雪が降り、この別荘は孤立しています→冬
ご家族のみにするために→ガイシャは父であり、高齢
風呂で溺死→殺されたとは言っていない
寒い冬に風呂へ入ると脳溢血や心筋梗塞がおきやすいのでそのまま溺死
家族が集まっていたのはガイシャの死期が近いため
B氏は実の息子ではない
牧師は祈るため
医者は診るため
ガイシャは金持ちで遺産を慈善団体へ寄付することにしていた
弁護士はそのため
てなところでしょうか
をを、アニーのもくろんでいた展開。
でも、「探偵の登場する殺人事件」をお約束としないと、読む価値がない?
(もともと価値がないかも・・・・)
とりあえず、いただいておきます。
稚拙ながら解答させて頂きますが、犯人は「皆さん」で。
文中で一度「サテ」と言っていますが、これは執事の言う”さて”とは違うと考えた場合、探偵が言った”さて”は最後の一行の”さて”になっているわけで、つまり犯人はその後の「皆さん」になるのかな、と。
慈善団体が回収できない…んですが、ほとんど伏線回収を考えずに突っ走ってるんで、間違ってる気がします。
とりあえず、想定していた犯人像とおんなじですが。
伏線の処理は、どうでしたでしょうか。
がんばって、解答していただいてありがとうございます。
ただ、読者が納得する、最善の答えを求めたいところですよね。
takejin様、結局、よくわかりませんでした。考えたところまでを書きます。
「慈善団体の代表者の名刺」から、
被害者は死期が近いことを悟った大金持ちで、
全財産を子供達ではなく、慈善団体に寄付しようとしたのだと思います。
ですので動機は当然、遺産が欲しい、という理由です。
ところがここから先が絞りきれない。
[1] 遺書を事前に読む/でっち上げることができる弁護士Cが怪しい
[2] 死因を「溺死」と嘘が言える医者のB氏が怪しい
(夫婦というのも気にかかる)
[3] 慈善団体という点と、かなり特殊な職業という点で神父も怪しい
と、ここから先がわかりません。雪や溺死、暖炉をどう拾えばいいかがわからないのです。
(暖炉はもしかしたら、遺言状を燃やしたのかなと思いました)
というわけで、回答を楽しみにしています。
はいはい。
こちらがあっさり書いた割りに、深く読んで下さって、ありがとうございます。
暖炉は別荘の飾りつけ、雪は外部の犯人を遮断するだけです。
溺死は、犯人の可能性を拡散する仕掛けでした。
動機の推測は、読者も納得するでしょう。
おお、結構いいですねぇ。
職業的差別化がきちんとなされている。うーん、私の想定より、読者がなっとくしそうです。
文体も好きです。