少しでも似たケースをいくつか見ましたが、被害額も大きく、弁済も十分にされておらず実刑の可能性も大きいかもしれません。
前科が無くても実刑になっているケースも多いです。
量刑は2~4年というところではないでしょうか。
以下、判例を2つほど引用しておきます。
横浜地方裁判所相模原支部 平成10年7月10日判決
(量刑の理由)
本件は、取締役財務部長として、被害会社の資金調達、資金の運用・管理等の業務に従事していた被告人が、同社の定期預金を解約して、その解約払戻金を着服横領したという事案であるところ、主として株取引の資金に窮した上でのものであって、動機において何ら酌量すべき余地がないこと、被害額が比較的多額であること、被告人は、被害会社に入社後間もなくのころから同社の定期預金債権に質権を設定して、個人的な用途に供するために銀行から借り入れた借金の担保として以来、不正行為を続けてきたこと、少なくとも本件各被害額の全額又はこれに近い金額の弁償はされていないことが窺われることなどに照らすと、犯情が芳しくなく、その刑事責任を軽くみることはできない。
そうすると、被告人は、これまで全く前科、前歴がなかったこと、被告人を全面的に信用していたとはいえ、被害会社の資金管理状態がずさんであったことが本件の一要因となっていることも否定し難いこと、本件により被害会社を懲戒免職されたこと、その年齢、健康状態などの被告人について酌むべき事情をも考慮した上、主文のとおり刑の量定をすることが相当である。
よって、主文のとおり判決する。
広島地方裁判所 平成17年5月16日判決
なお、証人がないとのことですが、本来は離婚せずに妻が情状証人として出た方が量刑が軽くなる可能性は高まります。
離婚してしまっていると(民事的な責任を切り離せるということはあるでしょうが)、刑事の量刑でははっきり言って不利です。
弁護士と連絡が取れないとのことですが、その気があるなら、元夫の親に情状証人として出ても良いということを告げて弁護士とコンタクトをとれば少しでも良い結果になるかもしれません。
可能性がある実刑は以下の4つですが、状況が分からないので何とも言えません。
背任 | 刑法第247条 | 5年以下の懲役または50万円以下の罰金 |
特別背任 | 刑法第960条 | 10年以下の懲役または1000万円以下の罰金 |
横領 | 刑法第252条 | 5年以下の懲役または50万円以下の罰金 |
業務上横領 | 刑法第253条 | 10年以下の懲役 |
1000万円の業務上横領で、株、ギャンブルなどに費やしたため酌量の余地がないとして、初犯でも実刑5年となった判例があります。
ご質問の事例では、消費者金融への返済額と、借金の理由が注目されると思います。
いずれにしても、1億円超で業務上横領が成立すると、相当厳しい判決が下されることになるでしょう。
この回答は大変参考になりました、具体的に判例まで掲載いただきありがとうございました。