先日、祖母の遺産について画像の様なプリントの切れ端を渡されました。
対象は父方の兄弟(長男→数名の姉弟宛)です。
要するに、
「(祖母の)田んぼが残ってたけど、(画像の理由で)おまえたちにはあげないよ。」
というものです。
この長男は、以前にも祖母のハンコを無断使用して遺産の大半を持っていってしまいました。
今回も小さな紙の切れ端だけを渡して、一方的に通知するだけでした。
額は大した物ではなかったのですが、
そのような遺産があったことを初めて知らされた姉弟たちは、
「額の問題ではない」とても怒っています。
ところが自分も含め、この姉弟たちは法律的な事にとても疎く、
知らされた内容が本当に正しいのか判断できず、なにをしていいか全くわからない状態です。
こんな私たちにできることをアドバイスしてください。
(1)民法902条1項は、『被相続人は、前2条の規定にかかわらず、遺言で、共同相続人の相続分を定め、又はこれを定めることを第三者に委託することができる。ただし、被相続人又は第三者は、遺留分に関する規定に違反することができない。』 とします。
(2)『前2条(=900条・901条)の規定』とは、法定の相続分の事であり、遺言の定めが優先です。
(但し、遺言が、民法の定めに合致する適式・有効なものであったり、内容に矛盾があったりすれば、遺言は一部又は全部が無効です。)
(3)『遺留分に関する規定に違反することができない』という意味は、祖父が亡くなった時点で、遺言が存在するために長女が民法1028条2号に規定されている長女の「遺留分」を侵害される状態となってしまった場合は、その限度で民法1031条に規定されている「遺留分減殺請求権」を行使して、二女から取り返す事が出来るという意味です。
貯金2000万円+土地3000万円が遺産だとすれば、長女の遺留分は法定相続分1/2の半分(1/2)ですから、本来は5000万円×1/2=2500万円もらえるはずで、遺留分はその半分の1250万円であり、1250万円分だけは、問答無用で取り戻しを主張する事が出来ます。
(言わば、相続人の期待権の「最低保証」です。)
(4)但し、貯金については、「法定相続人全員の実印を押した払戻の用紙を提出して下さい」と要求され、長女の実印押印が無ければ、払い出しされないのが通例で、金融機関を相手取って「遺言により、二女に全部払い渡せ」という裁判を起こして支払いを命じる判決をもらわないと払い出しに応じてもらえ無いのが通例です。
(なお、遺留分減殺により、預金の内500万円は、長女が取り返せます。)
土地については、二女が単独で相続登記をして自己名義に出来ますが、長女は「遺留分減殺」を理由として二女に持分1/4の長女への移転登記を求める事が出来、応じない場合は、二女を相手取って「持分一部移転登記請求訴訟」を起こし、適法に遺留分減殺請求をした証拠を示して勝訴判決を得れば、長女は自己への持分1/4の移転登記を単独でする事が出来ます。
(二女は、持分見合いの3000万円×1/4=750万円を現金で払えば、土地の現物は死守出来ます。)
(5)合資会社社長という事は、「無限責任社員」だと思います。
合資会社の社員は、死亡すれば原則として退社します(会社法607条1項3号)が、会社の定款に相続人が社員持分を承継する旨の規定があれば二女が代わって社員となります。(608条1項・2項)
退社する場合は、二女が持分の払い戻しを受ける事が出来ます。(611条1項)
代表者である次期社長は、総社員が同意して(637条)定款を変更して定款に新社長名を記載するか、定款の定めに従って業務執行社員の中から社員が互選で決めます。(599条3項)
決められないときは、業務執行社員全員各自が、会社を代表します。(599条1項)
(6)遺言が適式かつ完全に有効なものであれば、長女は法律上1/4の権利しかない(1/4の権利はある)のですから、どうしようもなく、2人とも「お利口さん」になって分ければ良いのですが、中々そうも行かなくてゴタゴタする場合も多い様です。
「プリントの切れ端」に記されているように、農業経営を存続させることを優先する農地法の観点から、農地の分割は好ましくありません。このため、相続するものが農地だけという状況では、現在、その農地で農業を営んでいる者(長男の方でしょうか?)の主張が認められる可能性があります。
しかし、ご質問の状況では、農地以外にも相続する財産があるようです。
お祖母さまの子ども全員は、等しく相続権があります。
まずは遺産の総額を算定し、それを均等に分割します。そして、農地を含む部分を長男の方に相続させるのがルールです。
遺産の総額算定は、子ども全員が納得できる方法で行わなければなりません。
もし長男の方が独断で行っており、それが客観的に見て遺産の専有に当たるようでしたら、弁護士など法定代理人を立てて調査を行うべきです。
また、すでに長男の方が遺産を専有していたとしても、子どもには「相続回復請求権」があります。
まずは長男の方と交渉し、それでも埒があかないようでしたら裁判所の調停を入れることになります。
いずれにしても、法律通りに進めるところがポイントになりますので、身近で遺産相続に強い法律事務所に相談されるのがよろしいかと存じます。
以下のサイトに情報がよくまとまっています。
ありがとうございます。
いろいろやれることはありそうですね。
遺産意外では良好な人間関係だったようで、
割り切って行動できるかが問題になりそうです。
農地法のからみがありますので、地域の、農業委員会に聞いてみるべきかと思います。
地域によって許可が出たりでなかったりしたと思います。
内情については分かりませんが、例え、分割の許可が出ても、「たわけ者」にならないようにすることが重要かと思います。
↑洒落れではなく、結構マジです。
同じような相談がありましたので、下記にリンクしておきます。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1312715...
ありがとうございます。参考にさせていただきます。
人間は昔から進歩していませんね(笑)
ありがとうございます。
補足ですが、姉弟は5人いますので受け取ったとしてもわずかなものになると思います。
それはみんなわかっているようで、その遺産が欲しいというわけでもないようです。
しかし、祖母の生前(10年ちょっと前)、この長男は祖母が外出中にハンコを持ち出し、
遺産相続の話を勝手に済ませ、そのことで祖母に「訴えてやる」と言われていました。
でもそれが実現しないまま亡くなってしまったのです。
遺言は形には残っていませんので、有効な手段はなさそうです。
今回の件は、こんなやり方を繰り返す長男に対する感情的なものだと思います。