THEME:「家族へ友へ、あの人に伝えたかったけれど伝えられなかった言葉」を教えて下さい
「街を見渡せば、100通りの家族に100通りの家。家をのぞいてみれば、それぞれの暮らし振りが面白い!」と展開してきた“イエ・ルポ”の続編コーナーです。“イエ・ルポ 2”では、特にマチとイエ、人と家族のドラマやものがたりを語らっていきませんか?毎回のテーマに沿って、あなたのルポをご投稿下さいね!
豊かな暮らしを創っていく〈イエはてな〉のマインドで、みなさまのご参加をお待ちしています!
*回答条件* 下記のページをご覧になってご投稿下さいね!
「Welcome to イエはてな」
http://d.hatena.ne.jp/ie-ha-te-na/20080731
テーマ詳細とルポ例
http://d.hatena.ne.jp/ie-ha-te-na/20090522
プレゼント変更ご案内
http://d.hatena.ne.jp/ie-ha-te-na/20080729
※〈イエはてな〉では、はてなスターを「おすすめメッセージ」として活用しています。ご回答頂く時にもご参考下さい。また投稿期間中はできるだけはてなスターのご利用を控えて頂けますようお願いいたします。
※質問は5月28日(木)正午で終了させて頂きます。
答えは誰でも知りたいもの。
教えるか教えないかはその人の器量。
教えられる人の利益になるか不利益になるかを選別しなくてはならない。
それを決めるのはあなたですね。
詰め将棋を考えてくれたNくんの優しさに感動しました。
いい友情ですね。
今は連絡がとれない友なんですね・・。
切ない話です・・。
いつか自分で正解を探せた日、Nくんに
別の言葉を言いたくなるかもしれませんね^^
自作詰め将棋集という、この手間暇を惜しまない友情が嬉しいですよね。これを作っている最中ずっと自分のことを考えていてくれたんだなと思うと、それだけでも感動してしまいます。
だから、受け取った側としても、この友情を思いながら解けるまで考え抜いていくと。この熱い思いの交流が、連絡が取れなくなった今も続いているわけですよね。
N君もきっと、その自作詰め将棋集を思い出して、そういえばあれ解けたかなあ、なんて思うことがあるでしょう。会えなくなっても、連絡すら取れなくなっても、思いの世界で続いていく友との語らい。素晴らしいですね。
高校生のころの話です。
ぼくは日本を一時離れることになりました。
そのことを一番残念がってくれたのはN君。
彼とは将棋の友達で、彼我の実力もちょうど同じほど、勝ったり負けたりいい勝負でした。
お互いの家に行っては、お互いの家族にあきれられながら1日中将棋を指したりしたものでした。
将棋なんか誰と指しても同じように楽しいんじゃないの。
そう考える方もいるかと思いますが、それがそうでもないのです。
相手が強すぎても弱すぎてもうまくいかないんですよね。
N君には少々気難しいところもあって、だから友人の少ない男でもありました。
そのかわりにいったん打ち解けると太くて濃い友情を感じさせる人間でした。
現在だったらネットを通じて、世界中のどこにいても対局ができるのですが、もう20年以上も前のこと。
しばらく彼とは将棋がさせないなと思っていました。
すると出発間近いある日、彼がうちに遊びに来たのです。
これ、向こうで解いてくれ。
彼が持ってきたのは自作の詰め将棋集でした。20問ありました。
詰め将棋というのは一種のパズルで、王手の連続で王様を詰める、1人でもできる謎解きです。
手紙というものが、読むのは一瞬でも書くのには時間がかかるのと同じように、詰め将棋も作るのにはずいぶんな時間がかかります。
詰め将棋作品は解くのに時間がかかるかどうかだけで評価されるのではなく、置かれた駒の配置の美しさ、テーマ性、意外性など総合的に俯瞰して味わう一種の芸術品です。
もちろん高校生の素人が作る作品ですから、世に誇れるほどの代物ではないのでしょうが、自分のために作ってくれた、しかも海外では将棋を指す相手を見つけるのにも苦労するだろうと察してくれてのプレゼントだったので、ものすごくありがたかったです。
その詰め将棋ですが、ひと目で解けたのもあったり、2日ほど考えないと思いつかない盲点を突いたものもあったり、十分楽しめました。
ですが1問だけ、解けていないのがまだ残っているのです。
どうしても正解手順がわからない。
江戸時代には将軍に詰め将棋作品を献上するという慣わしがあり、伊藤看寿が「将棋図巧」という詰め将棋作品を残しています。「詰むや詰まざるや」というキャッチコピーがこの作品集には冠せられています。つまり詰まないものも含まれているのです。
もしかしてN君、将棋図巧のひそみに倣って、不詰めのものも紛れ込ませたのかな。
将棋ソフトを使えば正解手順のあるなしはすぐにわかります。プロ棋士に解いてもらうという手もあります。
ただ、そんな無粋なことはしたくありません。
自分で解くか、N君に教えてもらう、この2通りしか考えられません。
ただ、N君とは事情があって連絡が付かなくなっているのです。
いつかどこかでもう一度N君と会うことができたら。
「お前の作った詰め将棋の8番、正解を教えてくれよ」
ニヤリと得意そうに笑うN君の顔を想像しています。